宝塚歌劇団・花組博多座公演 『あかねさす紫の花』 『Santé!!』ライブ中継感想 | 大海の一滴、ミルキーのささやき

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舞台・映画・小説の感想を自分勝手に書き綴る、きまぐれブログ。


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スタッフ

『あかねさす紫の花』作:柴田 侑宏 演出:大野 拓史
『Santé!!』作・演出:藤井 大介

キャスト

大海人皇子:明日海 りお
額田女王:仙名 彩世
中大兄皇子:鳳月 杏
天比古:柚香 光
中臣鎌足:瀬戸 かずや
鏡女王:桜咲 彩花
小月:乙羽 映見
十市皇女:音 くり寿
斉明天皇:花野 じゅりあ
鏡王:高翔 みず希

 

※公演中なので、観ていない人は読まないでください。

あらすじ

この舞台は後の第38代天皇・中大兄皇子(鳳月杏)と、その弟・大海人皇子(明日海りお)が、女性を巡って一悶着する物語です。
時は大化の改新前後。
中大兄皇子は天皇中心の世を取り戻すため奔走、数々の手柄をあげ、飛ぶ鳥を落とす勢いです。
少年・大海人皇子は政に長けた兄を誰よりも尊敬し、ついていこうと心に誓っていました。
ところが1人の少女によって2人の信頼関係はグラグラと揺らぎます。
少女の名は額田女王(仙名彩世)。
彼女は神事の際に、神のお告げを伝導する踊り手見習いです。
まだ幼く、朝廷とカリスマ皇子にミーハーな憧れを抱く夢見る夢子さんです。
中大兄皇子はガキンチョ額田を相手にせず、姉である鏡女王(桜咲彩花)を妻に迎えまし た。
大海人皇子は幼い恋が実り、額田女王と結ばれ、子も成します。
兄は姉と弟は妹と…めでたしめでたしとはいかないのが、男と女。
中大兄皇子は、男装で美しく舞い踊る成長した額田女王をみた途端、急速に惹かれてしまうのです。
例えるなら、研1の頃は目に留めもしなかったのに、トップスターになった途端“堕ちて”しまったようなものですね。
大海人が「俺は予科生の頃から目を付けていたのに!」と言ったかどうかは定かではありません。
中大兄が額田に惹かれただけなら、そんなこともありましょうで終わるのですが、なにせ欲しいものは手に入れなくては気がすまない性分、大海人皇子と額田女王を離縁させ自分のものにしてしまいます。
当然ですが、納得がいかないのは大海人皇子です。
蘇我の残党が不穏な動きをみせる中、兄弟仲の亀裂を知られるわけにはいかないからと、中大兄皇子の娘を嫁にすることを強いられたから尚更です。
兄嫁になった元嫁が野に佇むところへ、供も連れずに馬を走らせる大海人皇子。
涙、涙の再会になりますが、かといって過去は取り戻せず…

1979年の初演から、39年。
幾度となく再演を繰り返している万葉ロマンです。

『あかねさす紫の花』感想

本題に入る前にお断りしておかなければいけないことがあります。
これは、ライブ中継の感想だということです。
元来舞台は生で派なのですが、博多まで行けないこともあり映画館で観劇しました。
劇場の温かい拍手や盛り上がりは体感できましたが、役者の空気、息づかいを肌で感じることができません。
“ライブ ”とはいえ、これでは舞台を観たとはいえないな、と思いましたね。
本物の舞台を観たらまた違った感想になるかもしれないので、なんちゃって感想として捉えて下さい。

いやあ、面白かったです。
何度も観ている“あかねさす”ですが、目から鱗でした。
なにが鱗だったかといいますと、エンディングへの向かい方です。

初めて“あかねさす”を観た時の感想は、「これで終わり!?」でした。
尻切れとんぼで、未消化のままだったんですよね。
額田が大海人の元を去ってから10年以上経つというのに、今更何故酔って兄に刃を向けるのか、とんと理解できませんでした。
また、つい先日のことのように新鮮に怒るから不思議じゃありませんか。
いや、わからなくはないんですよ。
額田を忘れられない、それほど想いが強かったんだと言えばそうなんでしょう。
しかし、クドいようですが経った年月は10年以上です。
平均寿命30、40年時代の10年以上ですから、それはもう、しぶと過ぎると言わざる得ません。
時の流れは燃え滾った愛や怒りをも鎮めます。
実質的な距離は、心の距離にも値します。
個人差がある、昔の人は違うと言われれば納得するしかないのですが、理屈っぽい私には大海人の行動が不自然に映りました。

