モルツが亡くなって、もうすぐで4か月。あっという間ですが、私の時は相変わらずあの日以来止まったままです。

 

生前病気の症状が出始めたとき、病院をはしごし、ネットで調べ、それでもかなり悪くまで何が原因かわかりませんでした。

 

同じ症状で困っている方や、分からないまま亡くなってしまう子も多い病気なので、症状と経過、どのような病院に行ったらいいのかをまとめてみました。

 

ちなみに、何度も書くには心の準備がいるため、一気に書いてしまおうと思います。よって長文です。

 

 

 

喉頭麻痺(こうとうまひ):

器官虚脱と間違いやすいけど、違います。器官虚脱は呼吸時に潰れた気管が音を出すため「ブヒブヒ」や「グエグエ」となり、苦しそうです。比較的手術で治ります。しかし喉頭麻痺は喉頭(のどの入り口)が麻痺を起こし、片側もしくは両サイドが呼吸時に開閉しなくなり、息を吸うことが困難になります。どのぐらい困難かというと、苦しみのあまり失禁、脱糞するほどです。意識を失うこともあります。

 

多くは高齢の大型犬で罹患します(後天性喉頭麻痺)が、モルツのように子犬でも起こりえます。特にダルメシアンは。高齢の大型犬の場合、手術しないパターンが多いようです。モルツは先天性喉頭麻痺でした。ダルメシアンは先天性喉頭麻痺の好発犬種に入っています。他の犬種では(ブービエ・デ・フランダース、シベリアン・ハスキー、ダルメシアン、ロットワイラー、イングリッシュ・ブルテリア、ラブラドール・レトリーバー、イングリッシュ・セッターなど)

 

症状は・・・1.呼吸困難 2.暑さに弱い 3.全身性ポリニューロパチ(シ)ーを併発することが多いため、四肢の麻痺、その他ポリニューロパチ(シ)ーの症状を併発します(モルツはこれでした。詳しくは後ほど) 4.興奮した時の喘鳴(ぜんそく患者のようにゼーゼーいいます) 5.レッチング(頑張って呼吸をするため、胃に空気が入り気分が悪くなり空嘔吐をします) 6.咽頭液の喀出(白いトトロイモ状の濃厚な分泌物の吐き出す)

これら全部に該当しました。

 

巨大食道症:Megaesophagus 

先天性喉頭麻痺の場合、前述したように、全身性ポリニューロパチ(シ)ーを併発します。四肢の歩行障害や食道拡張症(巨大食道症)を発症し2年以内に死亡するといわれています。

もちろん巨大食道症を併発しました。

 

症状は・・・食道の一部もしくは全部が神経の麻痺によって拡張し、胃に食べ物を運ぶ蠕動(ぜんどう)運動ができなくなる病気です。とにかく吐きます。食べても食べても痩せます。水を飲むことすらままなりません。

本当に残酷な病気で、憎くて仕方ない病気です。日本では情報もほとんどなく、この病気に罹っている子を支えるご家族が、試行錯誤なんとかケアしている状況です。

治る薬はありません。

http://caninemegaesophagusinfo.com/upright-canine-brigade/

↑インスタで紹介してもらった巨大食道症のサイトです。英語ですが、とてもためになりました。

Facebookにも

Canine Megaesophagus support group」というコミュニティがあります。

非公開コミュニティですが、参加をすると多くのこの病気を持つ飼い主さんが世界中からアドバイスをくれます。日本のサイトでどんなに調べても出てこず、病院でも教えてもらえない情報が多く、本当に助けられました。

 

ケア方法:1.食事を1日6回以上の複数回に分ける。 

2.ドライフードか液状かはそれぞれの症状によって食べやすさが異なるため、症状をコントロールできるまでは実験です。 

3.他の国々ではミートボールを作り、それを一口ずつ与えているようです。 

4.ベイリーチェアを使う・・・日本では販売されていません(必要な方はお声掛けください。私が建設業の会社を経営しているので、大工に作ってもらいます。モルツもこれで食介し、乗り切りました) その子のサイズや食道の症状によってベイリーチェアの微調整が必要なため、完全オーダーメイドでないと意味がありません。モルツのベイリーチェアは自分で調節できるよう、テーブルの高さを自由に変更できるように作っていました。

5.食事後横になると吐くので、食道から胃に重力の力を使って食事を落とす。このときベイリーチェアが役立ちます。

6.食事後横になっても大丈夫なように、首に飛行機に乗った時にまく枕を巻きます。犬は食道と地面が平行なため、できるだけ縦にする必要があります。

7.数か月前に、ドクターケアという会社が出している「ストマックケア」というフードが開発されました。6分間で溶けるという画期的なフードで、巨大食道症の子にお勧めです。

モルツの体重が21キロ→14キロまで落ちたとき、19キロまで4か月かけて回復しました。巨大食道症だけでなく、胃腸の弱い子にも良いようです。ちなみに800gで1,800円ぐらいです。

 

甲状腺機能低下症

ホルモンの病気です。後から振り返れば、症状が最初から出ていたのに気が付きませんでした。悔やまれて仕方ありません。

 

症状:

