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4)『歴史は勝者が作る』今も生きている歴史の中の“ウソ”25

 

 次に、憲法草案を誰がどのような目的で作ったかということが大変重要です。

 

 この点、「草案を誰がつくったかは重要ではなく、その草案を審議・議決したのが誰かが重要だ」という見解がありますが、正しくありません。草案は、その後の議論の土台を形成するものであって、草案作成者の意図が織り込まれ、実質的な内容の多くを予め決めてしまうものだからです。

 

 そして、結論から言えば、最終的には、憲法草案は、主権者たる戦勝国連合軍GHQが敗戦国日本の占領期間中日本の『占領目的』を達成するための手段たる『占領政策基本法』として作成したものであったということです。決して、平時に純粋に日本国民のために作られたものではなかったのです。しかもGHQは、『プレスコード』等の検閲制度によって言論統制を行い、『連合国最高司令官(司令部)が憲法を起草したことについての言及と批判』を禁止し、その『占領目的』とゴーストライターの存在を国民の目から完全に隠蔽したのです。そのこと自体が、草案作成者の重要性をGHQが認識していたことを示すものと言えます。

 

 それでは、まず草案の作成のプロセスをもう少し詳細に見て行きます。

 

 マッカーサーは、日本に到着早々、日本政府の幣原喜重郎首相に新憲法が必要だとして「草案を提出せよ」と命令しました。幣原首相は、内閣の下に憲法問題調査委員会を設置し、憲法学者の松本烝治国務大臣を委員長として任命し「日本国憲法草案」の作成を要請しました。同委員会の作成したいわゆる「松本草案」は、天皇主権が維持されたものでした。その草案の大部分が提出する前日の1946 年2 月1日に『毎日新聞』にスクープされてしまったのです。

 

 その英訳を見たマッカーサーは、松本草案が、天皇主権を維持し、国民の権利を減らし、義務を増やしただけで、憲法の最高法規性も謳われていないと激怒したと言います。マッカーサーは、日本政府にはGHQ が望んでいるような憲法を書けないと判断し、憲法制定の主導権を日本から奪い取ってしまいます。2月3日には、マッカーサーが、以下に紹介する、自分の直筆のノート、いわゆる『マッカーサー・ノート』を民政局長のホイットニー准将に手渡し、これに基づいて速やかに憲法草案を書くよう命じたのです。そこに示されたいわゆる『マッカーサー三原則』とは、以下の内容でした。(『圀破れてマッカーサー』スタンフォード大学教授西鋭夫著)

I

「天皇は国家の元首の地位にある」

「皇位の継承は世襲による」

「天皇の義務と権能は、憲法に従って行使され、憲法に示された国民の意思に応じたものでなければならない」

II

「国家の権利としての戦争行為は放棄する。日本は、(国際)紛争解決、および自衛のためでさえも、その手段としての戦争を放棄する。国の安全保障のためには現在世界に生まれつつある高い理念、理想に頼る

陸、海、空軍は決して認められない。またいかなる交戦権も与えられない」(下線筆者)

III

「日本の封建制は廃止される」

「皇族以外の爵位は現存のものに限る」

「今日以後、貴族特権は政府もしくは民間機関においてなんらの権力も持たない」

「国家予算はイギリスの制度を見習う」

 

 マッカーサーの指示を受けたGHQ民政局は、わずか9日間でGHQ草案を作成し、2月13日に日本政府(吉田茂、松本烝治、白洲次郎)に有無を言わさず手渡したのです。そこでの日本政府『憲法草案委員会』の仕事の99%は、“英語で書かれたこの憲法草案を翻訳すること”だったと言われています。その内容を変更する裁量は1%ほども与えられていなかったのです。

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