「フィンテック(Fintech)」とは、米国発の造語で「金融(Finance)」と「テクノロジー(Technology)」をかけ合わせた言葉を言う。人工知能(AI)、ビッグデータ、スマートフォンを使う決済や資産運用などの最新技術を駆使した金融サービスを指す。かつて専門性が必要とされた分野でも、スマートフォンから誰でも気軽に利用でき、既存の金融サービスを揺るがすとも言われている。
経済産業省は「FinTech(フィンテック)」に関する初めての総合的な報告・提言「FinTechビジョン」を今年(平成29年)5月に取りまとめた。このビジョンは、次の3章で構成されている。
・「第1章:FinTechは何を変えるのか、何がその変化の原動力になっているのかなど、世界中が「FinTech」という言葉で捉えようとしている動きを概観」
・「第2章:FinTechが我が国の経済・社会にもたらす効果を金融サービスのユーザーたる個人(家計)や企業の目線から考察し、「目指すべきFinTech社会の姿」を示す。」
・「第3章:第2章で示した「目指すべきFinTech社会の姿」を実現するための課題と政策対応を提言」
・個人の生活(家計)が劇的に変わる
携帯電話による⾦融へのアクセス改善、デジタルID による⼝座開設、⼝座を持てない⼈々の⾦融ニーズへの対応等により、日々の消費の高度化・活性化が可能になる。一例としては、、銀⾏⼝座を持てなかった⼈々が携帯電話等を通じて送⾦や⼝座開設が⾏えるようになる。
・個人の効率的な資産形成
⽇々の消費・取引データの⾃動収集や管理、利活⽤が進むことで、自分の資産状況や将来必要となる⽀出、運⽤に回せる資産等の「⾒える化」が可能になる。ロボ・アドバイザー等による資産運⽤サービスは、投資を始める際の金額面、知識⾯での敷居を下げ、各自のライフプランやリスク性向に応じた最適な資産運⽤を可能にする。
・企業(個人)の資産調達力の強化
従来の審査では融資対象にならなかった中⼩企業や個⼈が ECでの実績や SNS 等の情報を活⽤することで与信等を受けられるようになる。また、⾦融機関の拠点がない地域においてもキメ細かい金融サービスを受けられるオンライン・サービスやクラウド・ファンディングでの資⾦調達が可能になる。
「フィンテック」には、いろいろな分野で具体的なサービスが展開されている。主なものを挙げると下記のようなものがある。
①決済・送金サービス
スマートフォンアプリと銀行口座またはクレジットカードを連携させることで、現金を使わずに決済できるサービスが主流である。また、個人間での送金も行えるサービスが登場している。ネットショッピングから実店舗まで、様々なシーンで決済できるのが特徴。
【主要な提供先】
・LINE Pay(チャージで加盟店での買い物や、LINE の友だちへ送金や割り勘が可能)
・楽天ペイ(スマホで簡単に会計を済ませる新しいお支払い方法)
②会計・経理サービス
法人向けの会計や経理を自動化できるサービス。クラウド化が主流で、インターネット環境があれば端末の種類や場所を問わず利用できる。銀行口座やクレジットカードを登録するだけで、自動的に勘定科目を仕分けされ、専門知識の無い担当者でも利用が可能。
【主要な提供先】
・freee(利用事業所40万(クラウド会計シェア4割でNo.1)、会計ソフト。)
・MFクラウド会計(クラウド型会計ソフト、ユーザー数40万。)
③家計簿・家計管理サービス
個人向けの資産管理を目的とした家計簿や貯蓄サービス。銀行口座情報やクレジットカードを登録することで家計収支の管理が可能になる。また、レシートを写真撮影するだけで家計簿が付けられるサービスなどもある。
【主要な提供先】
・Money Forwad(300万人が利用する全自動家計簿。)
・Moneytree(通帳アプリ。ダウンロード数は150万。)
④投資・資産運用サービス
AI(人工知能)に任せることで自動で資産運用を行ってくれる投資・資産運用サービス。ロボアドバイザーと呼ばれており、自動的に分散投資を行ってくれるのが特徴。投資の知識や経験が無い方でも少額から利用できるサービスが主流となっている。
【主要な提供先】
・Wealth Navi(世界水準の金融アルゴリズムを提供するロボアドバイザー)
・THEO(資産運用のロボアドバイザー)
⑤仮想通貨サービス・ビットコイン・ブッロクチェーン
物理的に存在しないものの、通貨同様に価値を持っているのが仮想通貨サービス。「ビットコイン」が最も有名な仮想通貨で、取引所で利用することができる。
【主要な提供先】
・bitFlyer(日本最大のビットコイン・ブロックチェーン事業者)
・BTCBOX(取引量が日本最大のビットコイン取引所。海外送金サービスを展開。)
⑥保険
ネットで完結する保険サービス。
【主要な提供先】
・LiFenet(独立系生命保険会社であり、保険販売にインターネットを用いる生命保険会社。)
・DriveOn(車の健康診断サービス。アクサ損害保険と業務提携)
(出典:日本経済新聞)
・データの融通環境を整える
日本では、データが個⼈のものであるという考え⽅を明確にした制度設備は現時点ではなされていない。このため、個⼈が FinTech によって幅広いデータ、たとえば個⼈の⾦融データと医療データや運転データ等を組み合せたサービスを使おうとしたときに、事業会社や政府が持つ⾃分のデータを他の会社に移⾏してより利便性の⾼いサービスを享受することが難しい。
・電子決済のセキュリテイが守られる
キャッシュレス決済の普及に関する課題の⼀つとして、消費者にとってのセキュリティへの不安が挙げられる。特に、クレジットカード決済においては、消費者にとっての最⼤の不安としてセキュリティが挙げられており、利⽤に際しては⼀定のセキュリティ基準が保たれていることが必要である。
・金融サービスがデジタルで完結する
FinTech は、スマートフォン等の⾝近なデバイスを通じて、ユーザーが⾮対⾯で⾦融サービスにアクセスし、関連するサービスを円滑かつシームレスに使えるようなサービスを⽬指している。FinTech サービスのイノベーションを促進し、ユーザーの利便性を⾼めるためには、⾦融サービスの⼀連の流れがデジタルで完結する環境整備を進める必要がある。
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