「わ~~~お。してやったか~~。キス~~~???」
顔にパック中の悠里。
こちらはパジャマ姿で自室で資料を見ながらの優維香。スマホに、
「うん。…って言うか~~。何とも自然に。…なっちゃってた~~。」
その声に悠里、
「あ~~ん、劇的~~。…でも、まさか、ひったくりにぶつかって地面に倒れちゃったってね~~。あれにはビックリだよ~~。…で、リーダーのあの手~~。」
「うん。まっ。本人はかすり傷っては言ってたけどね~~。…でも、その後が~~。私…、全然。何かこぅ~~。ボゥ~~っと、しちゃってて…。気付いたら、リーダーと…。…に、なっちゃってた。私だって、こんなの初めてだよ~~。心臓バックンバックン。」
「かかかかか。好きになっちゃったってか~~~???」
その声に優維香、けれども口を尖らせて、
「ん~~~。でも…、まだ、分かんないよ~~。…って言うか、何て言うの、ついつい、流れで…。」
「ま、ねぇ~~~。」
「好きって言うか…。ん~~~。でもね~~~。好きに…、なれるのかな~~~。」
今までの事を考えながらの優維香、頭の中に浮かぶ小埜瀬との景色。けれども顔を左右に振り、
「ううん。まだまだ、好きになんかなれない。…って言うかぁ~~。まだまだ、リーダー、勝手に何処かに。」
「そんなだったら、また着いてっちゃえばいいじゃ~~ん。…その方が、あんたらしいよ。今迄とは違った優維香になれるんだし~~。」
そこまで言って悠里、
「そっからがスタートでしょう~~。」
「ん~~。なのかな~~。」
「大丈夫だって~~。このまんまで、争奪戦、分捕っちゃおう~~。」
その声に優維香、
「うん。」
そして…。
話と言うのは、こんなところからも…。
「うそ。マジで神楽ちゃん。」
恵梨。
料理の空いた皿をトレイに揃えながら、
「えぇ。この前…???…丁度、吉竹部長と小埜瀬課長、それに~~。吉竹部長さんの奥さん。確か、胡桃さん…???」
基美、
「うんうんうん。」
焼き鳥を箸で摘まみながら…。
和津美も、
「え~~~???」
「何々、もしかして、じゃあ~~。圭衣子も励も知ってるって事~~???」
神楽、
「あ。でも、この話は。」
右人差し指で口に。そしてカウンターの方を振り向いて。
耀、
「分~~かってるぅ~~。禁句ね、禁句~~。」
完璧に席が埋まっている門倉。
開いている椅子もない状態、テーブルは満席状態。
予約は5人も入れば満杯の座敷一部屋のみ。
但し、テーブル席は早い者勝ち。
と、言う事で、早いものからまずは、恵梨、そして基美がテーブル席を確保。
後から来るメンバーが、残りの椅子をゲット。そして、その他は座敷となったのである。
すかさず基美、座敷の静歌にライン。
こちらも密着取材とコンペの話で盛りに盛り上がっている座敷チーム。
静歌、結羅、そして龍二、そして燈子と千優。
いきなり静歌、基美からのラインで、
「えっ…!!!」
そしてメッセージを見て、息を吸うように、口に左手を当てて、
「え―――――――っ!!!」
けれども、この声は賑やかな店内。全く他には聞こえていない。
いきなり結羅、龍二、静歌を見て、
「どうしたの~~???」
燈子と千優も、
「静歌先輩…???」
静歌、結羅と龍二にスマホの画面を見せて…。
龍二、結羅、
「ん~~~???」
そしてふたり同時に、
「課長と佐津香さん、付き合ってるって。」
いきなり龍二も結羅も、
「え――――――っ!!!」
静歌、燈子と千優にもスマホ画面を。
燈子、
「えっ…???うそ。」
千優、
「はぁ~~~。あははははは。いやいやいやいや。」
静歌、すぐさま、
「マジ…???うそ…。ほんと…???」
すぐさま返信。
「今さっき、神楽ちゃんが言ってた。この前、フランスから帰って来たその日に、ここに部長と課長、そして部長の奥さんが来て、そんな話、してたって。けど、この話は禁句。大将と女将さんにばれたら困る~~って。」
静歌、そのメッセージに、
「うんうんうん。確かに。」
そして静歌、龍二と結羅、そして燈子と千優に、
「この前、ほらほら、フランスから帰ってきたその日、部長と課長と~~。課長の奥さんが来て、そんな話してたって。」
龍二、いきなり、
「え~~~~???」
結羅、口に両手を、
「凄~~~~。」
瞬きをして。
「…って…。じゃあ~~。課長と佐津香さん、ほんとに…???…って、部長も、それ、知ってるって事でしょ。うそ~~~~。」
静歌、
「あ、ちょっと待って。」
そして静歌、ラインで基美に。
基美、ラインの音に、
「来た来た~~~。」
「…って、でも、座敷に行けないもんな~~。直接話したいけど。大将に気付かれちゃう。」
恵梨。
耀、
「確かに。」
基美、メッセージを見て、
「圭衣子と励もその事。」
いきなり恵梨、耀、和津美、
「知らない訳ないでしょ。」
そして、3人。
「…と、言う事は~~~???」
好きになれない。 vol,265. 「好きに…、なれるのかな~~~。」
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