岩沼市民会館の駐車場有料化に関する説明会が7日に会館の中ホールで開かれ、市側がこの4月から実施する予定の市民負担(有料化)を新たに導入する方針を示したのに対して、市民会館を利用する市民ら約30人が次々に意見を述べました。ほとんどが反対意見で、市の幹部らはいろいろな意見を「引き取る」という表現で、会に出席しなかった佐藤淳一市長に「説明会の空気」を伝える旨を表明して会議を締めくくりました。

         (7日、オレも言いたい。私もひと言。熱気むんむんの説明会)

 

用意された席は約170席で、ほぼ席が埋まる中で「維持管理費がかかるのは当たり前。その穴埋めを市民負担がするの?」とか「白紙撤回を!」などという意見が出ると、拍手が沸き上がりました。有料化がハッキリしてから日が浅いし、市民の理解が得られているとは思えないことなどを勘案すると、実施時期をずらすなどして、少なくとも「手順や手続き」の面で市民の不満などを解消することが先決ではないか、また、いっそのこと白紙撤回してはどうかと思いました。

 

前日6日には2月定例会が、淳一市長によって告示されました。ということは、令和6年度の一般会計当初予算などの議案が提案されたということです。有料化に関する予算は市の歳出(支出)には全く現れません。有料化のための機材などは業者がすべて設置(支出)します。業者が市民会館の駐車場という岩沼市の土地を借りて「有料駐車場という商売」を始め、賃借料約1280万円(年間)を利益があろうがなかろうが市に払います。市としては貸付という財産収入として予算が計上されています。

 

市議会の自民党や公明党のいわゆる市長寄りの会派が合同で、開始時期を含めた「慎重な進め方」を市側に要望しているらしいのですが、市側の英断が求められていると思います。意見を述べた人の中には市政に協力的な体育協会関係者や陸上競技団体ほか、絵画やコーラスなどの文化団体の人もいました。こうした人の納得が得られない中で「4月実施」にこだわるのは得策ではないでしょう。

 

この日の説明会は市民会館を抱える教育委員会が主役。これまではこの問題は市長部局に新設された「政策部」の「総合戦略課」が担当していました。早い話、市長秘書課みたいなセクションです。説明ではまず、目的は駐車場の適正管理です、と規定されます。市民会館は今年の5月でまるまる築38年になりますが、維持管理費は年約1億7600万円かかると示され、そして受益者負担論が語られ、会館を使わない人との公平性の観点から、使う人から駐車場料金を頂くとなるのであります。

 

そこで、料金設定の話となり、「最初の30分無料。以降30分につき100円ですが、最大500円までしか頂きません」。だから、3時間で500円ですが、会館ほか総合体育館(ビッグアリーナ)や陸上競技場、多目的グラウンド、総合福祉センターの利用者は入場から3時間は無料となります、ですがこの「利用者」が曲者(くせもの)なのです。この利用者に該当するには条件があるのです。

 

続いて、壇上に並ぶ駐車場管理の業者からの「利用方法の説明」があり、参加者は映し出される画像を見なが「有料化システム」を勉強? しました。これは後の意見表明の場で「ここに業者がいるのがおかしい」「もう、有料化はやることが決まっているんだ」という、説明会の開き方に関する苦情になっていきます。

 

この有料化問題は、昨年9月定例会の市政報告で淳一市長が「駐車場の適正管理」に言及したのが始まりでしたが、11月定例会(12月に市議選があるので繰り上げ招集)になると、適正管理の意味は「有料化であること」と分かり、定例会が閉会した2日後の11月26日付新聞折り込みに入れて発行した「大友健の議会報告 第5号」で、市民の皆さんにお知らせしました。それからまだ2カ月ちょっとしかたっていません。

 

その見出しは「2時間半500円/受益者負担を押し付け」でした。今月2日に開かれた市議会全員協議会で私は「3時間500円」ということは、私が昨年11月に聞いたときからみると「修正したのですね」と確認すると、市側の答弁は「修正したのではなくて、決まっていないことが書かれた」というものでした。私が聞かないで書くわけはなく、聞いたときの答えをそのまま書いたのですから「あのときから変わったのです」と言えばいいはずが、そうは言えないみたいなのです。

