町田その子著者


芳野千鶴は優勝賞金10万円に惹かれてラジオに応募した

そしてラジオディレクターの野瀬から「おめでとうございます」と電話が来た

準優勝で5万円

野瀬は興味津々で「その後はお母さんとどうなったんですか?」


ラジオに送ったのは「夏の思い出」のテーマ

千鶴は母親と夏休みに丸1ヶ月出かけた思い出を綴り、終わりに近づく頃迎えにきた、父と祖母に連れて帰られた

後からついていくと言う母とはその日が最後

祖母は「私の人生は私のものだ」と母は戻ってこなかったと言っていた


千鶴は来月の支払いも追いつかないほど緊迫していた

元夫、弥一がお金が入ると根こそぎ持っていく

生活費が足りないとすがると殴られる

一度夜逃げをしたが、見つかり死ぬんじゃないかくらい殴られた

弥一とは、職場で出会い、弥一は向上心が強く営業トップだった

弥一になぜか好かれて何もかも初めての経験で千鶴も好きになり結婚した

弥一は、新しいことを始めると仕事を辞めて事業を始めた

始めは上手く行くがすぐ手が回らなくなり辞める

そんなことを繰り返していくうちに多額の借金を抱えた


懸賞金が届き、それを持ち職場のパン工場に出勤する

家に置いておくと弥一に取られてしまうので職場のロッカーに入れる


上司の川村主任から呼び出された

「芳野さんの親戚というかたからお金を前借りさせて欲しいと電話が来た」

弥一だ。とすぐ気がついた

川村主任は、本人じゃないと渡せないと断ったと言う

千鶴は元夫で前借りは必要ないと話した


川村主任は「大丈夫なの?ご家族や相談できる人いる?可哀想に」

千鶴は「可哀想って言葉きらいです。失礼します」


千鶴は職場に戻り作業している中で弥一のことを考えていたら涙が出ていた

すると夜勤の岡崎くんが、「今日は人いるんで帰ってください。泣かれていても邪魔なので」


千鶴はパン工場で勤めたのは、パンが食べれるからだった

今日は川村主任に呼ばれたこともあり食べていなかった

帰ろうとしてパンの山を見ると急にお腹が空いてきた

そこへ岡崎くんがやってきて「え?何してるの?」

千鶴は無意識のうちに口に大量のパンを詰め込んでいた

そして岡崎くんは引き攣り「見なかったことにしよう」と出て行った


千鶴は急に恥ずかしくなりパンを吐き出して、中古で買った壊れた自転車で走り出した

自転車はチェーンが外れて千鶴は投げ出された


このまま死なないかと感じていたら通行人に声をかけられて目が覚めた

身体中に傷を追ったが、千鶴は自転車を推して帰った


その途中ラジオを聞いた

「小学一年生のとき1ヶ月母と旅をしました。愛車の赤い自動車で「行きたい場所を言ってごらん」温泉、海水浴、キャンプ。旅館で母の誕生日を祝いました。

父と祖母が迎えにきて母が黙って旅行に出たことを知りました。

私は父の車に乗って、母の悪口を言う祖母に「楽しかったよ」と伝えました。

後ろからついてくるといった母はその日を堺にいなくなりました。

あの夏は母にとって何だったの?永遠に聞けないですが」


千鶴は帰るとすぐに横になった

そして夜勤が終わる時間頃に「おい千鶴いるんだろう」とドアを叩く音で目が覚めた

体が思うように動かず鏡をみるとすごいあざができていた

ドアを開けると「遅いんだよ!」と弥一が殴りかかろうとしたが顔を見て「どうした?」


優しく声をかけてくる弥一だったが、金を出してくれとやっぱり無心だった

お金はないと言うと結局殴られた

数百円しか入ってない財布からお金を抜き、給料日にまた来ると出て行った

このままでは殺されると感じた千鶴は殺そうと思った


父と祖母が迎えにきた時、千鶴は母と一緒にいたくて母を見た

しかし「お父さんの車に乗りなさい」と言われた

祖母は手を握って離さなかったからもう一度母を見たが「乗りなさい」と言われた

千鶴はあの日母が私を捨てなければといつも感じている


その日ラジオの野瀬さんから電話があった

「お母さんのお名前は聖子さんですか?」

その通りだった

ラジオを聞いた吉沢恵真さんから連絡が来て、「同居している。聖子さん抜きで会いたい」

野瀬さんはセッティングするので同席させて欲しいと行ってきた

「どうしますか?」


千鶴は少し考えて「お願いします」と頼んだ

電話を切った後、クッキー缶から破られたものをセロハンテープで補強した写真を見つめた