1.無気力…散歩を嫌がる、ぼんやりとしている、疲れやすい

2.喉頭麻痺・・・症状のひとつに喉頭麻痺があります

3.歩行不全・・・最初のころのブログにもアップしていましたが、最初から歩行がおかしかったです。跛行(びっこ)があったりナックリングが主な症状です。そもそも骨も変形していました

4.のどが渇く・・・ものすごく水分をよくとっていました

5.毛並みが悪い・・・抜け毛もあります

 

汎下垂体機能低下症

人間でも同様の病気がありますが、難病指定されています。

内分泌の病気です。

犬の世界ではあまり研究が進んでおらず、モルツは先生が熱心に調べてくださった結果、ようやく喉頭麻痺を起こした原因が、コレではないか?というところまで行きついていました。

もっと早く分かっていれば、まだ生きていたかもしれないと思うと、なぜこの先生にもっと早く出会えなかったのか、なぜ今までの先生はわからなかったのか、と悔やんだ日もありました。

この治療を始めて以来、少し症状が落ち着き、手術後から亡くなる1週間前までは穏やかな日々を過ごすことができました。先生に出会えて本当に良かったと思っています。

 

症状:

分かりません。

まだ研究中でしたが、汎下垂体機能低下症が原因で、内分泌に症状が出て、甲状腺機能低下症を併発し、その結果、喉頭麻痺・巨大食道症を発症したのではないか?というところでした。もっと長生きできていたら、同じ病気で苦しむ子たちの助けになったのではないかと思います。

 

 

このような症状が出たときに尋ねたほうが良い病院

呼吸器もしくは内分泌の専門のお医者様に行ったほうが良いです。

普通の動物病院では、あまりにも珍しいため、わかりません。

モルツは小さなころから、少しずつ症状は出ていました。何度も病院に通い、何度も検査を行い、何度も原因不明と言われ続けてきました。

しかし、最後に出会えた先生に診せた瞬間、すぐに病名も分かり、治療法も分かりました。時はすでに遅しでしたが。

先生曰く「ダルメシアン・呼吸困難・四肢の異常」。この3点セットだけで、容易に判断がつくはず。私のような医者がもっと学会などで啓蒙活動をしていかなければ、、、」と。

ちなみにこの先生は、、

大分県日田市にある「末松どうぶつ病院http://www.suematsuvet.com/」さんです。

県外にも手術などで出張することが多く、犬にも飼い主にも誠実に向き合い、愛情深い先生です。

 

先生に出会えなかったら、1月23日に病院に運ばれた時点でモルツの命はありませんでした。

そこから4か月間、一緒に過ごす時間をくれた先生に心より感謝しています。

 

お金のことはあまり書きたくありませんが、このような重病にかかったとき、費用の面が気になるかと思います。ちなみに、モルツは先天性~という病気だったので、入っていた動物保険は1円も使えませんでした。

病気が発覚し、亡くなるまでの4か月間でかかった費用は170万円ほどでした。

何度も繰り返す入院代のほか、手術代、ケアのための費用に特別食の購入、家での専用ベッド、四肢の麻痺が出ているので、歩きやすいよう床のコーティング、瘦せてしまい体温調整ができないため暖かい服など、もろもろです。すべてが病院代ではありません。

入院は自発呼吸ができないため、酸素濃度が低下するため、酸素室での入院でした。

安楽死ではなく、治療を選択した時の参考になれば、、、

 

最終的な死因は、巨大食道症の急激な悪化に伴う、誤嚥性肺炎でした。

最後は人工呼吸器をつけていましたが、外すか、このまま人工呼吸器をつけ続けるのかの判断を迫られました。

人工呼吸器無しでは生きられない、外すと死が待っていることが分かっていたため、「外してください」の一言がどうしても言えず、1時間以上苦しめてしまいしました。

 

人工呼吸器って、器官に管を入れ酸素を送り込むため、本人も本当につらかったと思います。ものすごく、ものすごく苦しんでいました。

 

最終的には、私のエゴでこれ以上苦しめることができず、人工呼吸器を外してもらいました。

亡くなって以来、封印していた記憶ですが、やっぱりまだ回想するには早い。また記憶を封印しようと思います。

 

命って、強くて儚いものだな。と思います。

 

中村天風さんの本に下記のような言葉がありますが、とても心に残っています。

 

終始一貫、

笑顔でとおすようにしてごらん。

不運な人、体の弱い人は、

ひとしお、笑いに努力するんだ。

笑うにつれて、

人生の幸福と幸運が

どんどん開けてくるから。

 

 

まさにモルツが教えてくれたことです。

どんなにつらくても、命さえ危うくても、いつも笑顔でニコニコ。

 

亡くなる1時間前、意識がもうろうとする中、私に小さく尻尾を振ってくれました。

 

そんなこんなで、嵐のごとく過ぎ去った日々でしたが、モルツの残してくれたものは私の宝物です。

 

 

ずっと抱きしめながら、何度も「愛してるよ、大好きだよ」と声をかけ続けることができました。

 

 

いつか虹の橋で会えることを信じてラムさん、ジンちゃん、ポワレと過ごしています。