「別に、あなた達がわたしを忘れたって、わたしの存在は変わらないわ。」
そう言い放った君。
今が絶頂期であることを、本人も自覚しているのだろう。
ほんの数ヶ月前までは誰も君を知らなかったはずだ。
それが今では君をメディアで見ない日はない。まさに大ブレイク中だ。
人々の関心はどんどん君に向かってゆく。
君を知りたがり、不確かな情報を必要以上に取り上げ、恐れたり、煽ったり、利用したりする。
群集心理とはある意味いちばん恐ろしい。
ただ、それだけ今の君の影響力は凄まじい。
日本の、いや世界の経済をも動かすほどだ。
「きっと今だけよ。わたしはみんなが思っているほど特別でもなんでもないわ。」
「みんながそれに気づいた時、一瞬にして興味を失うの。そんなものよ。」
ーーバカみたい。
そう付け足して
自嘲気味に君は笑う。
社会やマスコミによってどんどん暴かれ、造り上げられていく自分のネガティブなイメージ。それに翻弄される人々。
「わたしだって彼等の価値観で自分の存在を裁かれるのはもうウンザリ。」
君だけが特別問題視されているけど
はっきり言ってこんなのは、君だけでもなければ今に始まったことでもないというのに。
情報社会の闇だ。
「ーーあなたは優しいのね」
だって、君は普通じゃないか。
他のみんなとたいして変わらない。
世間が騒ぎすぎなだけだよ。
「確かにそうかもしれないけど、そうじゃないのかもしれない」
、、、
「あなただって気付いてるはずよ」
「わたしはもしかしたら本当に、みんなが言うように特別恐ろしい存在なのかもしれないって」
大丈夫だよ、そんなことはない。
「だってわたし、実際にたくさんの人を」
ーー殺しているんだから。
最後の言葉は風に消え
そこには賑わいを失った街の
不気味な静寂だけがあった。
大ブレイク中の新型ウイルスさんに直撃してみた。
流行に乗ってみました
不謹慎極まりないのは承知の上で
際どいところを攻めたい性分。
ちなみに写真の黒マスクは加工写真アプリによる合成ですよ😷