メルシータカオーという馬5 | 徒然なるま馬に日暮らし。

メルシータカオーという馬5

いざ、中山大障害に向け調教を積んでいきますが、なかなか調子があがらず、半信半疑のままレースを迎えます。




レースは、メルシータカオーが逃げるかたちでメジロオーモンドが2番手で進みます。


そして大障害コースを2度まわり、最後の1周となったとき、前の馬5頭に絞られてきます。その中には障害5連勝のロードプリヴェイルもいました。




しかし、最終障害を跳ぶとまた2番手との差を広げ、ゴールでは2着との差が6馬身と大きく広げて勝ちました。





つい先日までは走ることすら出来なかった馬が、つい先ほどまではゴールすら危ぶまれていた馬が、先頭でゴールを駆け抜ける様子に、しばし、何が起こったのか理解出来ませんでした。




後に、2番手から2着に粘ったメジロオーモンドの林騎手は、「あの脚にあの毛ヅヤ、あの調教内容からして、いつでも抜かすことができると思い、じっと我慢していた。こんなに走ると分かっていたらもっと競りかけていたと思う。」とおっしゃっていました。それほどに、当時の写真を見ても、毛が長く、脚も腫れ、とても走るような馬には見えません(笑)僕ですらなぜ優勝したのかわからないほどでした。




これが僕、馬、騎手、調教師、馬主さんにとって初のG1制覇となり、また、この年、勝ち星が少なかったうちのきゅう舎は馬房削減のピンチをG1勝利でチャラにでき、更にこの年未勝利で終わろうとしていて引退も考えた出津騎手も再び騎手人生を続ける決意を決めたのでした。