墨田川高校(墨田区)の教師や和洋女子大学学長も務めた教育者で、その傍ら、推理小説の著作や編集、翻訳などを続けた、故・中島河太郎(本名・中嶋馨)氏(1999年に亡くなるまで墨田区在住)の特別展が墨田区立ひきふね図書館で開かれています。6月末まで(13日~17日は休館)。
 展示室には『探偵小説辞典』で第一回江戸川乱歩賞を1955年に受賞した際に贈られた「シャーロック・ホームズのブロンズ像」が展示されています。



 また、陳舜臣、山田風太郎、内田康夫、横溝正史、森村誠一、星新一、松本清張、山村美紗、大藪春彦、西村京太郎、笹沢左保各氏から届いた手紙や年賀状などがあり、交友関係の広さがうかがえます。

 私が小学生時代に愛読した『奇巌城』など怪盗ルパンシリーズなど中島さんが翻訳した本も多く展示されています。
 横溝正史や柳田國男(民俗学)、正宗白鳥などの作品の発掘や全集のプロデューサーとしても力を発揮しました。



 東京帝大国文科を卒業後、今年創立100周年を迎える墨田川高校(当時は旧制府立七中)に勤務、作家の半藤一利氏も教え子の一人でした。



 生原稿には、横溝正史や松本清張の筆跡や、朱を入れた箇所がそのまま残っており、とても興味深かったです。



 パソコンで執筆する今の作家なら、「生原稿の展示」ということにもならないし、更新ボタンをポンと押してしまえば、修正の跡も残らないのでしょうか。寂しいものです。

中島さんの長男、中嶋淑人さんと