文科省のキャリア教育を深掘る-その58「将来のリスクにどう対応するか?」 | 問題意識の教材化(MIK)ブログ

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2月27日の一読は前回の続きで「2 将来起こり得る人生上の諸リスクへの対応」の事例までです。


キャリア教育が人生全般に関わるものですから、当然、将来の危機的なリスクにどう対応できるかということも視野に入ってきます。その点に関しては、学校教育がいかに無力かは本報告書の事例を見て実感しました。


事例となっていたのは「岡山県立和気閑谷高等学校」でした。なぜこの高校を選んだかの説明はすごくわかりやすかったです。

「事例校は、岡山県南東部に位置する和気町にある。町は過疎化の一途を辿っており、地域の人口減少とともに事例校の生徒数も大きく減ってきている。全校生徒約260名(令和4年度)の8割以上が地元周辺から通っており,大多数が地元への進学や就職を希望している。大学への進学は、家庭の経済的状況や保護者の意向等から敬遠されがちで、奨学金制度 (貸与型) も後々の返済を不安視して、利用には消極的である。就職については、仕事内容よりも給与などの条件面を優先しがちで、適性や将来への見通しの視点が乏しい状況にある。」(107ページ)


ここで注目すべきは、通っている生徒たちは地元に居続けることを希望しているにも関わらず、従来の教育では不十分だという認識があることです。そこで始まったのが「ライフプランニング授業」です。


しかしながら、この授業の説明の開口一番、外部の専門機関との連携が不可欠だということが明記されていて、地域の主体的な教育が実施されにくくなっていることを痛感しました。ライフプランニングの専門家が地域の実情に踏まえて専門知識を噛み砕いて学生たちに伝える保証はないわけですから、実際にどの程度、地元でキャリアを形成し続けたいと思う学生がいるのかが気になりました。