- 浅田 次郎
- 椿山課長の七日間
勝手に採点 ☆☆☆
デパート勤務で婦人服売り場を担当する椿山課長46歳。
遅まきながら出世を果たし、美人の奥さんと一人息子、それに一戸建
てのマイホームを得て、忙しいながらも恵まれた人生だったが・・・。
彼を襲った悲劇は過労死。
あまりに未練を残した彼は、全く別人の肉体を借りて現世にもどるが・・・。
死んでしまった人たちが最後まで不憫でどうもすっきりしない。
もやもやとしたわだかまりが最後まで取れなかった。
あの世からこの世に一時的に戻って、未練を果たすという設定自体は
最近の流行で新鮮味なし。
一緒に戻った子供の生い立ち、気持ちなど、泣かせる浅田節は健在なも
のの、せっかく戻った世界で知ってしまう悲しすぎる現実。
それも大半が前半部分で判明し、最後までひっくり返ることもない。
同じサラリーマン、子を持つ親として同情してしまうし、なんとも物悲しい。
ここにスカッとする仕掛けが欲しいところ。
それともうひとつすっきりしないのが彼のお父さんの最後。
ここまで盛り上げてそれはないだろう。
あまりに可哀想な結末にあっけに取られたほど。