最後の日の旅館で撮った母とのツーショット写真を女将が郵送してくれた

しかし祖母が破り捨ててしまい、千鶴がセロテープで繋ぎ合わせた


待ち合わせの日

前日に千鶴は仕事をやめた

川村主任には親戚のところへ行くと言うと「よかったわ」と嬉しそうにしていた

岡崎くんには「山姥かと思った」と笑われた


岡崎くんの笑い声が頭から離れなくて待ち合わせ近くのトイレで千鶴は吐いていた

すると「大丈夫?ならドアを開けて」

しつこいのでドアを開けると水を渡された

「うがいして気持ち悪いでしょ?」とても美人でモデルのような女性が渡してきた

そして落ち着くと「行こう。警察!病院が先か」


アザを見たからだと気がつき、自転車で転んでと伝えるが言い訳にしか聞こえてないようだった

すると彼女の携帯がなって「芹沢です。野瀬さんですか。今トイレにいるんですけど、トラブルがあって‥」


「芹沢恵真」思わず口にしてお互いが待ち合わせ相手だったことに気がつく

千鶴は大丈夫といい野瀬さんの待つ場所へ向かった


改めて自己紹介をする

しかし芹沢さんは「そんなことよりアザがある。警察に行かないと」

野瀬さんも真剣になり「そんなに酷いんですか?」

「もう終わるから大丈夫。夜逃げするつもりです。こんな話をしにきたわけじゃない」

「これじゃママに千鶴さんの話を出来ない」


芹沢さんは高校生の時から一緒に暮らしていると言う

「千鶴はみんなに愛されて幸せになっているはずだって」


その言葉で千鶴はキレた

「親に捨てられた子供がどうやって幸せになれるの?!」

「言えばいい、私がどんな悲惨な様子だったか。そんなの無関心だろうけど!」


野瀬さんが「女性のシェルターがあります。そこに行きましょう」

しかし千鶴は断った

すると黙って泣きそうになっていた芹沢さんが「うちにこればいい。不満があるなら直接言えばいい!」

「捨てられた母に媚びるなんで嫌。行かない!」

「じゃ利用するっていうのはどうかな?」


母は若年層認知症らしい

2年前に発覚してどんどん信仰が進んでいる

全てを忘れてしまう前に千鶴さんにあって欲しかった

「このままだとあの夏の記憶もなくなってしまう」


千鶴はしばらく考えて頷いた

すると野瀬さんが「今日引っ越しましょう」

いつ元旦那が現れるかわからない

野瀬さんは支援団体に協力を依頼して荷物を全てシェルターへ運ぶてはずを整えてくれた

千鶴は「古いクッキー缶だけ欲しいです」と伝えた


千鶴は毎朝5時、電車の音と振動で目が覚める

一緒に同居している九十九彩子さんは仕事でケアマネジャーをしながら家のことは全てこなしてくれる


彩子さんが作ってくれた朝食を食べていると、芹沢さんが駆け足でご飯を食べて出ていく

近くの美容室で働いていて、SNSではオシャレスタイリストで有名らしい


「あーお腹すいた」とターバンを巻いてカラフルなワンピースを着ている母が食卓にきた

千鶴を見て、彩子さんに「千鶴ちゃん」と言われると気まづそうに「おはよ千鶴」と言う

毎朝初めて見たような態度で接する


芹沢さんと始めてここを訪れた時

母は病気の前まで高齢者の面倒を見ていて慕われていた

色んな物を譲り受けて今の住まいさざめきハイツもその一つだと言う

千鶴の知っている地味な母とは全くイメージがつかなかった


そして玄関を開けると、女性が芹沢さんに「遅い!」と怒る

母だった

芹沢は母に千鶴ちゃんだよと紹介すると彩子さんが「相談してからって言ってたのに」と焦っていた

芹沢は事情を説明して「ママがこれからは千鶴ちゃんを支えてあげるんだよ」

しかし母は「私が?無理だよ」


千鶴は怒りが溢れた「これがあんたの娘の成れの果てだよ!芳野家はあんたのせいで崩壊したよ!」

すると母は力が抜けたように座り込んで放心状態になった

「結城先生に連絡して」と彩子さんがテキパキ動く


翌朝、母と顔を合わすと「恵真のお友達?いらっしゃい」と言われた

近所の医者の結城先生も見守る中で再度自己紹介をすると母は過呼吸を起こした


落ち着いたころ千鶴も気を遣いながら話をする

「ここに居てもいいけど恵真が連れてきたんだから面倒はそっちで見て。私は見れないから」

芹沢さんは「なんでそんな言い方するの?!ママ」と怒るが母は何も返さなかった


その後結城さんが近所の内科医でママのボーイフレンドだと紹介される

千鶴が知ってる母とは性格が違いすぎて驚いていた


