以前、友達とカニの話をしていた。

「カニとエビは飽きるよ。カキは食べていても飽きないけど。」

カニはその昔、鳥取で、食べているうちに飽きてしまい、エビはオーストラリアで食べているうちに飽きたことがあった。

 

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「飽きるまで、カニを食べてみたい。」そう友達が言うので、名古屋から鳥取までカニを食べるために日帰りすることにした。

 

予約したのは、若林というお店。店の前がすぐ漁港になっている。以前、確かこの店でカニを食べて、食べ飽きたことがある。

どのくらい時間がかかるのか、車のナビで計測してみたら、5時間30分くらいかかることになっていた。それで、午後1時に予約した。

 

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日曜日の朝7時30分に友達の家に迎えに行く。この日は名古屋ウィメンズマラソンの日で、朝6時から交通規制があった。横断できない道路があるのだという。「ふーん。」と思ったが、めんどくさくて、どこが規制されるかはちゃんと調べなかった。ただ7時30分までに迎えに行けなかったら「カニはキャンセルしよう。」ってことにしていた。

 

実際には、日曜日の朝は交通量が少なく、交通規制にもハマらなかったので、7時10分頃に友達の家に着いてしまった。友達は7時30分過ぎに来た。マックのドライブスルーで朝食を買ってから出発した。伊勢湾岸道路を通ったが、風が強く、怖かった。車が風で揺れるたびに、不安感が増した。でも、特に渋滞に巻き込まれることはなかった。

 

友達はスマホでナビをしてくれた。俺の車のナビよりも正確で、効率的だった。そのおかげで時間がかなり短縮できた。数10年前に鳥取に行った時には、岡山あたりから北上したような記憶があったが、今回は兵庫から鳥取に繋がる「鳥取自動車道」という高速道路があって、スムーズに鳥取まで行けた。ナビまかせで、そんなことも調べていなかった。昔は、地図を頼りに運転していたような記憶がある。時代が変わっていた。

 

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若林には12時15分くらいに着いた。「時間早いけどいいですか?」と電話をしたら「どうぞ。」というので、お店に行った。お店は満室だった。

 

僕たちは3階の部屋に案内された。漁港を見降ろしながら食事をする。

 

カニを食べ、カニ味噌を食べて、カニすきを食べて、お刺身なども食べて、最後は雑炊と、ひたすらカニを食べた。昔は、途中で飽きたものだが、まったく飽きなかった。カニはいつまでもうまかった。

 

帰りの会計時も、お店は満室だった。カニ人気を実感した。

 

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帰りに、鳥取市内にボートの投票所を見つけたので、2レースだけした。大穴に賭けたが、箸にも棒にも掛からず、数分のうちに6000円をすった。

 

そして、鳥取にあるスタバに寄って、ドライブスルーで注文して、それを飲みながら帰ることにした。鳥取だからスタバにもラッキョウ味とかあるのかな、と友達と話していたが、そんなものはなかった。

 

鳥取からの帰り道で、まだ高速に乗る前に、警告音が鳴った。ガソリンの警告灯が灯っている。5時間以上も運転していたんだから、それはそうなる。

 

日曜日ということもあり、なかなかガソリンスタンドが見つからずにあせった。なんとか見つけたセルフのガソリンスタンドは、クレジットカードは受け付けず、現金決済のみだった。

 

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帰りは、兵庫や大阪で渋滞にはまった。

友達と「こっちの車線はガラガラなのに、どうして左側の車線は渋滞しているんだろうなあ。」なんてことを話していた。

そして、渋滞の先頭付近で、「ここを左折しないと帰れない!」ということがわかって、無理やりいれてもらった。図々しいが、長野ナンバーだから、田舎者ということで許してくれるだろう。

 

事故渋滞にも巻き込まれたが、事故現場が近かったので、なんとか10分程度で脱出できた。まだ事故車両があって、救急車が到着したばかりというような状況だった。

 

それで、帰りも意外とスムーズに帰ってくることができた。名古屋には7時台に着いたので、それからうどんを食べて、友達を家まで送って、別れた。

 

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今回、僕はカニも飽きないってことがわかった。長野県以上の田舎だとばかり思っていた鳥取が、立派な地方都市になっていて驚いた。砂丘とラッキョウしかないと思っていたが、スタバもある。

 

もう1年くらい経てば、あのガソリンスタンドでもクレジットカードが使えるようになるだろう。

 

天気がよく、鳥取は空気もカニもおいしかった。そして何よりも、このボロ車で、鳥取県にまで日帰りでカニを食べに行けるんだってことが、自分にとっての自信になった。無謀なプランも、やってしまえば自信につながる。とにかく、事故がなくてよかった。

 

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大学は本当に卒業できるらしい。

 

卒業確定通知というものが来て、卒業の手数料が2万円かかるから納めろという。郵便局で納めてきた。

 

