銀座の画廊、ぎゃらりい秋華洞で開催中の「山本有彩・高資婷 二人展」に行ってきました。(会期 12月9日(金)~17日(土))

 

山本有彩さんは、最近人気急上昇の若手日本画家で、これまで私のブログで、何度も紹介させていただきました。

山本有彩個展(於 ギャラリーARK)に行ってきました!(2021年10月)

松本隆氏CDアルバムジャケットに採用された山本有彩さんの作品が素敵です等々(2021年7月)

山本有彩個展(於 ギャラリーアーク)に行ってきました!(2019年10月)

第4回 魅惑の女性画展に行ってきました。(2018年3月)

 

一方、高資婷(こうつてい)さんは、台湾出身の日本画家で、雑誌等で拝見したことがありますが、作品を拝見するのは今回が初めてです。

 

今回の二人展では、それぞれ上村松園のオマージュ作品を含む各5点の展示となっています。

それでは、作品を何点か紹介します。

 

まず、それぞれの上村松園のオマージュ作品です。

「新蛍」 山本有彩

 

上村松園の名作の一つ、「新蛍」のオマージュ作品です。

上村松園の「新蛍」は、山種美術館で何度か拝見したことがあり、その時購入したはがきがこちらです。

「上村松園-美人画の精華-」(山種美術館)に行ってきました。(2017年9月)

 

会場で、山本有彩さんに久しぶりにお目にかかることができ、この作品について伺うことができました。

まず、山本有彩さんは現在の身近な女性を描いており、着物を描くのは今回が初めてとのお話をされていました。

初めてと言いながら、松園の作品に通ずるような、上品で奥ゆかしい作品に仕上がっていると思いました。

また、蛍を女の子の姿に置き換えたのも普段から小さな女の子を描く山本さんらしいオマージュ作品ではないでしょうか。

 

さて、次に高資婷さんのオマージュ作品です。

「冷宮」 高資婷

こちらは、上村松園の「花がたみ」のオマージュ作品とのことです。

 

「花がたみ」については、奈良の松伯美術館で拝見し、印象に残る作品でした。

「上村松園・松篁・淳之展 三代に見る日本画百年の流れ」(於 松伯美術館)の感想(2017年4月)

そのとき、購入した画集に掲載されたページです。

「花がたみ」は、世阿弥の作とされる謡曲「花筐」に取材した作品で、狂人の舞を描いたものです。

松園は写実を重視してこの作品を完成させたのことであり、狂人の異常さを表す手法として、手の指が異常に長い異形としているところに一つの特色があります。

 

高資婷さんは、上村松園の技法を研究されており、今回の作品を拝見した時、松園の最高傑作というべき「序の舞」が公開された時に拝見した、髪の生え際の表現の特別な印象を思い出しました。

上村松園「序の舞」を見てきました!東西美人画の名作≪序の舞≫への系譜(於東京芸術大学大学美術館)(2018年4月)

その際、引用した写真を掲載します。

こうした作品の印象から、高資婷さんの作品をみると、高資婷さんの上村松園の造詣の深さとともに、彼女の独自性を感じることができます。

 

上村松園が好きな私にとって、お二人のオマージュ作品は大変見どころがありました。

さて、他の作品を何点か紹介します。

 

「日々は格子模様」 山本有彩

 

「綿に宿る心」 山本有彩

この小さなぬいぐるみを持つ「綿に宿る心」という作品では、こうした小さなもの中にある魂に対する慈しみを感じる作品のように思います。この気持ちは、先の「新蛍」のオマージュ作品の女の子の姿の蛍にも共通のものを感じることができるのではないでしょうか。

久し振りにお目にかかった山本有彩さんと、以前お話した実家でインコを飼われている話を再度しました。

インコ好きの私にとって、インコを飼われている方には特別な親近感を覚えます。

 

高資婷さんのほかの作品です。

「封魔鏡」 高資婷

 

「簾越しの美人」 高資婷

この作品を見ても、上村松園の髪の表現に共通点を感じることができるように思います。

 

以上、雑駁ですが、上村松園を通じてお二人の作品を見ると、お二人の作品の独自性が改めて気が付くことができる魅力的な二人展と思いました。

 

最後に、秋華洞のHPアドレスを紹介しておきます。

美術品販売|東京銀座ぎゃらりい秋華洞 (syukado.jp)