梅雨特有のじっとりと肌にまとわり付くような霧雨が、雨音も立てず降り続いています。
耳を澄ませれば…辛うじて「しとしと」と聞き取れぬこともありません
なぜか?急に尿意を感じまして辺りを見回しましたら…納得!梔子(くちなし)の花が咲いていました。
この梔子と金木犀の香りが手本となって、トイレの芳香剤が世に出て参りました。
その人工的な甘ったるい匂いに辟易したものですが、トイレに芳香剤がエチケットとなって、今ではどの家にも置いてあるのが当たり前になってしまったのではないでしょうか?
時代の変化で柑橘系やハーブなどの香りなども開発されて、それぞれ好みの芳香剤があるかと思います。
我が家では、トイレのあとは臭くて当たり前
ニオイなんぞ、自然に消えるのを待ってりゃいいと言うことで、芳香剤は置いてありません。
それなのに…梔子の花の香りを嗅いだだけで尿意を催すとは、人間の脳ってのは1度すり込まれると、なかなかに厄介なものであります。
梔子にしてみれば良いことなのか・悪いことなのか分かりませんが、花の匂いだけでトイレを連想されて、ちょっと気の毒な気も致します。
「俺は、尿意が懐かしいなぁ~。あれ?尿意ってどんなものなのかサ、すっかり忘れちゃった!」
あらま…オストメイトとなった家人の脳も、ちょっと厄介なことになっているのでしょうか?
花言葉は「清潔」…今日は念入りにトイレの掃除を致しましょう
魚屋さんの店先には、旬を迎えた麦イカとイサキが連日並べられているのを見ますと、あぁ~夏が来たんだなぁと思います
火曜日に受けた胃カメラの検査で、少々の荒れはあるものの異常なしとの結果が得られ、衰えていた食欲がモリモリと沸いて来ました。
衰えているのは食欲ばかりではありませんが、低迷を続けている私の体力のひとつでも改善に向かったことは、大変目出度いともろ手を挙げて喜んでおります
このところ魚と言えば「イサキ」ばかりを買い求めていますが、何しろ旬の物はそのお味も良いですし、値段もお安くて主婦にとっては大いに助かる食材であります
先日は塩焼きにしましたので、本日はイサキと麦イカのトマトソース煮にしましょう
下ごしらえだけ済ませ、まずはサッと蒸し煮にしておきましょう。
早目に夕飯の献立が決まりましたし、下ごしらえも済ませました!
読みたかった本が手元にある…と言う幸せは言葉に出来ません
東野圭吾・著『虚ろな十字架』です
今日は朝から家人がソファを陣取っておりまして、何やら読みふけっております。
最近はもっぱら本人と同様、虚ろな目をして古書ばかりを読んでいます。
仕方なく…寝室にこもり、ベッドで読むことにしました。
表紙は深い森でしょうか?
物語の後半になって、この森が富士山の裾に広がる樹海を指しているのだと分かりました
死刑制度の賛否を扱った深くて重い小説でありますが、二重、三重に物語が絡まり、一気に読み切ってしまいました。
原発問題を扱った社会小説や今回の死刑制度をテーマにするなど、人気作家が現代に問いかけを発信することは、とても良いことだと思います。
何を書いても面白い…枯れることのない才能を持っている凄い作家だと改めて感じました。
それだけに、映像化は止めて頂きたいと願う作品でもあります。
活字の重さがひしひしと胸に迫る物語だからこそです。
そろそろ夕暮れ時になりました…部屋の電気を点けましょう
最後の仕上げに赤ワインと麦イカを入れたら、部屋中に良い香りが立ちました。
いずれは…スルメイカになるはずだった麦イカ。
今夜我が家のおかずになってしまうので、この先もうスルメイカになることは叶わぬこととなってしまいました。
合掌…
イサキは小骨が多い魚なので、ごった煮にしますと食べづらいかも知れませんが、そこはそれ!衰えつつあるも鍛え上げた「過去の栄光を持つ舌先三寸」で、選り分けて行くとしますか
そうそう!さんざんトイレだの芳香剤だのと貶してしまった梔子の花の名誉挽回を…
あの素晴らしいジャズ歌手だったビリー・ホリディが、アルコール依存症やヘロイン、大麻、LSDなどの麻薬の常習で、治療入院や服役で心身ともボロボロになったことは、ビリー自身の自叙伝でも語られています。
その復帰後のコンサートはカーネギー・ホールで行われたとのことです。
舞台に立ったビリーの黒髪には、一輪の梔子の花が飾られていたそうです。
「声の中に人生がある」とまで言われた伝説の「レディ・ディ」…
「奇妙な果実」など多くの名曲を残し、1959年・7月に44歳と言う若さで逝ってしまいました。
梔子の甘く放つあの香りは、健気にもビリーへの思いを込めたものであるのやも知れません。