母は千鶴を認識すると嫌な態度を取る

しかし彩子さんがすぐ怒ってくれる

すると母は謝ってくる


彩子さんは仕事前に千鶴の昼食も用意してくれる

母はデイサービスで外出彩子さんが出勤すると家に1人になり恐怖に怯えていた

4日位たった頃、川村主任から電話があった

「妻を探していると問い合わせがあった

工場付近で聞かれている人が結構いる」

それから千鶴は携帯の電源を切った


彩子さんが帰ってきてほっとする

庭の洗濯物を取り込んでおいたと報告すると嫌な顔をされた

そして「雨が降ってきたから」するとありがとうといいいつも通り家事をこなす

彩子さんは家事をされるのを嫌がる。完璧主義


ある日誰も出迎えがいなくて、母のデイサービスの出迎えをすることになった

いつも見ているのでやり方はわかる

母のお気に入りのともちんが母の手を千鶴に

躊躇していると母がグッと握ってきた

その日母は機嫌が良かった


彩子さんと洗濯を一緒に干す

「母娘みたいだね」と言われて千鶴は綾子さんが理想の母親みたいで嬉しかった

彩子さんには娘がいた

出産はかなりの難産だった。義母はゆっくり休んでと優しかった

しかしいつの間にか娘は義母を求めるようになっていった

彩子さんは仕事に出るようになると余計に娘は離れていった

同居をやめようとか話したが、嫉妬と取られて受け入れてもらえず

別れる時、娘に「これからは頑張ってね」と言われた


千鶴は感情をあらわにしてひどいと怒る

聖子さんには「ひきづっても仕方がない」と言われたといい、捨てた側の言うことだなと感じた

そして母の話になり、昔の母は真面目だった

祖母もすごく真面目な人で、化粧品を始めて買った時は全て捨てられて祖母と同じ色を与えられた

そんな祖母は母のことを「控えめな嫁」と褒めていた


家のインターフォンがなるたび千鶴はビクビクしていた

彩子さんが、玄関を開けると小さな叫び声をあげる

女性は「ママ」といい彩子さんを見る

「美保そのお腹は」

覗くとお腹を大きくしたまだ幼い女の子が彩子さんに「ママでしょ。お金をちょうだい」

彩子さんを捨てた子どもだった


美保はナンパされた男性と子供が出来た

祖父母に相談すると堕胎しろと言われて家を出た

父は再婚して新しい家庭をつくり美保には興味がないという

今は男と一緒に住んでいるがうむお金が足りないから「いちを母親なんだからお金をちょうだい」


彩子さんは「今はこれしか手持ちがない。今度来る時は連絡して」

そういってお金を渡すと「またくれるんだ?」と言って美保は出て行った


彩子さんは別れた旦那さんの家に電話して事情を聞いた

しかし「堕胎させようとしたが、拒否をした。それ以上何も出来ない」

そう言い美保を見捨てた


越してきて2ヶ月たった頃、まだ千鶴は外に出れなかった

母が「いい加減に外の空気を感じなさい、美味しいパイ屋が出来た。居候が甘えてる」

と千鶴につかっかってきた。

千鶴は母の心無い言葉に意地をはり彩子さんが止めるのを解いて「私が行く」


外へ出る時に足が震えた

彩子さんが、大きな帽子とマスクをつけてくれた

ケーキ屋までたどり着いたが、吐き気がしていた

母が言ったケーキはなかったので違うものを5個買う

その足で路地裏へ行き嘔吐した

これ以上何も出来ないくらい嘔吐した

フラフラの状態で家の近くまでくると、母が近づいてきた

「いけたじゃない」と背中を推す

彩子さんも駆け寄ってきて支えられて家に入るともう出るはずもない胃液が出てきた

「顔が真っ青じゃない」

身体中から液体が出てきて母を睨んだ

「私が悪いって言うの?」


彩子さんと自部屋に戻り1人になると涙が溢れてきた


しばらくして話を聞いた芹沢さんが部屋を訪ねてきた

「ママは悪気はないの。言葉遣いが悪いけどママはあなたを心配していると思う」

千鶴はママ、ママと言う言葉にイラついてきていた


芹沢さんは1歳の頃両親が事故で死んでしまい親戚に引き取られた

しかし折り合いが悪く、高校の時ママが「行くと来なければうちにこれば」と言ってくれた

それから高校行事などママは欠かさずきてくれた


千鶴は本当の親子のような絆なんだろうと感じた

「なんで私を合わせようと思ったの?もう親子はうまく行っている。そういう善意の自己満足って嫌いなの。いいな何もかも持っていて。気分いいですか?」芹沢さんの涙顔をみてハッとして罪悪感が押し寄せてきた


