冬の匂いがはっきり感じられるようになると、
街の雰囲気もどこか静かに落ち着いていきます。
日が暮れるのが早くなり、
夜の時間がゆっくりと伸びていくのが12月。
そんな季節の中で迎える満月は、
光が澄んで見えることがあります。
空気が冷えている分、月の輪郭がくっきりして、
冬の夜ならではの透明感が広がります。
一年の終わりが近づくこの時期は、
出来事を振り返るというより、
「ここまで来たんだな」と自然に思える季節。
急ぐわけでもなく、立ち止まるわけでもなく、
ただゆっくり整えていくような時間が流れています。
この一年の中で、変わったこと、続いたもの、
知らないうちに手放していたものもあったはず。
そのどれもが積み重なって、今の自分を形づくっています。
冬の夜空に浮かぶ満月は、
そうした流れを静かに受け止めるには
ちょうどいい光を放っているように感じます。
冷えた空気の中で月を見上げると、
今年の終わりと来年の始まりが、
遠くない距離で並んでいるような気がします。
