弁護士の武井です。

 

 前回の更新から時間が空いてしまいました。その間に当事務所のホームページがリニューアルしました。雰囲気が大きく変わり、より見やすくなりました!実は情報量もかなり増えています。当ブログへのリンクもあります!是非ご覧ください(https://minagawa-law.com/)。

今回の記事では、前回に引き続き解雇に関する説明をする予定だったのですが、予定を変更して、情報管理規程について説明をします。テレワーク環境下では、自宅等に資料(電子ファイルも含む)を持ち出すことは避けられないですが、情報漏えい等は避けなければなりません。情報管理に関するルールはテレワーク環境下ではより一層重要となります。当ブログでは、テレワークに対応した就業規則の作成をお勧めする内容の記事を既に投稿しているところですが(https://ameblo.jp/minagawa-ebisu/entry-12611363355.html)、今回は情報管理規程のテレワーク対応について説明します。

 

1.情報管理規程を制定する目的

 情報管理規程を制定する目的は情報管理に関する合理的なルールを設け、当該ルールに基づき実務を運用することで、情報漏えいその他情報管理に関するトラブルを未然に防止することです。

 この事と密接に関連するのが不正競争防止法上の「営業秘密」の問題です。具体的な情報が、同法上の営業秘密として保護されるには、要件の1つとして「秘密として管理されていること」が必要です。事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものであっても、秘密として管理されていなければ、営業秘密としての保護は受けられません。

 営業秘密の不正な取得又は使用等に対しては、差止又は損害賠償の請求が可能です。一定の場合には刑事罰も定められています。

 秘密として管理されていない情報は営業秘密としての保護を受けられないということは、平時の情報管理のあり方が有事の際に求めることができる救済方法にも影響するということです。テレワーク環境下で情報管理がおざなりになっていないか、この機会に確認する必要があります。以下、秘密情報を保護するための情報管理規程の定め方について説明します。

 

2.情報管理規程の制定又は改訂において注意すべきポイント

(1)秘密情報の定義等

 秘密情報を定義する際は以下の2つの視点が必要です。

 

①秘密情報として管理し、保護の対象としたい情報を漏れなくカバーできているか

②法律の専門家でない一般従業員にとってわかりやすいものとなっているか

 

 また、実際の運用としては、秘密情報として管理し、保護の対象としたい情報には秘密情報である旨の表示を目立つ位置に付しておくのが良いでしょう。電子データの場合、パスワードを設定しておくのも極めて重要です。

(2)秘密情報管理の方法

 秘密情報が紙媒体の文書でも電子データであっても(以下、これらを「文書等」と総称します。)、重要なのは、持ち出し禁止という原則を明記した上で、例外的に持ち出しが許容されるための要件を厳格に定めておくことです。

 例外要件の具体的な内容は、会社ごとに異なってくると思われますが、共通する内容として以下のⒶ~Ⓒが考えられます。

 

Ⓐ持ち出しが許容される場合を、業務上の必要があり、パスワードの設定等の所定の措置が講じられている文書等を持ち出す場合に限ること(持ち出しの理由)

Ⓑ事前に、上長等に所定の申請を行い、許可を得た場合に限ること(事前手続)

Ⓒ業務上の必要がなくなった後の、返還又は破棄のルールを明確に定めること(事後手続)

 

3.テレワークに関する社内ルールが整備されていない場合の問題点

 テレワークへの移行に十分な準備期間がなかったため、未だにルールが整備されておらず実態先行となっている会社も少なくないと思います。しかし、社内ルールが整備されていないと、秘密情報の管理が不十分となり最悪の場合には情報漏えい等につながるおそれもあります。また、就業規則がテレワークに対応した内容となっていない場合、勤怠管理、賃金や手当の算定・支払、テレワークに要する費用の負担等で従業員との間でトラブルが生じるおそれもあります。

 今後もしばらくはテレワークが続くことが予想される以上、合理的な社内ルールの整備は急務です。是非、当事務所までご相談ください。

 

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