千鶴はごめんなさいと伝えたあとで「あの人は私が苦しんできたことなんてどうでもいい。親の責任を果たさないろくでなし」

「10代のガキのセリフかな」


様子を見にきた結城さんが立っていた

そして「何十年も前の話をいつまでするの?おばあちゃんになっても言うの?そう言うのは10代のうちに整理しておいてよ」

千鶴は苛立ち「どうしろって言うのよ」

芹沢さんも「結城はひどい!!」と怒る

「お前が怒るの?軽んじられたんだからそこを怒れよ」

「私は気にしてない。千鶴ちゃんを傷つけること言わないで」

結城さんと芹沢さんが出て行く


千鶴はどうしていいかわからなかった

母の悲しみや恨みはもう千鶴の一部になっていてどう切り離したらいいかわからなかった


翌日も体調が悪くて部屋を出られなかった

彩子さんがひやまくらを交換してくれる

「何もかも母のせい」と思っていたけど、自分の甘えもあったかもしれない


目を覚ますと母が「調子はどう」

「熱は下がったみたい」

「昨日はごめん」

そう言って出て行った

枕元には牛乳とサンドイッチがおいてあった

「うそっこバナナサンド」


幼稚園のころ具合悪くすると母が作ってくれた

パンにマヨネーズとスライスしたバナナが挟んであるサンドイッチ


幼稚園の同級生が、好物はフルーツサンドだといった

具合を悪くした時「何か食べたいものある?」と聞かれてフルーツサンドと答えるとそれが出てきた

初めての味で嬉しかった

それを同級生に伝えると「生クリームだよ。うそっこバナナサンドだ」

母にそういうと「いい名前ね」

それから我が家ではうそっこバナナサンドになった


母のうそっこバナナサンドを食べると涙が溢れてきた


翌日体調は回復した

彩子さんと母が出て行くと今日は仕事がお休みの芹沢さんが起きてきた


芹沢さんに謝り、初めてゆっくりと話をする

休日の芹沢さんはすっぴんでウィックをつけない頭は少年のように丸刈りだった

「ママは1人になるといつも泣いている。どうすればよかったんだろうって」

今の態度からじゃ想像できなかった

「認知症になってから千鶴ちゃんの話を聞いた。話をする時泣いていた。幸せな姿を見てみたいと言っていた」

だからママの病気が進行する前に会わせてあげたかった


芹沢さんは純粋ですごく綺麗な人だ

千鶴は昨日のことを恥じて「私にいらつかないんですか?」


芹沢さんは「慣れてるから」

親戚のいえに引き取られてからは、兄妹にいじめられた

恵真が可愛いと言われるのがむかつくと殴られて髪を切られたりした

両親はもちろん自分の子供を可愛がるからお風呂に入れさせてもらえなかった

小学校3年生のとき教室で臭いと言われて先生に話すと「うちで入りな」と言われた

28歳の男性教師。先生も裸になり身体を触られた

家に帰り知らないシャンプーの匂いがすると義母が気がつき、学校は教師の体調不良で辞めて納めた

しかし中学校になると噂が広まり、ヤレる女と言われた

そしてある日車に押し込まれて男3人がこっちを笑って見ていた

偶然通りかかったひとが警察に通報してくれて助かった

学校では「君の不注意もある」と言われて家では「一緒にいると怖い」と追い出された


通報してくれた人が結城で、結城がママを紹介してくれた

「容姿で良いことはなかった」


ママは家を出たくないという恵真に、暴漢グッツをたくさん持たせて無理やり外にだした

家の中では甘えさせてくれたけど、外に出たら厳しかった

普通に戻るまでは半年かかった

結城も後をついて歩いてくれたりした

今でも男の人は怖い。喋れるのは結城だけで、触られるのは無理


話を聞いた千鶴は、自分の幼稚さに気づいた

恵真さんは想像以上に辛い経験をしている。何も知らずに発言して八つ当たりをした

恵真さん人間が出来ている


母がデイケアから帰ってきた

いつものともちんが真剣が顔で「九十九さんはいますか?」

母はボーとしていた

「今日失禁しました。便を」

だいぶ症状が進んでいた


母は夜になると「帰らなきゃ」と徘徊が始まった

恵真さんとわたしは必死に止めるが母の力は強い

庭を何周もして満足すると寝る


彩子さんから母の認知症が進んでいると言われた

「聖子さんの意思を預かっている」

