「迷う」は「魔寄る」に通じる・・・
と言われます。なぜ人は迷うのか?それは先のことが分からないからというのが理由の一つでしょう。つまり「先見の目」がない、自分の「先見の目」に自信がないから迷うのです。
だから信頼できる人に相談しようとするのですが、自分が信頼できると思い込んでいる人が実は自分にとっては不幸を招く人だったということも起こりうる(つまり魔が寄る)のです。
逆に、的確なアドヴァイスをもらえたとしてもその助言を受け取る側の資質によって解釈が異なってしまいます。例えば「○○したほうがいい」とアドヴァイスされた場合、そのアドヴァイスに従って難を逃れたとしても、○○という行動をしなかった自分とを比べることが出来ないので果たして本当に○○でよかったか?と相変わらず迷うのです。※○○が明らかに大成功という場合は別として。
さて「花月草紙」という江戸時代に書かれた随筆中の「くすしの先見」はなかなか興味深い内容です。
①病気を予見した名医に背を向け、まぐれ当りの薬を与えた医者を命の恩人と思い込む男
②病気を予見した名医の薬を飲んでおきながら、その効能を無視して自分の予想通り病気にならなかったと主張する男
作者、松平定信は、①②の男の視野の狭さ、先見を持つ事や先見を持った者に従う事の重要性を見事に描き出しています。聡明な人であれば素直に先見を持ったものに従い、従うことによって難を逃れることが出来たことに気づくはずなのです。
今も昔も自らが「先見の目」を持つこと、あるいは「先見を持つ者」に従うことが大切・・・さらに言うならば「先見を持つ者」を見分けることも大切だなあと改めて感じる今日この頃です。
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