既判力が及ばない例外@相殺 | 行政書士受かって調子に乗って司法書士を勉強するブログ

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確定判決は主文に包含するものに限り既判力を有するのが原則ですが,相殺のために主張した請求の成立又は不成立の判断は,相殺をもって対抗した額について既判力を有する(民訴114条)。前訴において貸金債権(相殺のために主張)が存在しない点に既判力が生じているため,その後に同一の貸金債権について訴えを提起し,その存在を主張することは,確定判決の既判力によって妨げられる。

 

 

 既判力とは?

 

既判力(きはんりょく)とは、一度確定した判決が後の裁判に影響を与える効力のことです。つまり、ある訴訟で確定判決が出た場合、同じ当事者同士が同じ問題で再び裁判を起こすことはできなくなる。これにより、同じ問題を何度も争うことを防ぎ、法的安定性を確保する。

 

 原則:主文に限る既判力

 

通常、判決の主文(裁判所が最終的に何を命じるかの部分)に含まれる内容に限って既判力が生じる。つまり、判決の主要な部分に対してだけ既判力があり、それ以外の部分には通常、既判力は及ばない。

 

 例外:相殺の主張に対する既判力

 

相殺とは、相手に対して自分も同じように債権を持っている場合、互いの債権を打ち消し合って、支払うべき額を減らすこと。

民事訴訟法114条では、相殺を主張した場合、その相殺のために主張した請求(相殺に使おうとした債権)が存在するかどうかについても既判力が生じるとされている。つまり、相殺のために持ち出した債権が有効か無効かについても、その後の裁判で同じ問題を争うことができなくなる。

 

具体例(今回のケース)

  • 前の裁判で、BがAに対して貸金債権(お金を貸したという主張)を持っていると主張し、それを相殺に使おうとした。
  • しかし、その裁判で、Bの貸金債権が存在しないと判断された。
  • この判断には既判力があるため、Bはその後、同じ貸金債権について別の訴訟を起こして「自分にはAに対する貸金債権がある」と主張することはでない。なぜなら、前の裁判でその債権が存在しないと確定したから。

 

既判力の範囲:原則と例外

  • 原則:既判力は、判決の主文に含まれる内容に対してのみ生じる
  • 例外相殺のために主張された債権については、その債権の成立や不成立に関する判断、主文だけではなくその理由も既判力を持つ。つまり、相殺で持ち出された債権が認められたかどうかも、その後の裁判で争うことができなくなる。

 

相殺に対する既判力の特別な扱い

 

相殺の場合、相殺のために主張された債権が成立するかどうかの判断が重要。この債権が成立するか否かによって、相殺によってどれだけの債務が消えるかが決まる。債権ありきの相殺だから。

  • 相殺で主張された債権が存在しない場合、その債権を基に相殺ができないため、これが確定したら、後の裁判で再び「相殺するためにその債権がある」と主張することはできない。
  • もし相殺が理由部分にしか書かれないのに既判力が及ばなければ、再びその債権の存在を争うことが可能になってしまい、裁判の安定性が失われます。

 

なぜ理由部分にも既判力が生じるのか?

 

相殺の主張に対して既判力が生じるのは、その債権の成立が、今後の訴訟や他の請求に直接影響を与えるから。 相殺のために主張された債権が成立するか否かは、債権の存在を争う上で非常に重要な判断。この判断が主文に反映されなくても、その結論には裁判所が判断を下した事実として効力が残る必要がある。

そのため、相殺のために主張された債権についての判断が理由部分に記載されていても、これには既判力が生じ、再びその問題を別の裁判で争うことができなくなる。

 

まとめ

 

  • 相殺の主張が認められるかどうかは、相殺のために持ち出された債権が成立しているかどうかに依存する。
  • この債権が存在するかどうかの判断は、主文に記載されなくても、判決の重要な部分であり、次の訴訟で再度争うことを防ぐために既判力が生じる。