私たちは“仮想現実の世界”に生きている!

6)人生も仕事も心の持ち方次第①

 

 結局、人間は“現実の世界”をありのまま直接が認識することはできず、あくまで間接的に、しかも、“削除”“歪曲”“一般化”というメカニズムによって構築された“仮想の世界(虚構)”を“現実の世界”だと信じて、その中で生きているわけです。そうして言わば切り取られた一部の、しかも歪んだ世界の認識に基づいて、価値観(自分が重要だと思うこと)や信念(自分が正しいと思うこと)も形成されて行くのです。そして、さらにそれらの価値観や信念を基軸として、“削除”“歪曲”“一般化”のメカニズムが働き、“仮想の世界(虚構)”は、益々それらの価値観や信念方向に“進化”して行くのです。

 

 ここで、重要なことは、その“仮想の世界”というものは、すべて“情報”から成っているということ、“情報”である以上、“書き換える”ことが可能であるということです。

 

 それらの価値観や信念は、本人の知らない間に、過去のトラウマや両親、学校の教師の言葉など外部から作られた場合もあれば、自分自身の経験を通じて作り上げた場合もあります。その結果、価値観や信念がマイナスの方向に極端に“進化”し過ぎると、うつ病や精神疾患となることがあります。それは、他人によって、又は、自ら情報をマイナス方向に書き換えられた(換えた)ということを意味します。

 

 実際、このようにマイナス方向に書き換えた(られた)価値観や信念によって引き起こされるうつ病などの治療のために、本人の認識している世界モデルと価値観や信念をプラスの方向に戻すことで矯正することができます。米国の心療治療の現場から発展した神経言語プログラミング(NLP)には、そのための様々な手法があります。例えば、“削除”“歪曲”“一般化”のメカニズムが働いた結果を矯正するために、様々な質問(“メタモデル質問”と呼ばれる)をしていくことで、相手の削除された情報を復活させたり、歪曲した見方を生み出している“思い込み(信念)”に気づかせたり、“一般化”し決めつけていることにも例外のあることに気づかせたりすることができます。これらのNLPの手法によって、うつ病などの精神的な疾患から劇的に回復させた例が報告されています。これは、いわばマイナス方向に行き過ぎた世界モデルと価値観や信念を通常のレベルに戻しているわけです。

 

 そうであるとするならば、自ら情報をプラスの方向に書き換えることも可能であるはずです。そのような“書き換え”を可能にするのが、価値観(自分が重要だと信じていること)と信念(自分が正しいと信じていること)、即ち、松下幸之助の言う「心の持ち方」を自ら“選ぶ”ということなのです。

 

 松下幸之助は言います。「困難に直面したときに、それをどう考え、処置するかで、飛躍か後退か決まる。不安を抱き、心配したり、誰が悪いと憤慨しても、そこからは何も生まれない。心も萎縮し、知恵も出てき難い。」困難に直面したときに、通常、人は、不安を抱き、心配したり、誰が悪いと憤慨したりしますが、松下幸之助は、「そこからは何も生まれない。心も萎縮し、知恵も出てき難い。」とそのような“心の持ち方”の行き着く先は、自分の全く望まない、最悪の結果であることに気づくことによって、そのような選択肢は決して採らないとの“強い決意”が生まれます。

 

 さらに松下幸之助は言います。「物事には様々な見方があり、一見マイナスに見えることにも、それなりのプラスがあるというのが、世の中の常である。そうであるなら、同じ物を見、同じ事態に直面してもより心豊かになれる見方を選んでいくというのがより豊かな人生に通ずる道ではないでしょうか。」世の中には、プラスの情報とマイナスの情報の両方が常に存在しています。そのいずれに焦点を当てるか、自分の意識をフォーカスするかは、自分で選ぶことができるのです。それならば、良い結果を生み出す方を選べばよいではないかというのが、松下幸之助の極めて実践的な主張なのです。

 

 この点、松下幸之助は次の様に述べています。「私は、人間は自分の運命に責任を持ちうる自由意志を持っていると信じている。人間は選ぶことができる。・・・一つの道は平和と幸福につながり、今一つの道は、混沌と自己破壊につながる。

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