月曜日に長野の実家に帰った。いろいろとしなければならないことがあった。
とりあえずは、冬の間に履いていたスタッドレスタイヤから普通タイヤに交換する。実家近くのガソリンスタンドに、朝9:30にタイヤ交換の予約をしていた。だから早起きする必要があった。
目覚まし時計を使って起きたのは5:55。
考えてみたら、以前の仕事では、僕はだいたい毎朝5:55に起きていた。12時過ぎまで飲んでいても起きる時間は変えなかった。5:55に目覚まし時計をセットするたびに、頭のなかにシャルロット・ゲンズブールの曲「5:55」が流れる。英語交じりのフランス語で何を歌っているのかさっぱりわからないが、印象深い気怠い曲だ。
今は基本的にはもう目覚ましも使わず、好きなだけ寝て9時頃に起きる。14時からの勤務だから早起きなんてどうだっていい。
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実家に着いてから、普通タイヤを車に積み込んでガソリンスタンドに行く。待っている間に、建築士の問題集をパラパラめくっていたら、ガソリンスタンドのスタッフから「オイルとエレメント、それからエアコンのフィルタも交換した方がいい。」と言われる。
月曜の午前中。田舎のガソリンスタンドは暇そうだった。だから、言われたことを全部してもらって、さらに車の掃除もしてもらった。
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それから実家に戻って、履き替えたスタッドレスタイヤを物置にしまい込む。ついでに先々週に大工の友達に頼んでいた、石垣のモルタルも見てきた。水抜き用のパイプもセットしてあって、安心した。切ってくれと頼んでいた木も3本とももうなかった。
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市役所に行く。今までの健康保険は、年会費が高すぎるので退会した。それで、国民健康保険への加入を申し込んだ。事業が大赤字なので、無駄な出費は抑えないと。
保険証がマイナンバーカードに変わったというのに、役所の手続きは相変わらず書類がメイン。システムがIT化されたのに、手続きはアナログだなんて。
「ここの欄にですね。マイナンバーカードの番号を書き写してほしいんです。」
「わかりました。」
せっかくデジタルにしたのに、こんなものまで手書きなのか。こんな指示をしなければならない職員も虚しい気分だろうなあ。見ていて気の毒に思った。
保険証はもう渡されない。資格情報のお知らせという紙をくれる。マイナンバーカードが書き換えられるのに1週間くらいかかるらしい。その間に、何かあれば、この紙とマイナンバーカードがあれば診察をしてもらえるという。よくわからないけれど、きっとうまくいくんだろう。お礼を言って市役所を出た。
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帰りに名古屋の環境事業所に寄った。ちょうど、午後の清掃トラックが出動するタイミングで、10台以上の清掃トラックが駐車場に滞留していた。なんとかスペースを見つけて、来所者駐車場に車を突っ込んだ。
古いパソコンなどを小型家電回収ボックスに入れるつもりだった。回収ボックスの隣におばさんが1人立っていた。このセンターの職員なのだろうか?数珠つなぎになって出口に向かう清掃トラックに向かって手を振っている。数あるトラックのどこかに彼女の夫がいるのかもしれない。
回収ボックスにパソコンや、いらなくなった小型家電を入れながらそのおばさんに聞いた。
「何をしているんですか?」
よく見たら、ヤクルトのおばさんだった。
「だいたい、私が帰る時間と、この清掃トラックの出動時間が重なるんです。このトラックがいなくならないと、駐車場から出られないので、見送りをしているんです。」
「ああ。なるほど。」
特にロマンスがあるというわけではなさそうだった。
そんなふうに、雑多なことをして、僕はまた名古屋のアパートに帰ってきた。
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翌日はジムに行った。前回、開始時間ぎりぎりだったので、早めに行ったら、15分前には着いてしまった。それで、入口で「どっしようかなあ。」って思っていたら、トレーナーが来て入口のドアを開けてくれた。
