難治性肝斑（当院での最難治の症例）

昨日のブログで、オンラインで参加した「カスタマイズ治療研究会」のテーマが『難治性肝斑』だったことをご紹介しましたので、今日は、当院における『難治性肝斑』のモニター患者様のご紹介をしようと思います。

ご紹介する患者様は、横浜のKO Clinicに見学にお邪魔した際に、これまでの治療経過をスライドにまとめて、黄先生にも相談させていただいたほど、私が難しいと感じている患者様です。

ご紹介する患者様は、私の前職時代にも美肌治療で通院してくださっていた患者様です。その頃にも軽度の肝斑がありましたが、レーザーによるシミ取りや光治療を行っています。

みかこクリニックを開院して半年ほど経過した頃、その患者様がしみ治療ご希望で来院されました。拝見すると、驚くほど肝斑が悪化していました。

その間にご病気になられて治療されたというお話もお聞きしましたが、その治療の影響があったとしても、ちょっと腑に落ちないほど悪化していました。一見して、ピコレーザーをもってしてもレーザー治療を行うのは危険ではないかと感じました。同業の友人に相談しても、肝斑がこれほど悪化する何か別の理由があるのではないかという意見でした。色々聞き取りを行っても、ここまで肝斑が酷くなる他の理由がよく分かりません。何か原因はないだろうか、皮膚科の先生のご意見も伺いたいと思いました。そこで、以前にお付き合いのあった、シミ治療で有名な名古屋市内の皮膚科の先生のクリニックを紹介し、受診していただくことになりました。受診後にその先生にご意見を伺うと「普通にシミ取り放題をやっていいと思う。その後に、トーニングで肝斑を改善させていけばよいと思う。」とのことでした。かなり意外な気がしましたが、経験豊富な先生がおっしゃるならと、治療をお任せすることにしました。

正確には覚えていませんが、その１～２年後に、その患者様の経過が気になって電話をしてみました。患者さまからは「ちっとも良くなっていない、逆に悪くなっている。」というお話があり、私としては大変申し訳ない気持ちになりましたが、その当時は肝斑を改善させる有効な手段がなく、それ以上のことは何もできませんでした。

その後、みかこクリニックに『シルファームX』を導入しましたので、早速電話をして再来していただきました。下の写真がその時の状態です。

患者様がおっしゃる通り、確かに悪くなっています。患者様によると、トーニングを繰り返す度にどんどん悪くなるので、コースを組んだものの、行くのをやめたとのことでした。そのクリニックでは、シミ取りのレーザーを行った医師とトーニングを行う医師が別で、トーニングを行う医師も日によって異なることに加え、画像診断も行っていないので、肝斑が悪化していっていることに誰も気が付かなかったのだと思いました。

その後、様々に治療を開始して、現在に至ります。

その間に行ったことは、肝斑の内服と外用、それに『シルファームX』を５回です。まだシルファームも使い初めだったこともあって一旦悪化させてしまい、それを直した後に再治療に臨んだりということもありました。

先日、患者様から「これを続けていったら良くなるのかしら？」という質問をいただきました。治療費用についてはチップ代などの実費負担以外は無料で行っていますので、経済的な負担とかいうことではなく、良くなる確証もないまま治療を継続すること自体に大きな不安と負担があるのだと思いました。私は「絶対というお約束はできないですが、今現在はこれが最善の治療だと思います。保証はありませんが、良くなると信じて頑張ってみましょう。」とお答えしました。先日のカスタマイズ治療研究会でも、８年にわたり治療を継続して少しずつ改善されている方のお話をお聞きしましたので、１年たらずで諦めるのはもったいないと思うのです。とても長い道のりですが、こんなに良くなりました！と、いつかこのブログでも報告できる日がくるといいなと思っています。

この患者様の治療経験からお伝えしたいことは、肝斑の状態によってはレーザー治療はやはり危険であること、画像診断を用いて同じ医師が経過を見続けることの重要性です。ご参考にしていただけましたら幸いです。

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