可南子、
「…ん…???何…???」
可羊子、
「…今の…。パーカーを着た…人…???」
後ろを振り向いて。
可南子も振り向いて、
「あの…パーカー…着た人…???」
走って行く若者の背中を見て可羊子、
「うちのクラスの…。海野…君…???」
可南子、
「ふ~~ん。まだ…見た事…ないけど…。」
そして、
「ジョギングか~~。」
既に遠くの方で走りながら航、
「……。」
「な~~んか…、あったか…彩萌…???」
部活で史江。首を傾げながら…。
「全く憲と口…利かないけど…???」
そして憲央に近づいて、
「ねね、憲…、彩萌と…、何かあった…???」
そんな史に憲央。こちらも首を傾げて、
「さぁ…???」
そんな3年を見て可羊子、笑いを堪えるように。
そして憲央の前を通り過ぎながら彩萌、ツ~~ンと。
それを見て可羊子、口を崩したように、
「い~~~。マジで…。あらららら。」
レミ、
「ん~~。どしたの…カヨッチ~???」
そんなレミに可羊子、首を小さく振りながら、
「んんんん。なんでも…。うん。」
そして可羊子、小さな声で、
「こわ~~~。」
グラウンドでランニングをしながらの野球部。聞こえてくるピアノの音。
「さすがに一華先生、いい曲弾いてるよな~~。これってロックかぁ~~。なぁ~航~。」
敦司。
「ん~~。違う。これ…ジャズだ。」
航。
「へぇ~~。」
「そういや。今度、器楽部に、もの凄いピアノの上手い3年の女子、入ったんだって~。」
別の部員。走りながら。
「ほら、転校してきた女子。」
その声を聞いて航、
「えっ!!!」
「それこそ、航、敦司、おまえたちのクラスの転校生。そのお姉さんだって話だぜ。」
その声に敦司、航、顔を見合わせて、
「マジ。矢島…???」
敦司、
「あいつの姉ちゃん、ピアノ…弾くんだ~~。へぇ~~。」
一瞬、航の頭の中に浮かんだ璃子の顔、
「璃子…さん。」
そして、
「俺のクラスの…器楽部って~言うと…。」
邦展の構えたミット目掛けて航。
「バシン。」
その度にバックネット裏からは、
「キャ~~~。」
「いやはや…。相変わらずの…黄色い声で…。」
邦展。そして立ち上がり、後ろを振り向いてバックネット裏に手を振る。
けれども、
「シ~~~ン。」
その途端、ベンチから笑いの声。
「おぃおぃおぃ。邦~~。そいつはねぇよな~~。かかか。腹痛ぇ~~。」
3年の部員たち。
その声に邦展、
「うるせぇやい。…ったく~~。あいつら、部活ねぇのかよ。いっつも、いっつも。」
邦展からの送球を受けて航。今度は右手をクイっと。
バックネット裏では女子が一斉にスマホをかざして…。
「へぇ~~。そぉ~~。ふたりとも…、部活、納まりましたか。」
窓の外、グラウンドを見ながら校長の西園寺。
「えぇ。中々ふたりとも、インパクト…ありそうですな~。」
そんな西園寺の背中を見ながら教頭の澤木。
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庄司紗千 つつじヶ丘の坂道で…。
※ご本人の承認の下、紹介させて頂いております。