独白するユニバーサル横メルカトル/平山 夢明
¥1,680
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勝手に採点 ☆☆


あまりに残虐でスプラッター色が強すぎて、生理的に
拒否反応を示す、とても万人にはお勧めできない作品。


作者は腐乱死体や肉体的・精神的拷問、人間の内臓と
いったものにいたく興味をそそられるらしい。


陰鬱な雰囲気が乙一にも通じるところはあるが、彼の
ファンタジー性を一切排除して、残虐性を前面に押し
出した感じといえばイメージが掴めるだろうか。


小説自体の創造性や発想・着想にはかなり優れた部分が
あると感じたので、ぜひこうした血なまぐさい題材から
離れた世界で正攻法で新作に取り組んでほしいところ。

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空白の叫び 上/貫井 徳郎
¥1,785
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勝手に採点 ☆☆☆


中学生ながら殺人に手を染めた三人が主人公。


前半部分は殺害に至る過程を三人それぞれの視点から
描き、後半では少年院での出会い、その後の犯行に到
る過程が描かれる。


三名とも設定が現実感に乏しく、犯行動機もよくすっと
腹の落ちないため、残念ながら真に迫ってこない。


特に美男で金持ちさらには有名進学校でトップの成績を
修めているなんていう主人公の設定は愚の骨頂。


この手にありがちすぎて手垢にまみれている。


女教師との愛憎劇をもっと深彫りした方がいいはず。


それと中学生という年齢と彼らの言動にいささかアンバ
ランスさがあって不自然。


妙に大人っぽくて冷静な思考を持っている反面、行動が
幼稚すぎる。


いくらなんでも少年院仲間と銀行強盗とは・・・。


リスクとリターンを考えればイマドキの小学生でも分かるはず。

大人が無理して中学生気分をキドッタため失敗した感じ。

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病気にならない生き方 -ミラクル・エンザイムが寿命を決める-/新谷 弘実
¥1,680
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勝手に採点 ☆☆☆☆


内視鏡によるガン治療の権威、新谷弘実医師による
長生きの秘訣。


彼はなんとこの数十年間死亡診断書を書いたことが
ないらしい。その秘密は患者に実践させている食生活。


さすがに長年患者の胃腸を直接見てきただけあって
説得力に富む内容。


ガンを始めとする病気に対する治療は、手術や投薬だけ
でなく、食生活を含む生活習慣から改善を図るべきとい
う主張に納得。


新谷医師曰く、人間には命の素というべきミラクルエン
ザイムという有限の酵素があって、一生に生み出せる量
は決まっているらしい。


そのため、このエンザイムを極力消費しないで生活する
ことこそが重要とのこと。


消費の原因となるのは、暴飲暴食、タバコ、酒、コーヒー、
ストレス、肉・乳製品の摂取といったものらしい。


自分の生活を鑑みるにほとんど当てはまっているので長生
きは望むべくもないかもしれない。


牛乳やヨーグルトと言った乳製品は百害あって一理なしと
いう主張はなかなか過激。


彼が唱える方法で唯一実践できているのは昼寝くらい。

「今日の焼肉より明日の未来」


本書で語られる非常に反省させ含蓄のあるお言葉。

ツレがうつになりまして。/細川 貂々
¥1,155
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勝手に採点 ☆☆☆☆


サラリーマンだった旦那さんとマンガ家の奥さんが
主人公。それと息子とイグアナ。


生真面目でリストラの荒波をかいくぐった旦那さんを
待ちうけていたうつ病。


会社を辞め、療養を続けようやく回復に向かうまでの
出来事をおもしろおかしく描いている。


奥さんの優しい絵のタッチがほのぼのとした愛情を
感じる。


現実にはもっとシビアだったのだろうが、奥さんの
前向きさと明るさがそれをカバー。


ワイドショーをにぎわしているかの横綱もそうだが、
絶対になりそうもない人でさえ、極度のストレスにより
うつ病になり得る怖さ。


世間的にもようやく理解が進んできたうつ病やストレス
だが、やはり当事者になってみないと分からない苦悩が
あるように思える。


周囲の理解と愛情こそが妙薬か。

法月綸太郎の新冒険 (講談社文庫)/法月 綸太郎
¥700
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勝手に採点 ☆☆☆


ミステリー作家の法月倫太郎が、父の法月警視が捜査
の指揮を取る難事件を名推理で解決に導く本格推理小説。


短編なのでダラダラ続かずコンパクトにまとまった印象
で好感が持てる。


文中で倫太郎がいっている通り、こういったミステリーは
理屈を虚構として捉える精神のスポーツとして、知的パズル
を解く感覚で楽しむべきだろう。


そういう意味では、職務上の守秘義務をベラベラ息子にしゃべり、
その息子が捜査の手助けをするというありえない設定もご愛嬌。


推理小説のお約束である、必ず事前に登場する一番臭くない人物
が犯人であるという定説を頑なに守るオーソドックスな作り。


東西の推理小説をモチーフに筆者のアイデアを昇華させたなかなか
の作品群。ただ、金田一耕介やコロンボ的なこじ付け的発想、執拗
な食い下がりが苦手なヒトにはお奨めできない。

