弁護士に、問われる事実認定力とは | 御苑のベンゴシ 森川文人のブログ

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 以前も書きました(「実務法律家の視点」2013.8.15)が、法律家ないし実務法曹にとって、大事なのは、法律の解釈よりも「事実をどう捉えるか」ということです。裁判官、検察官、そして、弁護士いずれも、法律を適用する前提としての事実、つまり、「何があったか」ということを把握・認定することが最も重要な仕事になります。
 もちろん、法律や判例の知識・解釈は前提となりますが、どこで力を発揮するかといえば、事実認定であり、その点、いわば「事実認定力」においてプロでなければならない、ということだと思います。

 当たり前と言えば、当たり前のことで、どなたにとっても生活において、そういう力は必要でしょう。たとえば母親であれば、子どもが外で怪我をして帰ってきた、さて、どこで、何があったのか、喧嘩? 事故? 誰かの責任?。子どもの話だけではわかりません。
 そういう場合は、どうしますか? 一緒に遊んでいた(はずの)子に話を聴く、現場にいた大人に尋ねる、等でしょうか。
 いわゆる、証拠という話になりますが、大仰に考えなくても、自分があるストーリーを把握・構築する為には何を信じるか、何に基づきそう判断するかということです。
 ある人が話している内容は、その人が直接体験した内容なのか、人から聞いた話なのか、それとも、推測した話なのか、ネットの情報か・・・。何らかの記録はあるのか、あるとして直接アクセスできるのか、記録は正確なのか・・・。

 刑事事件でも、民事事件でも、ともかく、「実際、どうだったのか」ということは解決の前提です。そして、完璧に証拠が揃っているなんてことは極めて稀です。その不完全な状況下において、何を信じ、どう信じさせるか、が問われます。

 結局、世の中全般に問われる力ですよね。政治、国際関係、経済、日々の暮らしの中で、「何が本当に起こったことなのか。どういう約束がなされたか。」などを、どう判断するかという事実認定の力は、とっても大事なことです。ソースの根源に直接的にアクセスできない情報は吟味が必要です。