FCR療法: 忘れ去られた二次がんのリスク | 慢性リンパ性白血病(CLL):奇跡の処方せん

慢性リンパ性白血病(CLL):奇跡の処方せん

自分とは到底無縁の病気だと思っていた慢性リンパ性白血病になりました。20万人に1人という確率です。しかも、かなり進行速度が速いようです。

 2021年のがん医療情報に「イブルチニブとFCR療法の併用で慢性リンパ性白血病(CLL)若年患者に長期寛解」という記事が出ていました。

 

 

FCRは、フルダラビン(F)、シクロフォスファミド(C)、リツキシマブ (R) の3種の抗がん剤の併用療法で、現在これを推奨する医師はほぼいないと思います。副作用が強い上に、フルダラビンとシクロフォスファミドはDNAに作用する「発がん物質」だからです。

 ところが、前述のように、アメリカの血液学会で、イブルチニブとFCR療法の併用が長期寛解をもたらすという研究発表がなされたようです。

 FCの発がんリスクについては当初から指摘されていたことですが、古い論文ではせいぜい数%だったように記憶しています。ところが今年でた論文では、FCR治療後には、まさかの30%くらいの人が急性の二次がんを発症したそうです

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/abs/10.1002/cam4.5033)。僕が英語の解釈を間違っているのでしょうか? にわかには信じがたい数値ですが、よくよく考えてみれば、これらの物質はDNAに異常をもたらす物質ですから、死に損ないの異常CLL細胞がさらに悪性化し、悪性度の高い二次がんが高い頻度で出現することは必然だったのかもしれません。CLL細胞は、DNAにさらなる悪性化をもたらす異常が起きてもそれを修復したり自殺させる機能が失われている(または弱い;がん抑制遺伝子が失われているため)からCLL細胞になってしまったのです。

 そんな訳で、イブルチニブとFCRの組み合わせ療法で治験をするなど、とんでもない話です。患者は実験動物ではない!