弁護士の武井です。

 

定年年齢等に関する規律を定めている高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(以下「本法」といいます)が改正され、改正法が2021年4月1日から施行されます。

 

少子高齢化による労働人口の不足が言われて久しいですが、本法は前身となる法律が1971年に制定されて以降、改正を重ね、定年年齢の引き上げ等がなされてきました。法務省が公表している資料では、「70歳までの就業機会確保」が今回の改正の趣旨として明記されました。

 

企業としては下記①~③についてチェックしておく必要があるでしょう。

 

①そもそも、就業規則等で定年年齢について本法に反する内容を定めていないか

②改正法施行で何がどう変わるのか

③現在及び将来、どのような対応が必要となるのか

 

以下、3回に分けて順番に解説していきます。

今回は①についてです。

 

1.本法で義務付けられている高年齢者雇用確保に関する措置

 改正法施行前の現時点で、下記(1)~(3)のいずれかの措置を取ることが事業主には義務付けられており、義務違反に対しては厚生労働大臣による勧告、公表等が予定されています。

 

(1)65歳まで定年引上げ

(2)65歳までの継続雇用制度の導入

(3)定年廃止

 

 例えば、「62歳で定年、継続雇用制度もない」という会社は上記義務に違反しており、勧告、公表等の対象となる可能性があります。

 では、「62歳で定年だが、優秀な人だけを継続雇用する」という会社は上記義務に違反しているでしょうか。制度の適用対象は原則として希望者全員とされていますので、本人が継続雇用を希望しているのに会社がこれを拒絶するというのは、上記義務違反となる可能性が高いです。

 

さて、今回は現時点で本法によって義務付けている内容を確認しました。

次回からはいよいよ改正法の中身に入っていきます。

引き続きお付き合いいただければ幸いです。

 

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