悪人/吉田 修一
¥1,890
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勝手に採点 ☆☆☆☆


九州のとある田舎で発生した保険外交員殺害事件。


当初、犯人と思われ逃走していた大学生は無実である
ことが判明し、新たに容疑者として浮かび上がって
きたのは若い土木作業員の男。


何故に彼は殺害に到ったのか、そして、彼の逃亡生活
が始まる・・・。


話がテンポ良く進み、かつ登場人物それぞれの視点か
ら書かれていることから全く飽きさせることなく終盤
まで一気に読み進めることが出来る。


謎解きのミステリーというよりは、犯人や被害者たち
の独白という形を取っているためドキュメントタッチ。

ただ、残念なのは心理描写が表面的で苦悩や葛藤が描
ききれていない。


結局犯行理由もあいまいなまま。


芥川賞作家が宮部みゆきや東野圭吾ばりの大衆小説に
挑んだものの、十分力が出し切れなかった印象。


積極的にイメチェンに挑んだ姿勢は○。

ともあれ実力は折り紙つきなので次回作に期待したい。

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勝手に採点 ☆☆☆☆


10年ほど前に出版された大門団長でお馴染み渡哲也の
自叙伝。


毎日新聞の記者が彼の生き方に惹かれ、二年半の取材を
かけて綴った彼の生涯。


最近は缶コーヒーのCMでコミカルな演技も披露し、お茶
の間にもお馴染みだが、直腸がん、大腸がんという大病
を克服し、芸能界の第一線で活躍する様は感動すら覚える。


さらに石原プロ社長としての責務から、自身が最も望んだ
スクリーンから20年以上も離れ、西部警察などの荒唐無稽な
テレビドラマに出演せざるを得なかった苦悩も垣間見れる。


社員から親方と慕われ、いまも味のある演技と渋い魅力を
保ち続けている彼には、もっともっと活躍して欲しいもの。

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隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)/ジャック ケッチャム
¥720
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勝手手に採点 ☆☆


隣家に引越してきた美少女メグをめぐる壮絶な虐待劇。

ラストも悲惨。


あまりの救いようのなさにほとんど読み飛ばす感じに。

なんとなく映画「ミザリー」を思い出してしまった。


こういう作品を出版する意味はあるのだろうか。

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フィッシュストーリー/伊坂 幸太郎
¥1,470
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勝手に採点 ☆☆


表題を含め三篇の短編集。


森見氏同様、もういいかげんにして欲しいという感じ。


これといったストーリーがないため説明しずらいが、
意味のない空虚な会話やエピソードのオンパレードで
読む気が失せる。


本人はカッコ良い、洗練された物語を書いているつもり
なのだろうが、登場人物に生々しさがなく、人形がつま
らないおしゃべりをしている印象。


当初の作品はそれでも十分引き付けられたが、全く進歩
しないところが大問題。


リアルな心理描写や緊迫感、スピード感のあるストーリー
展開、読者を関心させるほどの謎解きなど、ひとつで良い
のでここが良かったと思わせる何かが欲しい。


東野氏が単なるミステリー作家から大きく脱皮して新しい
読者層を獲得したように彼にも奮起を期待する。

新釈 走れメロス 他四篇/森見 登美彦
¥1,470
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勝手に採点 ☆☆


有名作家の短編小説を題材に森見登美彦が独自の世界観
と解釈で再構成した新しい試みのオムニバス集。


もういいかげんこのノリは辞めて欲しい。


ストーリーや登場人物、エピソードなど「夜は短し」や
「太陽の塔」と酷似。


無気力でモテない大学生や一風変わった彼女、詭弁論部や
演劇学生の登場など、どれも新鮮味に欠け中身がない。


最初は楽しく読めた少々古典的で屁理屈めいた文体も飽き
ると共にストーリーへの集中を妨げる。


感動的でも示唆に富んでるわけでもなく、やたら京都の街
並みを濫用して「京都がホームグラウンドだぞ!」的に主
張が鼻につく駄作。

一人二役/河本 準一
¥1,365
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勝手に採点 ☆☆☆☆


人気お笑いコンビ次長課長の河本準一が、これまで
の半生を母との数々のエピソードで綴る自叙伝。


とにかく母の愛情と母親への愛情が溢れている。


なんと、最近でも母親と風呂に入るらしい。
それも違和感なく。


題名も離婚した父親の役割をずっと担ってきた母へ
の感謝の気持ちが込められている感じ。


北島三郎似と揶揄しているものの。


それと意外だったのは、画面でみる限りそんな気配
はないが、河本自身かなりのスポーツマンで運動神
経が抜群だったこと。


中学、高校とバレーボール、野球、サッカーに真面目
に取り組みとかなりの腕前だったらしい。


すべらない話でもよく語られる母親のユーモア溢れた
行動には爆笑させられる。


聞いたことのない方はぜひご一読を。


また、早くに離婚した父親と最近になって和解したエ
ピソードは感動的。


そんな彼に一言いいたい。


今の家庭、奥さん、子供を大事にして自分が味わった
苦労を子供に味わせないこと!!

シャドウ (ミステリ・フロンティア)/道尾 秀介
¥1,575
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勝手に採点 ☆☆☆☆☆!


癌で妻・母親を失ったばかり父親・我茂洋一郎と息子・凰介。


彼らの近所に住む洋一郎の親友で級友・水森と妻の瞳、娘の
亜紀は、妻同士も大学の同級生、子供同士も小学校の同級生

という文字通りの家族ぐるみの付き合いだった。


しかし、瞳の自殺から運命は急展開を見せ、事態は意外な方
向へ展開していく。


プロットが素晴らしい。


若干騙しうちの感は拭えないものの、それでも洋一郎の行動
に関する二重の仕掛けはまんまと騙され優れた着想に感服。

もうひとつキモは亜紀への暴行トリック。


これはもっと騙しうち臭く感心しない。後だしジャンケン。


それでもここまで引き付けどんでん返しを食らわす筆力は
やはり賞賛されてしかるべき。


もうひとつうまかったのは文章構成。


登場人物各人の一人称の視点で区切られているため、読者
が感情移入しやすく物語り全体を把握しやすい。


驚くほど巧妙な仕掛けと衝撃のクライマックスに満足でき
ること請け合い。