利用者さんやその御家族からの要望が多いのが
「何か、家でできる運動はないですか?」
というものです。
自宅で行うためには、
簡単にできる
安全にできる
効果が実感できる
ことが大切です。簡単、安全はもちろんのこと、特に、赤字で記した「効果が実感できること」が継続して行うために大切です。
自主トレーニングの継続率についての研究で述べられていたのですが、継続して行われる率は全体の10%以下。継続率について最も影響を与えた因子は「そのエクササイズを行うことで痛みが減る」とのことで、次点として「セラピストからの電話などでの奨励」があげられました。
つまり
痛みがある方で、しかも自主トレーニングにより効果がなければ、大多数の方は自主トレーニングを継続的に行ってはもらえないということです。やっても最初だけです。
運動量を底上げするような自主トレーニングには効果は低いと思います。快適に動作をすることができれば、自然と活動量が増えていくと自分は考えます。
このことから、予防的な目的で自主トレーニングを行うことは困難であると考えられます。強力な信頼関係や、実績、その方の経験などがあれば別ですが。
では、どうすれば良いのか?
自分の考えは
・痛み以外に効果を実感できるようなエクササイズを提供する
・個別リハビリ時に何らかの効果を実感してもらい、それを維持する目的であることを伝えた上でエクササイズを提供する
ことです。当然、痛みを減少させるエクササイズであればなお良いです。今のところハーフストレッチポールが最も継続率が高いように思われます。御家族まで運動をするようになったとの話も聞かれます。
では、実際の自主トレーニング指導について書いていきたいと思います。
【背部の筋が原因で痛みを生じている場合】
・うつぶせ保持(2分くらい)
*ただし、痛みによりうつぶせが困難な場合は行わない。
これだけです。
「は?」
と思う方もいらっしゃるかと思いますが、効果があります。
背中の筋の緊張をとるために、カウンターストレインという治療法をセルフで行うわけです。
さらに、できる方であれば肘を立てて
このような姿勢を保持していただいたり
梨状筋に圧痛がある方であれば
このように足を開いて行ってもらう場合もあります。
このエクササイズは簡単で効果があります。並のマッサージよりかは効果的であると思います。
理学療法士としての腕の見せ所は、痛みなくうつ伏せを取れるように促すことと、痛みがとれた後に、痛みを出しにくい動作指導を行うことにあると思います。
【椎間関節が原因で痛みを生じている場合】
【脊柱の不安定性により痛みを生じている場合】
【腰椎以外の椎骨の可動性の低下が原因で痛みを生じている場合】
についての自主トレーニングの指導は次回に書きたいと思います。
つづく