天族太子の夜華君、今日も仕事(上奏文)に励んでいます。

画像は全て、中国ドラマ『永遠の桃花』よりお借りしました。


先日から『白浅茶』が『夜華君特製湯飲み』で出されるようになり、俄然、仕事に精(ファイト)が出て捗っています。
しかし、気になる点が1つ。
「この湯飲みは、浅浅が東華帝君に頼んで作ってもらった『特別製』と聞いたが…」

白浅と東華帝君の間にどのようなやり取りがあったのか、気になるところです。

夜華君は知りませんでした。

白浅が夜華のために東華帝君の太震宮に持参した青丘の『陶土』と『釉薬』は特殊で、基本、『青丘より持出禁止の特別品』だと。

『陶芸』を嗜まない白浅は『湯飲み』1客作るのに必要な分量が分からず、とにかく多い目多い目に材料を持参して太震宮に渡したため、東華帝君が試作3客を除く『366客』を製作した後も大半が残り、太震宮の倉庫に保管されました。

東華帝君、意外な『報酬(製作材料)』を白浅から受けたので『貸し借り』以前の話でした。

ゆえに、白浅が依頼した『30客』が『366客』製作されたのです。

白浅から預かった竹簡に書かれた『30の言葉』を見て、東華帝君が残り『336の言葉』を起草しました。

白浅が夜華に『告げる』であろう『言葉探し』をすることは、情に流されることの無い東華帝君には良い気分転換(遊び)に。

この日のお茶を、『夜華君特製湯飲み』製作時の試作品で飲んでいた東華帝君のところに、夜華が顔を出しました。

「東華帝君、それは『試作品』ですか?」
「いま、何と言った?」
「『夜華君特製湯飲み』の試作品かと、お尋ねしただけです。」

まるで、「自分のために作られた物は、たとえ『試作品』であっても他人に使われたくない。」と、夜華が言っているように聞こえました。

夜華がここまで焼きもちを焼くとは、想像していなかった東華帝君です。
「無論、何点か試作して仕上げた品だ。良い『湯飲み』であろう?」
「はい、良い『湯飲み』です。」

今日の夜華は様子がおかしいと思いつつ、訪ねてきた理由を聞き出します。
「それで?何が聞きたい?」
「白浅のお願いを聞いたならば、本君のお願いも聞いてください。」
やはり、今日の夜華はおかしい。
「お願いとは?」
「白浅に『湯飲み』の礼として贈り物をしたいのですが、何を贈れば良いでしょうか?」
「夜華…いままで何をしていた?」
「はい?」
「白浅が『湯飲み』を受け取り、夜華が使い始めて一月、まだ礼をしていないのか?」
「はい…」
「女性への贈り物なら、まず『指輪』と言いたいところだが…夜華なら『首飾り』『耳飾り』『腕輪』『簪』といった品だな。」
「はい、全て1つづつ用意すれば?」
「馬鹿か…」
「馬鹿?」

夜華君を『馬鹿』呼ばわり出来るのは東華帝君ぐらいでしょうが、夜華は真剣です。
「白浅の好みは、十里桃林に居る兄の白真と折顔に訊け。私の助言はここまでだ。」
東華帝君に「帰れ。」と言われ、太震宮を後にする夜華です。

『366客』の湯飲みを作った東華帝君ならば、白浅がくれた『366の言葉』に見合う贈り物の助言をしてくれると考えた夜華ですが、甘かったようです。


女性への贈り物に『正解』はない。


『贈り物』には必ず『言葉』を添えなければ、女性には伝わらない想いもある。


白浅の『湯飲み』にはちゃんと、『言葉』が添えて有ったでしょう?


『贈り物』に『愛』を込めたいのは判るけど、『内容』を全て察して欲しいというのは男の身勝手だと思う。




本作(小話)は、私のアメンバー7号『こじかのばんび』さんに贈ります。