 

それはともかく、この日の意見は大雑把に分けると、①有料化への疑問②手順・手続き・説明会の位置付けへの疑問③有料化の意味・意義への懐疑④有料化の仕組みの確認―だったといっていいでしょう。

 

受益者負担への疑問が①の大きな部分ですが、ほかには公共施設の役割から見てもおかしいとか、不適切な駐車車両を排除するために全体を有料化するおかしさを指摘する意見もありました。賛同の拍手を誘った「維持管理費はかかるもの」という声もありました。

 

スポ少で子供を送迎している親からは「駐車の料金を取る施設はどこにもないという体験談や、公共の施設を使っている人と使っていない人とを「負担の公平」の観点から区別するのはおかしいという視点もありました。適正管理が目的なら、それが有料化に直結するのは「飛躍しすぎ」じゃないかという反論もありました。

 

②の説明会の位置付けなどでは、今日のこの日まで事前の説明が全くないのはおかしいとか、結論を変えないのでは説明会を開く意味がない、市がやると決めてからやることを説明するのでは順序が逆ではないか、きょうの説明会は「市がこうやって有料化をやりますよと語る『報告会』に過ぎないのではないか、といった不満なども語られました。

 

また「3時間500円」を減免して、「入場してから3時間は無料」としたのはスポーツ系も文化芸術系の代表らも利用者の実態を反映していないのではないか、「3時間」の区切りの設定の根拠は何なのか、料金設定の再考はないのかという疑問も提起されました。聞くだけというジェスチャーではないのか、市民の意見を尊重するという姿勢があっていいのではないかという声もありました。

 

有料化の結果どうなるかといった③に関しては、無料は3時間までなどとこだわっていたら、競技団体の利用はやがて減りますよという「予告」もありました。利用率が減っているのに有料化があったらさらに減って活性化が衰えるという懸念も語られました。絵画の関係者からは「およそ市民に寄り添った政策とは言えない」という感想も表明されました。

 

④は有料化の実際に関する意見では、大型バスも30分100円かという疑問や満車状態などは読み取れるのか、事故の心配とか悪影響はどうかという心配や、駐車料金は別建てではなく、会議室とかの使用量に含めてはどうなのかという提案もありました。また、業者も資金を回収できるのかリスクを負っているのではないかとする意見もありました。

 

さて、冒頭に書いた説明会の名称は、私が咀嚼して「どういう説明会か」が分かる表現にしました。この日会場で配付された資料によると、説明会の表題は「岩沼市民会館・中央公民館等駐車場の利用方法に関する説明会」です。分かりやすい「有料化」という言葉はどこにもありません。これが市民をごまかす、その始まりで、市民には分かりにくい説明を繰り返すという不誠実さを象徴しているようです。

 

国レベルの話をすると、かつて「武器輸出三原則」という言葉がありました。これを今は「防衛装備移転三原則」といいます。武器が防衛装備に代わり、輸出が移転に言い換えられています。効果としてはイメージがわかなくなります。最近だと、敵基地攻撃能力が反撃能力に言い換えられています。攻撃と反撃ではニュアンスが大きく異なるのですが、言葉によるごまかしです。

 

以下に、この日の説明会で配布された資料をアップします。2月2日の議員全員協議会では配布されませんでした。議会軽視だと思います。その日、「駐車場の出入り口は何カ所になったのですか」と私が聞いたら、「北駐車場が3カ所で東は1か所」という回答だけは得ていました。

 

議会軽視と言えば、淳一市長は全員協議会の2週間前に当たる1月19日の区長会で「会館利用者は3時間無料」と、あいさつの中で公表していたそうです。「利用者」の意味は前述したように、くせものですが、、、、 翌日の20日には市民会館で開かれた防災関係の講演会のあいさつでも語っていたといいます。それを聞いた人から「健さんのチラシ(議会報告)と違ってたよ」とも言われました。

 

これが本当なら、議会軽視ですよね。また、会館利用者を対象にしたこの日7日の説明会を前にしての「市民軽視」と言えるかもしれません。いやあ、受益者負担を軽々に持ち出すことこそが「市民軽視」の最たるものなのです。国で言うなら「増税」に相当するのではないでしょうか。