『ハゲタカⅡ 上下巻』の感想 | まんが栄養素

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【日記】

3月もあとわずか。

急ピッチで、3月分の仕事を終わらせないと・・・。

 

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【小説感想】

 

『ハゲタカⅡ 上下巻 (真山仁)』

 
真山 仁
ハゲタカ2(上)
ハゲタカ2(下)

 

過去記事はこちら → ハゲタカⅠ 上下巻

 

 

【あらすじ】

「私が腐りきったこの国に復讐して差し上げます」いつか日本を買収すると豪語する天才買収者・鷲津政彦が、あの巨大企業をターゲットに定めた。大銀行トップ、企業再生のプロ、外資系投資銀行、カリスマ経営者…激烈な買収戦争で最後に笑うのは誰か?衝撃の書き下ろし長編小説。

 

 

NHKで放送中されたドラマの原作小説です。

過去記事で書いた『ハゲタカⅠ』の続編にあたる作品で、完全な続編です。

(本来、この作品は『バイアウト』という名前でしたが、文庫化の際、『Ⅱ』に変更されました)

なので、前作の『ハゲタカⅠ』を読んでいないと、舞台背景・登場人物など意味不明だと思うし、

それに対してフォローは一切無いので、注意が必要です。

 

さて、

上巻では、歴史と伝統にあぐらをかき経営危機に陥っている『鈴紡(元ネタはカネボウ)』、

下巻では、同じく経営危機に陥っている巨大総合電機メーカー・『曙電機』、

の2つの死に体の企業に群がってくる『同業の優良企業』・『銀行』・『再生ファンド』・『米国ファンド』

などのハゲタカ達の争いを描く今作。

 

前作よりもスケールを大きくした企業買収劇が描かれており、前作以上に面白い内容でした(^^ゞ。

今作も『企業買収』をテーマと作品でして、前作よりも金融的な要素は薄くなりましたが、

個性的なキャラクター達が作り出す人間ドラマは前作以上の出来です。

多少、ストーリーに説得力とリアリティに欠ける部分があるものの、テンポの良さは前作以上。

普段、小説を読まない人でも、充分楽しめる内容だと思います。

 

 

ただ、気になったのが、主人公・鷲津政彦のキャラ設定(及び性格)

前作と違いかなり支離滅裂なキャラ設定になっており、最後まで安定しないままでした。

特に、本社からの忠告を無視し続けたことで解雇されたシーンでは、

 

鷲津 「じゃあポール、良い人生をな。 今度会うときは、おまえの敵だ」

 

なんて、格好良い捨て台詞を言うもんだから、『これからどんな活躍するんだろう?』と思っていたら、

次に再登場したときは、『美女をはべらせ、飲んだくれ』になっていました(´Д`;)。

このシーンが描かれたときは、唖然としましたね(^^;。

まあ、こういうところで『ハゲタカも人間なんだぞ』という部分を描こうと思ったのでしょうが、

描かれ方が極端すぎて、情緒不安定な人間として描かれてしまっている。

つまり、失敗していると思います。

 

あともう一つ、気になったのが、『松平貴子』と『アラン・ウォードの死の真相』の描かれ方。

前作では、主人公並に活躍していた『松平貴子』だが、活躍シーンはほとんどない。

彼女の話が本編に大きく関わってくるならば彼女の存在意義はあったのだろうけど、

彼女の話だけ本編とは別次元で描かれており、さらに本編とは一切関わりはなかった。

なので、わざわざページを割いてまで登場させる意味が無かったと思う。

 

そして、『アラン・ウォードの死の真相』。

今巻の話は、『アラン・ウォードの死』を発端に始まるわけだが、

本編で、『アラン・ウォードの死』の真相どころか、手がかりすら出て来ない状態。

結局、この設定はおざなりとなり、本編に関わってくることはほとんど無かった。

で、その『アラン・ウォードの死の真相』は、次回シリーズに描かれるようで、

読者にとって余計にフラストレーションが溜まる仕様となっている。

 

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【総評】

不満点はありますが、かなり面白い作品です。

上下巻合わせて『867ページ』とかなりボリュームですが、あっという間に読める内容だと思います。

 

点数的には

94点

です。

 

かなりのご都合主義的な内容で、好き嫌いが判れる作品かもしれません。

でも、『Ⅰ』が楽しめた人なら、絶対に楽しめる作品だと思います。
 

 

では、ここまで。

 

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