1)東日本大震災は「日本全体の問題」と捉えて活動へ
2011年3月11日発生の東日本大震災は、地震・津波による被害に加え、原
発事故による放射能で日本中に大きな影響と衝撃を与えました。この災害に国内
外から温かい支援と励まし、ボランティアなどのたくさんのご協力をいただきま
した。日本中がこぞって「日本全体の問題」として捉えていました。筆者も少な
くても東北全体の問題と捕えていました。従って、祈りの場は東北6県に創るべ
きと考えていました。
2)東北6県に巡礼の道創りを構想 現地調査と聞き取り
みちのく巡礼の原点は、「祈る場を失った人々のために祈りの場を創る」こと
です。原発事故で福島県からたくさんの人々が、東北6県に避難している点も考
慮すれば、祈りの場創設は東北全体を対象にすることが妥当と考えて、東北全県
を回って地元のご意見を広く伺い、全体像を把握することから始めました。
東日本大震災への祈りの道を創るに当たっては、創始者が若い時から6度結願し
ている四国遍路、西国三十三観音霊場、知多八十八箇所霊場、秩父34箇所霊場な
どの経験から、「四国遍路に倣い東北を一周する巡礼の道を創って後世に遺す」
という構想がありましたが、活動はそれにとらわれず、東日本大震災犠牲者の慰
霊という原点に基づいて白紙で開始しました。祈りの道の完成実現は容易ではな
いことは覚悟でした。全国に数多くある霊場は多くの人たちの長年の努力の積み
上げで出来上がったのですから、みちのく巡礼でも、「大きなことはひと
りでは成し遂げられない、大勢で成し遂げる」ことを肝に銘
じ、組織的に着実に活動を進めていく方針で進めています。
⑴活動開始は 東北6県の調査・聞き取り (2011年3~)
創始者は避難所からの帰宅一週間後から東北6県各地に出向き、現地調査・聞き
取りを開始しました。3月下旬から、先ず一人で開始しました。実施後に構想をし
っかり立て、仲間づくりをすることを考えての行動開始でした。
先ず原発事故で被害を受けた福島県、順次山形・秋田・青森・岩手・宮城を回
り、被害状況を調査し地元の人々の声を聞きました。福島県、山形県、秋田県に
ついては、予めその県のホームページを読んで、被害状況結果報告、地震被害想
定防災関係等のおおよそを調べた上で現地の人から話を伺いました。例えば、
山形県においては、「東日本大震災により震度5強を観測し、3名の方が亡くなり、
重軽傷者が45名となった。建物被害は約1,400棟に及んだ。1全壊127,361戸、半壊
273,268戸、一部破損762,277棟、床上浸水3,352戸、床下浸水10,217戸に上り、
多数の道路損壊、橋梁被害、堤防決壊等が生じた。」などです。
聞き取りの結果をまとめますと、
①被災3県の内陸部や、山形、秋田、青森県の人々も、祈りの場があれば祈りに行き
たいと希 望している。
②故郷の祈りの場を失った原発避難者の方々は、避難先に祈る場 所があれば祈りた
いと考えている。―― ことが分かり祈りの場の必要性を感じました。
一方、
③東北全体では広すぎるのではないか?。
④津波被災地・被災3県でよいのではないか という声もありました。
そこで、活動メンバーが加入したら、メンバーにも回ってもらい、その意見を
聞て活動方針を皆で決める心づもりをしました。
2)「組織づくり」
~大きなことはひとりでは成し遂げられない~
~「みちのく巡礼創設委員会」から「一般社団法人みちのく巡礼」へ~
前回の記事の通り、筆者・創始者)が発案したり属している「やろう会」・「仙
台歩き遍路の会」・「生涯現役塾」・「仙台羅須地人協会」からの希望者と、講演会で
の声がけで加入したメンバーも加わり、8名で「みちのく巡礼創設委員会」を結成
しました。みちのく巡礼は、企業や官公庁や学校などのように拠点がありません
ので、連絡・相談には工夫が必要です。この体制で、月1度を目途に、緊急時に
は臨時協力者会議を開き、緊密に意見交換しながら構想をまとめて行きました。
活動を進めると同時に、創設者が講演会の際にチラシを配るなどして継続的に
協力者募集を続けました。創始者が「東北に東日本大震災への祈りと伝承の祈り
の道を創設という構想」を持っていることに共感し、《自分もぜひ取り組んでみ
たい》と望む人たちが少なからず名乗りを上げ、一緒に創り上げたいという夢を
持って仲間入りしました。
参考までに当時のチラシをご紹介致します。現在のものではありません。
活動メンバーが全員同時あるいは手分けして現地の声を聞いた所、創始者一
人で回った
時と同様に、東北6県創設については、・祈りの場が東北全体では広すぎない
か? ・祈りの場は被災3県の方が良いのではないか という声も少なからず
聞かれました。ここで、祈りの場創設は東北6県か被災3県か?
という問題を解決する必要が出ました。
これを決定するために、引き続き被災3県をすべて回り、地元の声や、和尚様達
の意見を聞きました。
【きょうの心の目】
ゆったりした気分になれるおおらかな景色