セカンドオピニオン | 自転車から今日は♪

自転車から今日は♪

坂道の多い所に住んでます。
愛用のママチャリで鼻歌歌うのが大好きです。
小さなおうちでの生活をのんびり綴ってみたいと思います♪

セカンドオピニオンとして夫が探し当てたクリニックの院長は

白髪の初老の男で、使いこまれた古いデスクの上にはたくさんの

書類が積み重なっていた。


神経質な夫はこの机をみて何を思うのだろうか。

心の中で小馬鹿にしているのは、質問しなくても

手に取るようにわかった。


私はこの時、とにかく身体がだるく考えて喋ることがとにかく

苦痛で、この時の様子はよく覚えていない。

頭がふらふらして、涙だけがわけもなくこぼれるのである。


ただ問診は夫と先生、私と先生、そして夫婦と先生と

3回にわけて行われていたように思う。

私は自ら作成したレポートを先生に差出し

補足といて言うべきことを口頭で伝えた。


強い薬を飲むことに抵抗があるという私の不安にも

理解を示しじっくりと話をきいてくれた。


夫婦を前に、白髪の医師はこういった。


奥さんを鬱病と診断した、この病院の先生の判断は

間違いではありません。

鬱病とチェック項目は全てクリアしているし、薬の処方も

間違ってはいないと思います。


ですが…


私が奥さんと接した感じだと、鬱病というより、ひどい鬱状態という

線もあるんじゃないかと


そうなんですよ

僕もこの人は鬱病じゃないと思うんですよね

クスリを大量に与えて依存させて治療と称して

クスリでコントロールするんですよっ


とすかさず、夫が応じる


って、オマエ

その病院、アンタもお世話になってる病院だろーに

(そこは追求せんのか)

しかも、アータ 今アナタはおクスリ飲んでなくて、産業医に報告するためだけに

月イチで形式上の受診しにいってるだけだろーが


と私は心の中で叫ぶのであったが、

思うように身体がいうことがきかず、人形のように黙って

ふたりのやりとりををきいていることしかできなかった。


鬱病ではなく、鬱状態にいるかもという線も考え少し様子をみていきましょう。

睡眠薬と、漢方薬を数種類処方します。

薬はいやかもしれませんが、これだけは必ず飲んで下さい。

少しずつ状況をみて、必要とあれば、私もここにあるタイプの強い薬を

処方していきます。

まずは、一週間様子をみましょう。


はい


そうですよねぇ

僕も鬱病じゃないと思うんですよ

医者は患者に高い薬を大量に使わせるために処方するんですよねぇ


先生、この人は鬱病じゃないですよね


鬱病と今は断言できませんが、奥さんはひどい鬱状態にある

これだけは断言できますね


鬱病じゃないですよ


夫はほがらかに笑った。

医師の答えに大変満足した様子だった


何 故 ア ナ タ ガ 診 断 ヲ ク ダ ス ノ

(医師でもないのに…)


訴えたいのに身体動かない。


涙だけがはらはらとこぼれた。


睡眠導入剤を使って睡眠さえとれれば

大丈夫ですよ


夫は笑う。

それは確かにあなたに向かって私が言った言葉だけど


彼は別の目的でこの状況を喜んでいるのが

ありありとわかった。


漢方薬だから、あのクスリみたいな副作用はないから

みなみ だいじょうぶだよ


私は黙ってうなずいた。


妻を気遣い車をにのせて病院まで付き添う夫

妻の為に病院を探し、予約をいれる夫

問診中は子供を膝に乗せ、子供の相手をする夫

医師の診断を、妻と一緒にきいてくれる夫


どうみても献身的な優しい夫にみえるが

私にはこの男が悪魔にみえてならなかった。


悪魔に自分の本心を悟られないように

私もまた夫に甘える妻の役を演じ切った。