巨人を棄てる。
巨人軍は永遠に不滅です。と、私が叫んだあの時から二十年。
今年、私は、巨人を棄てます。
サビついた栄光に、カビのはえた伝統に、しがみつくのは、もうヤメです。
古きをこわす痛みを怖れず、新たにつくる辛さから逃げず。
1994年4月9日、巨人軍は、まっさらの新球団としてスタートします。
長嶋茂雄
60年目の初心。
生まれ変わった巨人に会える。
'94劇空間プロ野球
日本テレビ
これは、1994年開幕前に掲載された「劇空間プロ野球」の広告。「劇空間プロ野球」は、日本テレビ野球中継のタイトル。ちなみに、1994年のジャイアンツは「槇原寛己の完全試合」「10.8決戦」「西武ライオンズとの日本シリーズを制し日本一」とたまらない1年だったはず。（自分の生まれる7年前）
ただ…その裏で、ジャイアンツの人気は危うい状態だった。1993年にJリーグがスタートして、ジャイアンツの地位が危ないんじゃないかって思われていた。
そんな1993年のジャイアンツは、長嶋茂雄を監督に復帰したけど、結果はギリギリの3位。だからこそ、「巨人を棄てる まっさらな気持ちでがんばる…」そんな思いがこの広告にはこもっていたんだろう。
だけど、この広告はたった数日でお蔵入りになってしまった。ミスター・長嶋茂雄の引退試合にバッテンをつけたのは世間の反発がすごかった。あんな素晴らしい名シーンにケチをつけられたんだから。
特にOBは「長嶋が許しても俺は許さん！！」と怒り出す人もいた。ところが当の本人は…
長嶋さん本人は、「ううん、そうですねえ、これぐらいのことしなきゃいけないかもしれませんねえ」と二つ返事で承諾をくれたらしい。
結局、大騒ぎしていたのは周りだけかもしれない。もし、あのとき「巨人を棄てる」ができていたらどうなっていたんだろう…と思ってしまう。
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