時に、

残月、光冷やかに、

白露は地に滋く、

樹間を渡る冷風は

既に暁の近きを告げていた。

 

ときに、

ざんげつ、ひかりひややかに、

はくろはちにしげく、

じゅかんをわたるれいふうは

すでにあかつきのちかきをつげていた。

 

─『山川記』 中山敦 

 

 

一昨日のことである。

Xで以下のようなアメリカ人からのポストがあった。

 

マイケル・ジャクソンはどちらかと言うとパフォーマーであり、自分で曲を書くことさえなかった。

 

さらにその数日前の8月30日にも日本人から湯川れい子さん宛に以下のようなポストがあった。

 

エルビスもマイケルも、若い頃とは別人の様になり、不幸な亡くなり方をなさいましたが、ポールやディランは今でも精力的に創作活動をしています。

批難を承知で申し上げますが、シンガーソングライターと、そうではない人の違いなのでしょうか?

 

因みにシンガーソングライターとは、一般的にポピュラー音楽(ロック、ポップス、フォークなど)の分野で、自身が作詞・作曲した楽曲を歌うアーティストを指す。

歌手と異なる点は、自分で作詞作曲しているか否か。

 

このポストに対して日本を代表する音楽評論家の湯川れい子さんは次のように回答をした。

 

マイケルも、超立派なシンガー・ソング🎶ライターでしたが、生きているショウ・ビジネスの世界🌏が違いました。

エルヴィスのマネージャーのトム・パーカーも、マイケルのお父さんが組んでマイケルを売ったドン・キングと言うとプロレスの世界のプロモーターも、マフィアのようなやり方で興業を成功させて生きて来た、前世紀のゴーストみたいな興行師達だったのだと思います。

 

《注意点 1》

エルヴィス・プレスリーは歌手と俳優として活躍。

マイケル・ジャクソンはシンガーソングライターでダンサー。

つまり、同じミュージシャンでも、エルヴィスは作詞作曲をしない歌手であり、マイケルは作詞作曲をするシンガーソングライター。

そもそも同じ土俵で比較するのはおかしい。

 

《注意点 2》

ポール・マッカートニー(アイルランド系のイギリス人)やボブ・ディラン(ユダヤ系のアメリカ人)と違い、エルヴィスには生粋のチェロキー・インディアンの血が流れている。

マイケルは説明するまでもなくアフリカ系アメリカ人。

白人か有色人種かの違いが、前世紀のゴーストみたいな興行師達との接点をもたらせたのか?

 

 

日米で奇しくも同じような誤った知識がXの中で話題となった。

これぞ、バタフライエフェクトなのか?

 

《バタフライエフェクト》とは、

ブラジルで蝶が羽ばたくと、テキサスで竜巻が起こる。

 

日本では湯川れい子さんが無視することなく誤った知識の訂正に立ち上がってくださった。

アメリカでも超大物がマイケルの為にポストをしてくださった。

正しく東京で蝶が羽ばたき、北カリフォルニアで竜巻が起きたのである。

 

 

 
まったくの間違いです。
 
彼(マイケル)は、いくつかの例外を除いて、すべてのヒット曲を書き、
ヒットとなったより進歩的な曲を残すために有名なプロデューサーと
戦わなければなりませんでした。
 
彼は楽器を学ぶ気はなかったので、
ミュージシャンに全ての音符を歌わせたが、
それは彼の場合、
正当な理由によるものだった。
 
あれだけの年月、
あれだけの曲の中で、
MJの曲の楽譜を
書き写したミュージシャンで、
彼が作曲者としてクレジットされるべきだと
文句を言う人は一人もいなかった。
そんなことは起きない。
 
その後、MJは共作者たちに革新を求める
プレッシャーをかけましたが、
彼らの作品を聴けば違いがわかります。
 
彼は誰かが音を奏でる前に、
作品全体を聴いていた。
偉大なミュージシャンやプロデューサーが
彼を喜ばせようと努力する間、
彼は辛抱強くレコーディングを続けた。
 
 

 

 

マイケルの誤解を訂正するために立ち上がってくださったのは、アルバム『Dangerous』のプロデューサー、ビル・ボットレル氏である。

世界中のファンの多くがビル・ボットレル氏のポストに溜飲を下げた。

 

マイケルの姉、ラ・トーヤ・ジャクソンも弟マイケルの仕事ぶりを1991年9月10日に『インサイド・ザ・ジャクソン・ファミリー』に記している。

 

 

仕事をしているマイケルを見るのは魅力的なことだった。

マイケルもあたしもピアノは上手ではないけれど、メロディくらいは弾くことができた。

 

マイケルは頭に浮かんだメロディをピアニストに伝えたりテープに吹き込んだりし、そのあとでそれぞれの楽器がスキャット(*歌詞を伴わない歌唱)していって、どんどん音を重ねていくというのがいつものパターンだった。

 

「ダー、ダ・ダ・ダー、ダー、ダ・ダ・ダー……、ドラムはそれでいこう、ベースは、ア・ダン、ダン・ダン・ダン、ア・ダン、ダン・ダン・ダンとこんな感じで……」といった具合にマイケルはギター、キーボード、ホルンの各パートも聴いていき、それを全部声に出して繰り返すことができた。

 

とても人間業とは思えない光景だった。

各パートが全部重ねられてプレイバックされると、楽器の代わりに声を使ったフルバンドのように聞こえてくる。

 

レコーディングでは少しは冗談ぐらい出るのかと思っていたけれど、マイケルにとって作曲とは“真剣な仕事”である。

 

「用意はいいかい?」とインターフォンで伝わってくる声は、まるで違った人のような力のこもった感じだった。

 

「いいね、こんな風に歌ってほしいんだ……」と、マイケルはそのフレーズを正確に歌ってみせた。

 

編集録音が全部終わってテープを聴いたとき、あたしはとても喜んだ。

でもマイケルはよくよく考えたあげく、録音の編集をやりなおした。

 

      ─第5章その10

 

 

仕事仲間のビル・ボットレル氏の証言と姉ラ・トーヤ・ジャクソンの証言とは、三十年以上の隔たりがあるものの見事に一致している。

マイケルの仕事ぶりは当たり前だが変わらない。

 

ただし、マイケルファンを装うマドンナファンと、同じくマイケルファンを装うリサ・マリーファンとやり合った経験上言わせてもらうと、どんなに真実を積み上げてみせても彼らは見る目も聞く耳も持ち合わせてはいない。

それでも、その都度マイケルのために正義を果たすことが、マイケルへの恩返しであり愛情と尊敬と誠意を示す唯一の行動だと思っている。

 

 

さてさて、今年の白露は昨日。

明日は重陽の節句。

季節の変わり目であるので皆様もご自愛くださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Thank  you  for  the  upload.

 

 

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開催日時は9月下旬の予定

決まり次第告知します

 

そしてその前に

久々に

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9月14日(土曜日)

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