今日は映画『プラネタリウム』です。

この映画、随分前に、まだ日本で公開されるよりも更に前に作品の存在だけを紹介した記憶がありますが、
今回、ようやく観るに至りましたので紹介します。





さて、と……。



うーん、

難しいですね、この映画は。


というのも、僕は以前から、自分のなかでオススメだと思った映画をこの場を借りて紹介してきたのですが、この作品については、前々から気になっていてようやく観たから紹介する気持ちになった、というのが本心で、あえてオススメ作品と銘打つにはちょっと心許ないかな、というのが正直な気持ちです。


ナタリー・ポートマン(言わずと知れた今やハリウッドを代表する名女優)とリリー・ローズ・デップ(言わずと知れたジョニー・デップとバネッサ・パラディの娘さん)のダブル主演というだけで胸がときめいた僕は、映画の公開が定かでない頃から早くも浮き足だっていましたが、
気が付けば公開期間も終わっていて、ふと立ち寄ったレンタルショップで映画の存在を思い出す始末。
もう随分前からナタリー・ポートマン大好きを自認する身としては(もちろん彼女の結婚前からです笑)、これは失態以外の何者でもないという自責の想いで観てみましたが、
さあ、これがまた、どうしたものか…笑


悪い作品ではないんですが、

端的に言って、何をテーマにしているかが見えにくい、というのが感想です。

そんなものどうでもいいじゃないか、と言われる方がおられるのは承知の上であえて言うと、
いやいや実は、
〈映画というのは、思いの外、「テーマ性に縛られたエンターテインメント」なのではないか、という思いをこの作品を観て再確認するに至った〉
というのが僕の正直な思いの丈です。

ナタリーもリリーもそれぞれ好感触な存在感があるのですが、
おそらく問題は、脚本かな…?というところ。

もしかすると、脚本を書く人や監督が途中で替わったのかな? とも思えるような感じですね




僕の知っている中では、たとえばスティーブ・マックィーン主演の名作『ブリット』では、途中で脚本家が替わって筋書きがえらくぶれたというか、物語の軸がまるで見えなくなった、というエピソードをマックィーンの伝記で読んだことがありますが(映画『ブリット』では最終的に刑事のマックィーンがいったい誰を追っているのか分からないようなストーリー展開になっていたりします、、、それでも映画的には圧倒的な雰囲気で盛っていかれて何となく凄く面白かった!という感じになるのですが笑)、この『プラネタリウム』も、なんだかそれに近い感じを受けました。






経緯はまるで知りませんしこの作品に関しては全然「人の変更」とかもなかったかも知れませんが、言ってしまえば映画全体を通じてそれくらいにテーマ性がよく分からなかったという感じがします。

ナタリーとリリーは姉妹役で、
二人は霊を呼び出すスピリチュアル体験をする一種のパフォーマーのようなことを生業にしているのですが、
多くの観客が想像する「二人が遠くアメリカからパリへやってきて一夢掴む」という大きなストーリーが軸かと思いきや、どうもそうでもなく、そうかといって戦前のヨーロッパやその文化を忠実に描く路線かといえばこれも違い、それじゃあ家族愛や民族、差別を真ん中に置いた話か、というとそういう感じでもなく、正統派美人の代表格であるナタリーや話題の美少女リリーの美しさや儚さを全面に出した詩的なイメージ映画と言えばそれもまるで違う、詰まるところはメインとなるテーマがよく分からない映画、という印象になってしまっているのです。

いやいや、それらを超越した何かがあるのかも、、、知れませんが笑、
それは映画をご覧になる方の受け取り方をどこでどう折り合いをつけるか、というところでしょうか。


オススメしない、とは言いません。
この二人のどちらかのファンであれば少なくとも観てみて損はありませんが、映画の脚本やテーマが大事だと重きを置いている方には別の作品をオススメします。
少し言い方は悪いかも知れませんが、特にリリー・ローズ・デップの使い途はもっとあったのでは。

映画は、ほんのわずかな短い時間の「夢紀行」ですから、観客に何を伝えたいのか、そのテーマ性の明確さも作品を面白くさせる大きな要素なのは間違いありません。


この映画を楽しみにしていただけに勝手に僕の中で期待のハードルが高くなっていたのは否めませんが、
現時点での僕の評価はこんなところです。


また何年か後に、
まったく違う映画で、俳優としての深みを増したナタリーとリリーの二人が再競演したらきっと楽しいでしょうね。もちろんテーマの通ったスクリプトを忘れずに。