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ケガの思い出 ブログネタ:ケガの思い出 参加中


「あー、痛かった」

「………………」

「ちょっとさっきの体育で足を捻っちゃってさ」

「………………」

「保健室で見てもらったら軽い捻挫だってさ」

「………………」

「動けないほどじゃないけど、数日はちょっと痛むかもしれないな」

「………………」

「えーと、怪我を……」

「ええ、聞こえているわよ。というよりも聞く必要も無いわよ。私に見せ付けるように足を少し引き摺って教室へ戻ってきたじゃないの。てっきり折れているのかと思ったわ」

「流石に骨が折れたら保健室だけじゃ対処出来ないと思うぞ。病院に行かされてたんじゃないかな」

「あらそう。悪かったわね」

「いや、別にそれくらいの間違いで謝らなくても良いと思うけど……」

「うるさいわね。私が悪いと思えば誰が何と言おうと訂正なんて出来ないのよ。機嫌も気分も虫の居所も、何もかもが悪いわ」

「うっ、確かに普段よりも機嫌が悪そうだ……もしかして何か怪我に嫌な思い出とか……」

「あら、どういう事かしら?言いたい事があるならはっきり言った方が良いわよ」

「いや、何か怪我で嫌な思いをした経験でもあるのかな、と思って」

「さぁ、どうかしらね。そもそも何がどうなって足を捻ったりしたのかしら?私の話を訊く前にまず生命に関わる大ピンチだった、命からがら難を逃れて捻挫だけで済んだ、という九死に一生を得た今回の状況を説明してちょうだい」

「たかが体育の授業でそうは命に関わる状況にならないと思うぞ!男子はバスケだったんだけど、ジャンプシュートをした時に相手の足に着地しちゃっただけだ」

「あらそう。悪かったわね」

「いや、お前がディフェンスしてたわけじゃないし……それにしてもどうしてそこまで機嫌が悪くなるんだ?良かったらその思い出を話してくれないかな」

「嫌よ、腹立たしい。こんなに痛いのはもう二度と味わいたくないわ」

「こんなに?あんなに、じゃなくて?まるで今も怪我の痛みが残ってるみたいじゃないか。もしかして後遺症が……?」

「何を腫れ物に触るような顔をしているのかしら、腹立たしいわね。ええ、そうよ。今はここが痛むのよ」

「ここ、って、僕の足を指差してるだけじゃないか。僕はお前の怪我の話を訊いてるんだぞ」

「違うわよ。心が痛むのよ、って言ったの。今日のあなたの怪我より痛い想いをした事なんて無いわ。あなたが痛い想いをしている事を知らなかったなんて耐えられない事態じゃないの」

「そ、そんな風に想ってくれるのか……なんか感動で痛みが和らいできた気がする」

「せっかくあなたが痛がっている貴重な表情が見れたかもしれないのにね」

「こら!悪趣味だぞ!全く素直じゃない!」


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