東奥日報・明鏡欄 2010年10月21日(木)

■再処理工場完工 18回目の延期に
 (宮城県石巻市・会社員・武藤北斗・35歳)

 六ケ所村の再処理工場の完工が延期されました。延期は18回目になりますが、そのたびに日本原燃は「今回こそは」という言葉を強調してきました。しかし延期は繰り返され、労働者の被ばく事故、高レベル放射性廃液の漏えいなど大きな問題を起こしてきました。本当にあと2年でアクティブ試験が終わり、これまでのような事故が起きないのでしょうか。私は不安で仕方がありません。
 さらにお金の問題も気になるところです。日本原燃に出資している電力会社は、私たちが支払う電気料金で成り立っています。そして失敗続きのガラス溶融炉は、改良型の開発に巨額のお金が国から補助されます。これこそ、事業仕分けの対象になってもおかしくない問題ではないでしょうか。
 これまで再処理工場につぎ込んだ2兆円を超えるお金が持続可能エネルギーの研究に使われていれば、どのような青森県や日本になっていたでしょう。放射能のごみも出ず、化石燃料に依存しないクリーンな社会を提案している素晴らしい地域や国になれたのではないでしょうか。いや、考え直すのは今からでも遅くはありません。より良い方向に皆でかじを切りたいものです。