舞台芸術などを支援する文化庁と経済産業省の新しい予算が15日、決まった。

文化庁は(1)上演団体に、規模に応じて上限2500万円までの補助金(250億円)(2)文化施設などの感染防止や配信機材整備費(50億円)(3)団体が連携して全国展開すれば1都市5000万円補助(70億円)など。

(1)の対象となる舞台芸術は、演劇、バレエ、オペラ、ミュージカルのほか、歌舞伎や能・狂言、音楽(オーケストラもJ-POPも演歌も)、落語などすべて含む。「○○を上演する会」などの任意団体でもよい。公演回数に関わらず1団体、1回限り。

 このほか、新作の美術品の展示会にも使える。

 (3)は、たとえば、演劇、オーケストラといった1つの種類の芸術団体が複数集まって開催するイメージ。10都市以上で公演することが条件。いずれも、1月下旬(予定)に第三次補正予算が国会で成立してから、詳細や申請先を決める。

 

 一方、経産省は、文化・芸術だけでなく、エンターテイメント全体に対する支援策として、現在、実施中の「録画映像の海外向け配信事業の補助金」(J-LODlive)を第三次補正案で約430億円確保。第1次補正の878億円の執行率が50%程度なので、合わせて、途切れ目なく来年度末(2022年3月)の公演の分まで、まかなえる見通しだという。

 今年2月以降、公演を中止または延期した団体が対象で、5カ月先の公演まで申し込める。1ステージごとに経費の2分の1を補助し、上限5000万円。

 これまで申請が通った中では、ロックグループ「ザ・イエロー・モンキー」が11月に東京ドームで行った公演が最大。

 

 文化庁、経産省いずれの補助金も申請が認められ、イベントを実施、精算した書類を提出した後に、補助金が支給される。

 

 コロナ禍の芸術・文化対策としては文化庁の第一次補正(62億円)、第二次補正(509億円)と、今回の第三次補正案(370億円)、経産省の第一次、第三次補正をすべて合わせると2249億円程度となり、これは文化庁の例年の当初予算(約1000億円)の2倍を上回る大きな規模だ。

 

 舞台人の間には、「ドイツの文化担当大臣がコロナ発生早々に、『芸術・文化は(人生に必要不可欠な)生命維持装置』と素晴らしい発言をした。一方、日本では2月に安倍総理(当時)が、『イベントは自粛してもらいたい』と述べる一方で、具体的な補償はしないという方針が出された」と批判する声もある。

 私は「やれることはやっているのに、アピールが下手だった」と、つくづく言葉の重要性を感じた。