下の世話が出来なくなったらグループホームに入所します。子どもたち、私の世話をしようと思わないでください。迷惑です。私の衰退していく姿を見てほしくない」


恵真さんは「ホームになんか入れなくていい!わたしママいなくなったらどうすればいいの」

千鶴も「私に出来ることあれば」


それからみんなで協力して母を介護した

母はいつもソファーでぼーっとしていた

徘徊して落ち着くと眠りにつく


今日も徘徊後眠りに使うとすると、インターフォンがなった

彩子さんがでると「タクシー代払っていいて」と美保が荷物を持ってやってきた


彼氏が居なくなり、家族も勤め先も知らないと言う

彩子さんは「ここで産みなさい。面倒は見る」

美保は「ここボロくない?汚いなー」と周りを見渡して恵真さんを見ると「ブルームの恵真じゃん。一緒に写真とろ」

「やめて!お店以外で写真は載せないから!」とキツく話す

「冷た!坊主じゃん!でも自慢になるしここにいるよ」


翌朝、母は「てめえの責任も取れないくせにいっsちょまえにSEXはするんだ。自分のケツくらい自分でふけよ」

「だって母親だよ!何が悪いの?確かにママを捨てたけど、自分の子供から逃げたらいけないんだ!」

千鶴はそれをみて幼いと感じた。そして同じだった


彩子さんは、美保を部屋に行かせて「ごめんなさい」

しかし母は「あの子は自分に降りかかったことを彩子のせいにしようとしている。それは間違っている」


母の口癖は「わかる」だった

噂好きのママ友と話す時にいつも言っていた

私にだけは、母の思った通りじゃないと「違うでしょ」とガラス玉のような目でツネられた

黒い靴下を履くと「違うでしょ」好きじゃないキャラクターの靴下をはいた

そしてキャラクターしか履かないのよというママ友に「わかる」と言う

ある日「私はお母ちゃんと違うよ」と言ったら「違うでしょ」ときつくつねられた

緩めない力で「お母ちゃんと一緒」と泣き叫んだ

そして「ようやく分かったわね」とだきめめられた

そのあとは周りからはそっくりとよく言われた

母の言うとおり生きてきた

母が死んだ時弔問客に「お母さんから卒業しないとね」と言われた


母は遠い昔を見据えていた

「お母ちゃんは、私をもう1人の自分だと思っていたの。父と結婚したのもお母ちゃんが気に入ったから」

そしてお母ちゃんが死んでどうしていいかわからなかったがやっと自分の人生を生きていいと思った


彩子さんはわがままをいう美保の言いなりだった

ある日出産用品を買うために置いてあったお金を持ち出して美保が消えた

心配をよそに夜中帰宅した美保は、買い物をしてきたと何事もないように帰ってきた

それでも彩子さんは怒らなかった

恵真は美保を気に入らず彩子さんに変わって言うが美保は「出産費用なんだから私が使っていいでしょ」と部屋へ戻った


美保は母が仕事へ行くと滅多に部屋から出ない

恵真は、お休みの日にケーキを買ってこよう!と買ってきてくれた

ついでにと美保の分も

千鶴は恵真に伝えると珍しく降りてきた


ケーキは最近若者の間で流行っていて美保テンションを高く写真を撮った

ついでにとカメラを向けてきたので恵真が怒り美保はまた自部屋に戻って行った


ある日食後に美保がSNSをしていて

少し話を聞くと楽しそうに話し始めた

「そんなことも知らないの?教えてあげる」

スクロールして行くと先日のケーキの写真にいいねがいっぱいついていた

その後に、顔はハッキリ写っていないが恵真と千鶴の写真がアップされており「#️⃣同居している優しいお姉さん」

意外だった

画真と千鶴の事情を彩子さんから聞いたようで、少し素直に話をしてくれた

恵真は「消して!」と怒ったが嬉しそうだった


するとインターフォンがなり、美保が出ると

「ここにブルームの恵真さん住んでる?」

「吉野千鶴と」

声は明らかに聞いたことがある、でも弥一ではない

岡崎くんだ!

鳥肌がたった

美保は「そんな人住んでない。誰?警察呼ぶよ」と110のスマホを見せて追い返した


帰った後彩子さんも異変の気がつき、事情を説明していると美保が「私のせいだ」

SNSで投稿した写真で足取りを勘づいたのか


千鶴は久しぶりにスマホの電源を入れて川村主任に電話をした

岡崎は会社の女性社員に暴行してクビになった

さらに千鶴の居場所を聞かれたことがある

弥一と岡崎は繋がっている可能性があると考えた