そして額田は2人の間で揺れ動くにしても、なんだかんだで大海人に気持ちがあるのだと思っていました。
中大兄に対しては、権威ある男に逆らえずにいる、的な感じでしょうか。
演出もそのようだったと記憶しています。
ゆえに大海人は額田に好かれているにも関わらず、自暴自棄になるのはおかしな話だと感じたのです。

気持ちが通じ合ってさえいれば、自ずと余裕が出てくるものですよ。

おまたせしました。
花組公演の感想です。
私の思い込みでなければ、これまでと演出の根本を変えたように受け取れました。
額田は最初から、中大兄にベタ惚れでした。
大海人と結婚してからも変わりません。
本心は中大兄にあったのです。
さあ、気の毒なのは大海人です。
額田は自分を好いていると信じる気持ちが、もしかしたら兄のことも好きなんじゃないか、そして更に、自分ではなく兄が好きなんだ、という気持ちへの移行。
こうなると、最後の乱舞もわかるのです。
片思い男の怒りが爆発したんですね。
大海人があまりにもかわいそうで、切なくなりました。
“よかった・・・ある程度、物語として 完結していた”幕が閉じ満足した途端、周囲の声が飛び込んで来ました。
「話の続きは休憩後?」
うーん、私の思い込み、だったのかもしれません。

『Santé!!』感想

これまで花組で上演した藤井大介氏作・レビューシーンのピースを組み替えただけで、オリジナリティが不足しています。

もっとトップスターをはじめ組子のカラーが生きる演出をお願いしたいですね。
男役の女装を大放出すれば満足というわけじゃありませんよ。
そうはいいつつ、私が好きだった場面は、明日海りおさんがドレス姿でありながら背中で語るシーンです。
あの後ろ姿は、重責を担ってきた男役トップスターの背中でした。

キャスト感想

後の天武天皇・大海人皇子を演じたのはトップスターの明日海りおさんです。
先にも綴りましたが、明日海さんの演じる大海人がかわいそうで、やるせなくなりました。
といいますのも、明日海さん演じる大海人は、額田に対し、これ以上になく優しく話しかけるからなんですよ。
その柔らかな物腰と態度が、まあジェントルマン。
額田の気持ちを知っても責めないのが、更にジェントルマン。
優しい男は損をする典型で、歯がゆいったらありゃしません。
「額田、大海人にしておきなって」
“あかねさす”を観た誰もにそう思わせる役作りです。
今回、明日海さんの大海人バージョンで観たのですが、中大兄バージョンはどうなるんでしょう。興味がありますね。
歌声も素晴らしく、明日海さんの若々しい容姿が生きていました。

モテジョ額田女王を演じたのは娘役トップスターの仙名彩世さんです。
一見、娘役トップらしくは見えず、アニメ声も不利に感じる仙名さんですが、演技プランがしっかりしていたので無理なく額田女王として受け入れることができました。
鳳月杏さん演じる中大兄皇子が求婚するシーンでも、中大兄に対する怯えではなく、惹かれてしまう自分の気持ちに対する怯えがくっきりみえましたよ。
今回の“あかねさす”が新鮮にみえたのは、演出の意図を体現できた仙名さんのおかげといっても過言ではありません。

最後に

“あかねさす”を観て、花組全体がグレードアップしているように感じました。
もちろん、どんな組・どんなジェンヌも日々向上するため努力していることと思いますが、花組はグッと引き上がっています。

これぞ組力。
タカラヅカを観る楽しみのひとつとして、成長過程を観ることが挙げられますが、まさにその楽しさを提供してくれました。

Fin

 

 

 

 

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