「いやいやいや。…私も実は…、びっくりしたんですけど…。ひさ~~しぶりに、夢に…、シカゴ時代の…。まっ。その…。」
照れながらの海江田。
鳩崎、体を少し前屈みに…。
「ほぉ~~。…と、言う事は…。確か…、事故に遭って…。」
「えぇ。もぅ…この世にはいないんですけど…。夢の中に彼女が出てきて、アナグラムの事を僕に教えてくれたんですよ。しかも…、余りにリアルに…。」
その話に鳩崎、
「ほぉ~~お~~。」
「ただ…最後の声だけが、どうしても、何を言っているのか分かんなくって…。何だか…、口パクみたいで…。」
そこまで話して海江田、
「あっ。そういえば…、彼女の周りにも、チョウチョが…、ヒラヒラと…。」
そこで海江田、頭を傾げて…、
「何なんだ…???あの蝶…???」
鳩崎も、
「蝶…???」
そして、
「まっ。とにかく…、有り得ないような…有り得るような…。…実際。…でも、その…、アナグラムで、動いてるって訳だ。凄ぇよな。…その…。夢の力ってのも…。」
「えぇ…。」
陣屋と美知佳からその話を聞いて廿楽。椅子に座ったままふたりを前に、
「アナグラム…かぁ~~。」
陣屋、そしてプリントアウトしたものを廿楽の前に…。
廿楽、その内容を見て…。いきなり、
「ふん…???」
そして、
「くく…。…へぇ~~~。…な~~るほどね~~。」
そして廿楽、椅子から立ち上がり、後ろを振り向いて…。
「そっか~~~。まだ…膿…、出尽くしてなかったんだ~~。」
陣屋も、
「そのようで…。」
「あれから…、11年…。…つまりは…。その時からまだ…、燻っていた…、人物は…いた。」
陣屋、また、
「そのようで…。…ある意味…、表現は悪いようですけど…、怨念のように…。」
その声に美知佳、
「わお。」
廿楽、頭をコクリと。
「うん。確かにね~~。的を得た表現。怨念。…実際…。5億…、消えちゃっている訳だから…。…しかも…。その内容からすれば…、まだ、今後も続く…。」
陣屋、
「その通りで…。」
「でも…。当の本人はまだ…。」
「知る由も…、ないでしょうけど…。実際、横領の件は、私ども、財務企画。そして…。」
美知佳、
「他言無用でして…。」
その声に廿楽、頭をコクリと。
陣屋、
「そして…。鳩崎部長にも、何らかの繋がりで、ご存じかと…。」
「鳩崎…。」
思わず空を見つめる廿楽。
「もしかして…。海江田獏…。絡んでる…???ん~~???…分かんないけど…。」
そして廿楽、
「とにかく分かった。ありがと。引き続き…、人物、絞ってみて。確かに、3本指には入るけど…。まだ特定は…。可能性のある人物…。お願い。」
そして廿楽、美海にも、
「美海。」
美海、一礼をして、
「畏まりました。」
そして陣屋と美知佳、社長室を出る。
廊下を通って、お互いに、
「じゃ。またよろしく~~。」
「かかかか。まさか、女子3人がマスクして、男子の部屋にお見舞いって…、あいつ、驚くだろうね~~。」
歩きながら輪湖、そして葉子と秀美。
秀美、ニコニコしながら、
「ですよね~~。」
そして秀美、
「…でも、まだ思うんですけど、葉子先輩、凄~~い。アナグラム~~。」
「確かに。天晴だね~~。」
輪湖。
「…って言うか…、それ、分かった自分が一番ビックリしてるから…。あれ…???…うそ…???…もしかして…。って。」
葉子。
「ただ~~。…でも、それに気付く。って事が、凄いよ。葉子。」
「ん~~~。何かの切っ掛けで、スルスルスル~~と、感じるものが…。見えてくるものが…、あるっちゃ~~、あるみたい。」
輪湖も秀美も、
「うんうんうん。」
「夢のお告げ~~???…あらまぁ~~。海江田獏ともあろうお方が、夢のお告げとは…。こりゃ珍しい~~。」
カウンターの中で匡子。
その声に獏、
「何、仰います~~。俺なんて、そんな…。普通の人ですよ~~。…で…、今、いないって事は…、彼女たち、コイっちゃんのトコ…???」
そんな獏に匡子、
「多分ねぇ~~。あの人たち、正に、仲間だもんね~~。…で、どんな夢、見たのよ。…って言うか、あの子たちの前では、隠せないよ~~。」
獏、思わず口をへの字にして、
「なんだよな~~。一番信じられないのが、俺だからさ~~。」
その声に匡子、
「はぁ~~~あ…???」
池袋駅から歩いて12分ほど。輪湖、葉子、秀美、虎一郎の住んでいるアパートの前。
その外観を見て、
「確かに…。」
「格安…かも…。」
「そんな感じ…。」
「シカゴでさぁ、いつもふたりで一緒に行く公園があったのね。」
獏。
匡子、
「公園。」
「うん。…けど…。その公園で俺、横領の事を一生懸命に考えてる訳よ。」
「うんうんうん。」
「すると、愛犬のリリー、雌のグレート、ピレニーズ。大型犬だけどね。ナンシーも今まで一緒に走り回っていたのが、急に俺のトコ来て、何…???どうしたって…???」
こんな私です。〜選葉子(すぐりようこ)〜 vol,199. 「夢の中に彼女が出てきて…。」
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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。