それから、学生証も郵送で返せという。その通知には、返送先の住所や担当者の名前等がない。大学の住所はネットに載っているから調べたけど、どこあてに送るのかわからなかったので、学生証返却窓口様あてに送った。通知文に宛先くらい書いておけよ。不親切だなあ。

 

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この大学では、68単位の授業を受けた。俺の場合は全科目が2単位だから、34科目の授業を受けたことになる。成績は、Sが15科目、Aが8科目、Bが8科目そしてCが3科目だった。

 

今、建築士の勉強をしているが、この大学の勉強はほとんど役に立っていない。この学校の教授様たちは、どちらかというと芸術家肌の人が多く、理論や理屈よりも、人が驚くような建築物の方がお気に入りのようだ。「住んでいる人が、山が好きだというので、山の形をイメージした住宅を設計してみました。」っていうのが、この大学は大好き。

 

俺は「住宅は住むための機械」派なので、快適な生活に必要な設備が整えば、無駄な装飾や、取ってつけたような自然はなくていい。そんなことよりも、もっときちんと理論や理屈を教えてほしかった。寒い地域に住む人は、どういう外装材にして、どういう窓ガラスを採用して、どこの方角の窓を大きくすればいいとかさあ。

 

授業内容については、いろいろと言いたい。3DCADとか2DCADは意味があると思うけど、クレモナ図なんて、書けるようになる必要性がさっぱりわからない。包み込む建築とは何か、なんてお題のレポートもばかばかしい。この大学では、そういった、うんざりするような、無意味なレポートを書いたり、くだらん課題を作ってばかりいた。こんな課題で好成績を取ってもなあ。製図の課題は、基本的に書き写しだが、「嵌め殺し窓」と書いて提出したら、「元の本に書いてある読み仮名が書いてありません。」と指摘された。

 

スクーリングでは、模型を作るのに、スコヤという道具を買わされるが、この道具はいったい何で、何のために使うのか、解説は一切ない。

毎回、持って行っていたが、使ったことがなかった。自宅での模型作りの課題でもスコヤという言葉が突然出てくるが、説明は一切なし。素人に教えるという感覚や、わかりやすく説明するという感覚が、この大学の教授様にはない。趣味に偏った教えたいことを、教えたい方法で教える。昔の親方感覚だ。結局、俺は、Youtubeで模型の作り方を学んでいるときに、スコヤの使い方を学んだ。

 

そもそもの教科書の選択自体も、おかしいと思うものが多い。例えば、伊藤豊雄の「中野本町の家」について、大学指定の教科書には「自己の記憶の中から徹底的に抽象化された都市のイメージを空間として実現した」と書いてあるのだが、この文章の意味がわかる人がいるのだろうか?なんか建築家の世界って、意図してなのか無意識なのか知らんが、主観と客観がごっちゃになっている。そしてそれが、わかりやすくないどころか、意味不明。そんな世界の住人の話なんかいらん。学生が理解ができる本を教科書にしろよ。教授様の趣味嗜好ではなく、もっと試験に役立つ、もっと言えば試験に受かるような勉強をさせてほしかった。

 

卒業資格つまりは受験資格を得るために、この学校に通ったけれど、それ以外には、そんなに役に立ったような気がしない。親切にも、この学校の卒業生は、格安で(それでも数10万単位だが)、建築士の資格の学校(日建学院)に通えるらしい。くだらん課題のレポート作成より、初めから、その学校での勉強の方を単位にしてほしかった。そっちの方が100倍役に立つ。

 

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リドリー・スコットの映画「プロメテウス」を見た。

この映画は、人類はどこから来たのかということがテーマだが、リドリー・スコットが描くあのエイリアンはどこから来たのかということも教えてくれる。

 

そして、この映画、「あれ?エイリアンをまた見てるんだっけ?」って思うほど、ストーリーがエイリアンっぽい。アンドロイドがメンバーに1体入っていることも、そのアンドロイドが余計なことをする点も似ている。歴史は繰り返すというのが、この映画の隠れたテーマなのかもしれない。正確には、リドリー・スコットは繰り返す、だけど。

 

「地球と同じ大気」ということで、感染症のことはいっさい気にせずに宇宙服のヘルメットを脱いでしまう調査隊の面々に「なわけないだろ。」と突っ込みたくなったが(アポロ宇宙船が月面着陸して帰ってきた後、乗組員はしばらくの間「未知の感染症にかかっているかもしれない」という理由で隔離されていた。ちなみに、その発案をしたのは、カール・セーガン博士だった。)ヘルメット取らないと話が前に進まないからなあ。

 

話も分かりやすく、中だるみもなく、なかなか面白い映画だった。特に身に付いた知識はなかったけれど、核兵器も恐ろしいが、生物兵器もなかなかに恐ろしいということはこの映画で、作り物ではあるけれど認識した。