駿河城御前試合/南條 範夫
¥920
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勝手に採点 ☆☆☆


江戸幕府第二代将軍・徳川秀忠の三男で駿府城主・忠長の命
を受けて開催された御前試合。


何とそれは剣士が命をかけた真剣勝負だった。十数番に及ぶ
血で血を洗う凄惨な状況に観客も耐えられず試合の終わりを
願うほど。


晩年、辻斬りや家臣の手打など御乱交が元で自害せしめられた
忠長だけは薄笑いを浮かべ見入っていたという。


何といっても一番気になるのは剣士たちが真剣試合を行う動機。

そのすべてが、美貌の女性に対する執着心が原因。


それもこじ付け気味の理由が多く、終盤に至るに従ってもうい
いやという気分に。


武士道に生きた彼らがそんな理由から命を欠けるとは説得力が
薄い。忠臣蔵のような忠義のための戦いはなかったのだろうか。


戦いの惨状は酸鼻を極める地獄絵。

十数番に及ぶ対局で、結局生き残ったのはほんの数名。


それでも手傷を負ったり、その後殺されたり、なかには観客の
関係者が自害したりと散々な結果。


命の無駄遣いは何も生まないということ。

アラビアの夜の種族/古川 日出男
¥2,835
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勝手に採点 ☆☆☆


中東が舞台の一大抒情詩。


ちょうどナポレオンがエジプトに攻め入ろうとするとき、

エジプト政権の有力者の奴隷であり筆頭執事を勤める

アイユーブは、ある秘策によってこれに対応しようと試みる。


果たしてその秘策とは。結末はいかに。


それにしても長い・・・・。

読み終えるのにこれほどの労力を要した本はないかも。


内容的には、ストーリに直接関連しない長大・難解な比喩が

いたるところに散りばめられ、迷子になりそう。


しかも、登場人物や時代設定がくるくる変わるので、何の話

をしているの分からなくなる。


読解力を試される一冊。


オリジナルは、中東に伝わる古い話とのことで、アラビアンナ

イトや魔人ジニーが活躍するアラジンにも何となく共通点が。


それでも、蛇の魔女や銀髪の魔術師、国王の隠し子で美男

の若者が活躍するあたりは、痛快アクション活劇で楽しめる。


ハリウッドあたりで映画化したら「ハムナプトラ」になりそう。

鳥肌口碑/平山 夢明
¥1,260
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勝手に採点 ☆☆☆☆


読むと鳥肌が立つような世にもおぞましい話70編を

集めたショートショート。


前半は怪奇現象、後半は人間の狂気がテーマ。


すべて「・・・こんな譚を聞いた。」が枕詞で始まる。

終盤はこれを見ただけで鳥肌が・・・。


実話なのかフィクションなのか良く分からないところが

不安感を増幅させる。


前半は怪談話が多いので新鮮味は欠けるし、なにせ

一編が長くても2ページ程度と短いので、描写不足は

否めない。


しかしながら、それが作者の意図でもあるように、恐怖

体験の突然感と殺伐とした余韻を生むことに成功。


後半の話は、泥棒やストーカーが主体だが、かなりリアル。

しかも、そんな体験絶対したくないものばかり。


瞬間接着剤で目を塞がれ、高所へ連れて行かれたり、棺

おけに入れられて産廃処理場へ放置されたり・・・。


う~、思い出しただけでも寒気が。

くれぐれも心臓やショックに弱い方はお控えください。

閉鎖病棟/帚木 蓬生
¥580
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勝手に採点 ☆☆☆


ある精神病院で暮らす患者たちの日常。


病院内で発生する暴力行為や患者の自殺、患者間の連帯感や友情、

そして退院して自立の道を歩むもの。


そうした実態を患者たちの生い立ち、境遇を織り交ぜながら描いた

感動のドラマ。


とは言っても感動はない。


精神病院という設定上、全体的に暗いのはやむを得ないが、それでも

ストーリー展開が暗すぎ。読み進めるのが苦痛なほど。


4人を殺害し、死刑執行後奇跡的に組成した男や父親から性的暴行を

受けた女子中学生、覚せい剤中毒の元ヤクザなど、境遇が悲惨。


それ以外でも、幻聴や幻覚に悩まされ、家族に危害を加えるようになっ

て強制的に入院措置を講じられたものがほとんど。


当然の如く、精神分裂病と診断された彼らは家族からも敬遠され、見舞

いに訪れる親族もほとんどなく、入院期間も十年以上の長期に及び、こ

こで人生を終えるものも多い。


それでも精神科医の筆者がその実態を多少の脚色があるにせよ公に

した意味は大きいかもしれない。


ただ、小説としてはあだ名の登場人物が特定しずらく、年齢や容姿が

イメージできないところが残念。


また、ユーモアや軽さといった話題ものないことが共感しずらい。


ましてラストの殺人事件は過酷。せめて死刑だけは免れて欲しいところ。