橋本治著「二十世紀」より(一部抜粋) 前回より引き続き
「新しい女の時代」に山口百恵は少しも新しくなかった![]()
山口百恵の新しさは
新しさが主流になろうとする時代に
平気で”古さ”を掲げたことだった![]()
彼女が「結婚」を選択した1980年は
日本で最初の女性のための就職情報誌『とらばーゆ』が創刊される年である![]()
その時代に 彼女は「仕事」を選択しなかった![]()
それでも彼女は「女性の時代」のシンボル的存在になっていた![]()
山口百恵とは何だったのか![]()
彼女は「貧しさから抜け出すことと![]()
愛を得て幸福になることはイコールである」
という![]()
それ以前の日本人の常識・・
あるいは幻想
または理想を![]()
公然と達成してしまった最初の人物である![]()
その「公然」はテレビメディアが可能にしたのだが![]()
山口百恵はまた その「公然」を得ることによって
【日本人の幻想を達成した最後の人物】にもなってしまった![]()
山口百恵以後
同じことをしても『山口百恵の二番煎じ』
にしかならないからである![]()
山口百恵が達成した[日本人の理想]は
日本近代の始まりから持ち越されて来たような古いものである
「ただの当たり前」にしかならない![]()
だから山口百恵以後 日本人は新しい選択肢を持たされる![]()
「ただの当たり前」を目指すか![]()
「日本近代に前例のないあり方」を模索するかのどちらかである![]()
もしも その理想が正しかったのなら
その後の〈当たり前の日本人〉はみんな幸福になる![]()
しかしそうでなかったら![]()
山口百恵以後
「貧しさから抜け出し
愛を得て幸福になる」
という信仰は正しかったのかを![]()
日本人は改めて問われるのである
(完)
橋本治さんの考察で![]()
百恵ちゃんを通しての時代背景を知ると![]()
過去の自分自身の出来事が蘇りますね![]()
そして
毎日を普通に生きている素晴らしさを噛み締める![]()
そんなふうに思ってもらえたらいいなぁーー![]()
普通が激動に結びつくことも理解しないといけないし![]()
人を生きにくいものにする時代でもありますね![]()
一体
此の先
何が変化し
何が変わらないのだろう![]()
それでも![]()
百恵ちゃんが拘り
自身が手繰り寄せた![]()
「愛を得て幸福になること」は![]()
すべての人の普遍的価値に繋がると信じます![]()