それからまた1か月が過ぎた。
既に大学ではいつもと同じように。事故からは4か月が経っている。
事故当時、かなりの重症だった体も、柚香の強い精神力だったのか、
はたまた、柚香の亡くなった両親の御加護があったのか、どうかは分からないが、
見事な改善ぶりで4か月前に事故に遭った人には見えないほどに…。
ただ…。そんな柚香を近くで見ている幸乃は、
柚香が退院してからも、定期的に、病院には顔を出していた。
熊沢に…。
熊沢、幸乃からの話に、
「そうですか~~。いや。お話を聞いて、安心しました。あれから…。退院して1か月。お変わりないのであれば…。うん。…ただ…。もし、何かありましたら、その時は是非。」
幸乃、熊沢に深々とお辞儀をして。
そして、ナースステーションにも、看護師たちに深々と…。
看護師たちからも労いの言葉を…。
そして…、それからまた…、2週間後…。
柚香、大学のキャンパスを…。
「…ん…???」
顔を傾げて…、
「あれ…???」
記憶の片隅にある…、
「え…と~~。」
歩きながら…。顔を右に左に…。
「確か~~。」
…すると…。思わず、
「あ~~~。」
ベンチに座っている男性。自分に近づいてくる女性に全く気付いていない。
柚香、気付かれないように、静かに後ろから…。
男性は耳にイヤフォンをしている。
柚香、男性の後ろに回って…。いきなり後ろから男性の目を両手で…。
いきなりビクンとする男性…だが…。頭を右左に。
そして、両手を顔から解いて…。チラリと後ろを。
柚香、
「だ~~れだ…。」
男性、ニッコリと、
「び~~っくり~~。かかかか。君だったか~~。」
柚香、男性に向かって、ニコニコ、
「うん。私~~。覚えてる…???汀柚香~~。」
ベンチの背もたれに両手を。男性も、
「うんうん。しっかりと覚えてる。僕は、勝巳真輝。」
柚香、
「うんうんうん。真輝君、将来は車のエンジニア、ただいま、機械工学と電気工学の勉強中~~。」
すると真輝、
「汀柚香さんは、将来は宇宙に、天文学を学んで、その道を…。いいねぇ~~。スケールが大きい。はは。」
「それを言うんなら真輝君もでしょ~~。凄いよエンジニア。」
真輝、
「はは。まっ。確かに…。…って言うか、いや…。初めて会ったね~~。大学で~~。」
柚香も、
「うんうんうん。初めて、初めて…。真輝君、いつ、退院…???」
「うん。2週間前かな…。柚香さんが退院して、少ししてから…。」
「へぇ~~。そっか~~。うん。じゃ、お互いに、退院おめでとうだね。」
「はは。うん。」
柚香、
「あっ。ねね。」
真輝、
「うん…???」
「スマホ、出して…。」
「あ、あ~~。」
そして柚香、真輝のスマホを…。バーコードを出して…。
真輝、瞬間、
「えっ…???」
柚香、そのバーコードに自分のを…。
真輝、
「えっ…???えへ…???…いいの…???」
柚香、スマホを見ながら、
「うん。いい。」
そして、
「おし。これでOK。」
真輝、
「僕なんかが…。」
そんな真輝に柚香、顔を右左に振って、
「ううん。友達は、多い方が、いいもん。」
「まっ。確かに。」
そして真輝、
「今日の講義は…???」
柚香、
「うん。終わった~~。これから…、帰るトコ…、なんだけど…。」
「あは。じゃ~~。同じじゃん。」
そう言いながら真輝、道具をバッグに。そして耳から外れたイヤフォンもバッグに。
柚香、
「何聴いてたの…???」
真輝、バッグのショルダーを肩に、
「うん…???…ヒゲダン。」
その声に柚香、顔を上下に、
「あ~~ん。な~~るほど…。」
「ヒゲダン、嫌い…???」
柚香、ニコニコとしながら、
「ううん。全然、そんな事ない。…私は…、どっちかと…、言えば~~。キンプリ。と~~。バックナンバー。」
真輝、
「はいはいはい。確かに。いいよね~~。」
話しながらキャンパスを歩く。
駅前のファーストフードのイートインで…。
柚香、
「うそ。凄~~い。もぅ…免許…???」
真輝、
「うん。取った。」
「はや~~~。」
「柚香さんは…???」
いきなり右手を小刻みに振って柚香、
「いやいやいやいやいや。私なんて…。自動車免許。とんでもない。全く無理。」
思わず真輝、
「へっ…???…なんで…???」
「いやいやいや。なんでって…。…ってか…、私、家族、おばあちゃんしかいないから…。そんな…。…大学行くのだって…。結構…。」
真輝、いきなり、
「あっ。えっ…。…ふんふん。そっか~~。そうだったんだ~~。ごめん、余計な事、訊いて…。」
柚香、そんな真輝に、
「あん。全~ん然平気~~。…でも。凄いね、もぅ免許取って…。…と、言う事は、車…。」
その声に真輝、思わず困ったような顔をして、
「それが~~。はは…。ま。確かに、免許は取ったけど~~。中々、車…まではね。大学に通わせてもらっている…、身分で…。」
柚香、目をパチクリと。そして、いきなり、
「ぷっ。…ですよね~~~。」
真輝、照れながらも、
「そんな…、訳で…。」
柚香、ニッコリと、
「うん。」
LIBRA~リブラ~ vol,017. 柚香、大学のキャンパスを…。「…ん…???」
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※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。