かけ算教育の「守破離」(3回の1回目) | メタメタの日

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かけ算教育の「守破離」

 

  (1)文科省は順序固執派になったのか(今回)

  (2)アレイ図は、導入段階では不可

  (3)私案・かけ算教育の「守破離」

 

 

  (1)文科省は順序固執派になったのか

 

 芸道や武道の修業には「守破離」ということが言われる。いわば「正反合」の弁証法だろう。弁証法は人気がなくなっているけれど、変化発展や成長衰退の論理を捉えようとするなら、矛盾の存在を変化の契機と捉える弁証法は無視できないだろう。

数学は矛盾する命題の共存を認めないから、弁証法とは無縁だろうが、数学全体の歴史発展(無理数を「反」として、実数という「合」に発展したとか、ユークリッド第5公準の否定が非ユークリッド幾何学を成立させたとか)や個人の数学の認識発展は弁証法的に進むものだろう。

 かけ算をめぐっては、式の順序固執派と順序自由派の対立があるが、弁証法的に、守破離の観点から見ると、どうなるのか。

 

 小学校の算数の教科書は、固執派の観点から作られていて、小学校卒業までは、かけ算の式は「1つ分の数×いくつ分」の順序を守ることが要求されている。「守」から、順序の「破」「離」に進むのは中学以降ということらしいが、「守」の期間が長過ぎるから、交換法則を知っても、それは計算をする際の便宜であって、立式には順序があると信じている大人もいる。

 他方、自由派であっても、子供にかけ算を教える最初に式の書き方を教える必要はないと主張する人は稀れ(皆無ではない)で、掛け合わす2つの数には、「1つ分の数(被乗数)」と「いくつ分の数(乗数)」という違いがあり、「被乗数×乗数」の順に書くのが良いと思っている。つまり、初めから、どちらの書き順でも構わないと、「反」や「離」の立場から教えるのは、教育的には下策だと思っている(私もそう)。

 

 だから、今回、東京新聞(7月10日)、中日新聞(7月13日)の「2020年度の新指導要領きっかけ 掛け算の順序論争再燃」の記事は、とてもよくまとめられていると思うが、<肯定派「指導初期に必要」×否定派「面白さ学べない」>と図式化したのはミスリーディングで、「指導初期に必要」が肯定派なら、自由派も肯定派に分類される。しかし、自由派の中には議論している内に、指導初期から順序は不要みたいな論調になる人が少なくないのも事実だが。

 では、文科省の立場はどうか。

文科省の検定をパスする教科書は「かけ算の式の順序固執派」のものばかりだから、文科省も固執派なのか。しかし、「順序自由派」の教科書が検定に提出されて文科省が否認したことがあったとは聞いたことがない。自由派の教科書はそもそも作られたことがないのだ。

戦前の国定教科書・尋常小学算術書から、かけ算の式は「被乗数×乗数」の順序だった。戦後も文部省がそれを唱道した時代があったが、やがて、文部省の指導書(現在の学習指導要領解説)は、この問題に触れなくなった。つまり、かけ算の式の順序について文科省は何も指示してはいなかったのだ。

 2020年度施行予定の新しい学習指導要領の解説で、文科省が順序固執派の考えに歩み寄ったという批判が、自由派内にある(多い)けれど、私は必ずしもそうは思わないし、文科省の担当者も、上記の東京新聞の取材に答えて、「掛け算の順序を固定化するような指導を求めているわけではない」と強調している。

かけ算について記述している「小学校学習指導要領解説 算数編」(平成29年6月)112~117頁は、小学2年生に初めてかけ算を教える時の注意を書いていると理解すべきだろう。従来より踏み込んだ記述であるのは確かだけれど、この十年間ぐらいのネットを中心とした順序論争を無視しないでレスポンスした文科省の姿勢や、示された見解も導入段階の指針としては評価できる。

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2017/06/27/1387017_4_2_1.pdf

 

 かけ算を初めて教わる時の子供の算数の知識は、整数(0から3桁まで)とそのたし算、ひき算、長さ(m,cm,mm)、液体の量(かさ、L,dL)とそのたし算、ひき算、分数は1/2、1/4、1/8ぐらいだ。このような子供にかけ算をどう教えたらよいのか。

かけ算を導入する時、同じ数量(a)のものが複数(b)ある時、全体の数量をaとbを使って求める計算だと教えることは、きわめて真っ当だろうし、人類の歴史においてもかけ算はそのように生まれたし、算数の歴史を見てもそのように教えられてきた。(ただし、それを、「同数累加」つまり加法の発展形として教えるか、1あたり量のいくら分という量の観点から教えるかという相違はあるが。)

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