トレーナーは花粉症で大変なようだったが、僕自身は、ここ数年で一番、花粉症の症状が軽い。それが筋トレのおかげなのか、禁酒のおかげなのか、老化で、花粉症を起こすほどの免疫力もなくなったのかはわからないけれど。
今回、トレーナーが時間の配分を間違えたのか、下半身トレーニングが1セットだけだった。でも、その1セットで、自分のなかで下半身の感覚が変わった。しっかりと筋肉がついてきたっていう実感があった。
そんなことをトレーナーに言ったら、来週からトレーニングがますますキツくなりそうだから、絶対に言わないけど。
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建築士の勉強では、建築法規のセクションに入った。法規の勉強をはじめてから、試験の際には、普段使っている法令集を持ち込んでいいことを知った。持ち込む法令集には条文にアンダーラインを引いたり、マーカーを塗ったりしてもいいらしい。ふーん。いいんだ。
TAC出版の「建築基準法令集」を買ったら、条文への模範的な線の引き方を示した「線引き集」というものをダウンロードできることになっていた。それで、見てみたら、5色くらいのペンを使ったものになっていて心が折れた。何10ページも5色の塗り分けをするなんて、とても引く気にはなれん。塗ってあるものを売ってほしい。
建築法規で、どうしてこんなに線を引くのかというと、わかりづらいからだ。民法とは比べ物にならない雑多さがある。思いついた順に、作りましたって感じだ。もっと体系だった素直な条文にできなかったのだろうか?建築「基準」法なんだからさあ。
条文は、1つの条文のなかにかっこ書きが「いくつも」あったり、かっこのなかにかっこがあったりする。なかには、かっこ書きの方が本文より長い条文がある。そんなことってある?
問題集の問題の方が、素直に意味を理解できる。法文を、わざとわからなくしている、としか思えない。体系的にもあちこちの条文を追わないと全体像がわからないように作ってある。
おそらく、こんなわかりづらい体系で、わかりづらい文章でできた法律だと、仮に翻訳できたとしても、外国人にもわからない。外国の建築家がこれを読んでから設計しようとしたら、万博の建物だって期限までには建てられないだろう。
日本の国際化を阻害しているのは、こうしたわかりづらいルール(法律)も一つの原因だ。日本のルールを守りたいと思っても、日本のルールがさっぱりわからない。ルールが一般の国民に分かりやすいどころか分からないように作ってある。建築は特別ひどいのかとも思うけれど、あらゆる分野を対象として、誰でもわかる文章にするよう法律を見直すべきだ。それこそAIに作ってもらえばいい。100倍わかりやすい文章になると思う。
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仕事の方は、先行き不透明どころか、超透明。誰が見たって赤字一直線。事業をしていればしているほど赤字が増える。本当にやめたいが、やめると赤字幅が一気に拡大するのでやめられない。
ただ、暇なので勉強はできる。勉強のために金を払っていると自分をだますしかない。飲みにも行けない環境だから健康にはいい。3年くらいの懲役刑を食らったと思えばいいのかもしれない。
失敗続きの人生だからなあ。これも罰ゲームだ。
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映画「バトル・クルーズ」を見た。
主人公は女性。疎遠にしていた父親が遺してくれたのは豪華なクルーズシップ。まだ引渡される前に、バーで知り合った男性をこのクルーズシップに引き込む。
目を覚ますと船が動いている。武装集団が、このクルーズシップに隠された大金を盗みに来たのだ。
っていう、アクション映画。高校生くらいなら、大満足の映画じゃないかなあ。
俺としては、ダイ・ハードみたいに逃げ場のない環境から、反撃して大逆転っていうのを期待したんだけど、期待し過ぎだった。親子の断絶と和解ってのもテーマなんだろうけど、断絶の描写がないからよくわからなかった。
まあ、面白かったけど、いろいろと中途半端なアクション映画だった。

