今日は、銀座の画廊「美の起原」で開催されている「2021年美の起原展」入選作品展について書きたいと思います。
美の起原展は、画廊「美の起原」が毎年開催際している公募展で、その開催趣旨は、「作家独自の感性から生まれる個性豊かな熱量を感じる作品」を募集するとされいます。
これまでの入選作品を拝見していると、たいへん幅の広い作風の作品が選ばれており、そのため、私が存じ上げている作家の方が思いもかけず入選されていることがあり、毎年、誰が入選されているのかが楽しみな公募展です。
過去の、美の起原展の私のブログ記事は次の通りです。
〇2020美の起原展入選作品展前期(於 銀座画廊 美の起原)など、銀座の画廊散策に行ってきました!(2020年11月)
〇2019美の起原展 入選作品展後期(於 美の起原)に行ってきました!(2019年12月)
〇2019 美の起原展 入選作品展 前期(於 美の起原)に行ってきました!(2019年11月)
〇2018 美の起原展 入選作品展に行ってきました。(2018年12月)
〇2017美の起原展入賞作品展で、中園ゆう子さんの作品を見てきました。(付:インコの写真)(2017年12月)
入選作品は、前期と後期に分けて展示され、現在は、後期の展示が行われています。(会期 12月10日(金)~12月21日(火)日曜休廊)
今回は、現代童画展で活躍されている佐藤美絵さんが、入選されていますので、まずはその作品を紹介します。
「龍田姫遊戯」 佐藤美絵 M20・和紙、アクリルガッシュ、箔、ワトソン紙
佐藤美絵さんは、切り絵で日本古来の物語などを題材にした作品を制作しており、現代童画展では、毎年大作を出展されています。
昨年の第46回現代童画展では、最高賞の現代童画大賞を受賞されていました。
〇第46回 現代童画展に行ってきました!(2020年11月)
私が、画廊に伺ったときに、佐藤美絵さんが在廊されており、お話を伺うことができました。
作品のテーマである龍田姫とは、日本古来の秋の神様とのこと。
銀杏の落ち葉をはじめ、秋の紅葉が、龍田姫の髪とともに、燃えるように沸き立っているなか、龍田姫がいたずらっぽい目つきで座しているのが印象的です。
この作品を私が見ている横で、画廊スタッフの家中さんと佐藤美絵さんが、龍田姫のサンダル?の日焼け跡の話で盛り上がっていました。
佐藤美絵さんによると、龍田姫は秋の神様ですので、足に夏の(草鞋の)日開け跡を描いているとのこと。
いつも靴を履いている男性には気が付きにくいことですが、女性にとっては、身近な話のようで、私にとっては思わぬ気づきがありました。
後期の展示では、私が存じ上げている方は、他にはいなかったのですが、気になった作品を何点か紹介したいと思います。
「Alarm clook」 金子一生 F10・キャンパス 油絵具
フルートを奏でる妖精?人形?の周りで、色とりどり鳥たちがけたたましく鳴いて時を知らせています。
おとぎ話の中の一コマのような作品です。
「楽園のささやき」 藤野今日子 F20・キャンパス、アクリル、転写、箔、パステル
女性の優しい表情と、様々な虫たちの表情、色合が綺麗で興味深い作品です。
「幻影」 大橋淳子 F10・墨、顔彩、画仙紙
梅に鶯という墨絵としては普通の題材が、これほど個性的に見事に描かれており、水墨画の初心者として目を見張る作品でした。
「刻」 あおきさとこ 469×615 ミクストメディア 大賞受賞作
絹に樹脂を染め込ませて、しっかり硬くなった形状に、繊細に動き続ける線画が軽快に描かれています。
布から、こうした軽やかで美しい作品が生みだされたことも驚きですが、これが大賞となる美の起原展の懐の深さに感心します。
「新しいアトリエの窓」 桜井旭 F20・キャンパス、油彩 準大賞受賞作
夜のアトリエ。窓から外を見ると、外の手すりなど外の様子がおぼろげに見えるが、むしろ、窓に映る部屋の電気、キャンパスに向かう自分の姿などが映し出されている。そんな、様々なものを映し出す、アトリエの窓を描いたのがこの作品とのこと。
画家の生活と、思い、試みに思いを馳せることができる作品ではないでしょうか。
他にもこんな作品が。
「部屋曼荼羅」 杉山佳 S15」・木枠、パネル、麻紙、岩絵具、膠、箔
一つ一つの作品に、それぞれに窓と椅子が描かれています。
椅子を擬人化した作品とも思えますし、また、椅子の表情により人の暖かい生活を感じることができる作品ではないでしょうか。
この中の中央・上の作品を拡大してみます。
以上、作品の一部ですが、会場には、個性的な作品が所狭しと展示されていますので、興味のある方は是非ご覧いただきたいと思います。
最後に、美の起原のHPアドレスを掲載しておきます。
〇銀座画廊・美の起原 (xn--xxtyc847fky0a.jp)