東京よみうり巨人軍…7月の負け方の酷さに家人の体調が狂ってしまい微熱が続いていました。
このところ…その負け試合にも慣れて来たのか、少しは熱も治まっていたのですが、夕べの試合・・・亀井のサヨナラホームランで興奮したものか「熱い熱い」と朝から叫んでおります。
「あのね、俺の熱はね腎盂腎炎って診断されてんだよ。巨人なんてもんに左右されて堪るか!」
まだ首位にはいるものの阪神タイガースが3ゲーム差ですぐ後ろを追って来ています。
「阿部を休ませて小林を使えばいいものをサ、俺が巨人の監督ならガラッとスタメンを替えて臨むね」
お気楽なことを言っているうちに、アッと言う間に7月も今日で終わりであります。
巨人は移動日で本日・試合がありませんので、微熱とは言え、念のため東京医科歯科大へ電話を入れましたら…
「37度8分ですか?点滴をしておいた方が安心ですから、すぐ来て下さい」
「ほら!泌尿器科があーたを呼んでいる…!出掛けるぞぉ」
「呼ばれてんのが泌尿器科なんて、大きな声じゃ言えないよなぁ」
声に出すなんてとんでもない!
大丈夫!心配しないで…こうしてパソコンに書いてるから…
東京医科歯科大病院に降り立ちますと…屋上にクレーンが立ち上がっていました。
この病院は、東京消防庁・救急救命医療・ヘリ搬送協定病院に指定されていますので、高層病棟にはヘリポートが設置されています。
昨年、家人が入院をしているときに、館内放送がありまして「これから、救急救命ヘリコプターがこの病院に到着致します。大きな音が響きますがご了承下さい」…徐々に近づいてくるその搬送するヘリの爆音に、多くの患者さんが廊下に出てヘリコプターをひと目見ようと、開かぬ窓ガラスにホッペをくっ付けていました。
そのヘリポートの改修工事だそうです。
戸田建設が工事の入札を獲得したようで、暑い中着々と改修が進んでいるようであります。
「幾らで落札したのかねぇ~戸田さんは」
「国立だからなぁ…俺だって乗りたいってダダをこねたら乗れるんだよな?」
ダダをこねるほど元気なら、旋回だけして帰っちまうわ!
処置室での点滴は腎臓の腫れを抑えるための抗生物質と栄養剤の2種類が同時に行なわれます。
この「ビーフリード輸液」は牛肉の成分ではなく、アミノ酸・ビタミンB1・ブドウ糖など、水分補給が主でありまして、ゆっくりと3時間ほど掛けて体内に送られます。
家人の細い腕には、何本もの注射跡が残り、警視庁の麻薬班が見たら、チョィと勘違いされてしまいそうです。
「日本の警察はそんなアホじゃないわ!」
何やら廊下が騒がしいので、顔を出して覗いて見ました。
「おぉっ~」
また戝前五郎・一団の回診のようです。
泌尿器科の若きエースが大御所・教授のお供をしています。
男女入り混じって、これだけの泌尿器科の先生がいらっしゃると、下半身に希望の光が見えるようで、白衣を纏った先生方の背中が眩しく見えます。
「しっかしサァ、なんで選りによって下半身も下半身、排泄器官を専攻したのかなぁ?」
「バカを言っちゃいけないよ!排泄器官ではあるけれども、繁殖器官でもあるんだよなぁ…だけどもサ、俺はその期間をとうに過ぎちゃって、本当に排泄器官だけになっちゃった…」
ふたりして落ち込んでいたら…
私の携帯に、読書仲間であった鎌倉の友だちからメールが入りました
「お久しぶり!すっかりご無沙汰してしまいました」で始まるメールには、毎日このブログを読んでくれていることや、根津神社に躑躅を見に行ったこと…北海道への旅行の話、家人の熱の心配をしてくれたりと盛り沢山に書かれていました。
嬉しいな~
携帯ではあるけれど、鎌倉の風に吹かれたような爽やかな気持ち…そして穏やかな気持ちになりました。
またすぐに追伸がありまして、北海道のガイドさんから聞いた話に興味を持って、吉村昭・著「海の祭礼」を今、読んでいること…山本兼一・著「火天の城」を読破していることなどが届きました。
安土城構築から炎上するまでを描いた、お城好きなファンを唸らせた1冊…松本清張賞を受賞した読み応えのある時代小説です
山本兼一氏は、今年2月に57歳の若さで亡くなってしまいましたが、直木賞を受賞した「利休にたずねよ」は記憶に新しいかと思います。
鎌倉にいたころは気に入った本をお互いに貸し合ったり、情報交換したりしてそれは気心を許して仲良くして頂きました。
「吉村昭を読んでいるなんて凄いなぁ~私なんてサ、ここんとこ暑いのを言い訳にして、ぜんぜんページが進んでいないもの」
「俺は点滴はしているけども、元気でいるって伝えてくれる?それよりサ、よく北海道へ行ったもんだなぁ~俺たちなんかサ、あのお兄ちゃんがいると思っただけで、足が竦んじゃうもんなぁ…」
「そうだよねぇ…もし行ったら、お土産はコロッケとトウモロコシを持たされるからね!行くとしてもサ、北海道の真ん中辺りは避けて行こうね」
点滴のブドウ糖はこのぶどうなどの果糖から摂ったものだそうで、だったら…このぶどうを食べればいいんでないの?
先生が仰るには、確かにぶどうには多くのグリコーゲンが含まれてはいますが、血液に早く送るためにはやはり点滴が手っ取り早いとのことで、残ったグリコーゲンは肝臓に蓄えられ、必要な時に体内に戻されるそうです。
ぶどうをひと房をペロリ…健康であったら食べ物から摂るに越したことはありません。
口当たりの良い果物は今の家人には欠かせぬものとなりました。
これからの季節、私の好物である無花果が旬を迎えます。
アダムとイヴが下半身を隠したのが、無花果の葉っぱだそうですが、このぶどうの葉と縫い合わせたとも言われているとか…
「どっちにしろサ、腰ミノだろ?俺なんか隠したりしたら、治療にならないんだから、邪魔なだけだよ」
泌尿器科にはパンツはもちろん、無花果の葉もぶどうの葉も無用なようであります。