〜つづき



実家のたばこ店で、再演となった座長公演「母に捧げるバラード」をPR (平成16年4月)




鉄矢が出てくるところは2役です。

家出をして東京へ行く鉄矢を見送るんですよ、イクが。

それが人生を逆さにしてみているようで、母親の方を振り向かず正面だけ見ていたんですが、去っていく鉄矢の背中を母親役として見送るんですよね。


なかなか評判が良かったんですよ。

特に博多でやったときに客席からヤジが飛ぶんです。

母親が貧乏に耐えながら懸命に子育てをする、なんてのを演じていると、闇の中から「そうそう、そんな人やったよ。イクしゃんはー」と。

もう泣けちゃって。

母親を知っていた人が見に来ていたんです。



イクさんが亡くなった年のNHK紅白歌合戦に出場し、24年ぶりに「母に捧げるバラード」を歌った



福岡で海援隊をやっていたとき、NHK福岡に僕らをよく呼んでくれた島田源領(げんりょう) さんという人がいたんです。

その人が東京に行ったら紅白の親玉のプロデューサーになったんですよ。

平成元年の紅白で務めた白組司会も「お前、やれよ」と言われてやったのですが、この人がお袋のファンだったんです。


私は「母に捧げるバラード」で初めて紅白に出て、その母親がローカルで話題になってドキュメンタリー番組をやったり、ラジオ番組で「武田イクさんの人生相談」みたいなのをやっていたんですよ。

だから「おっかさんが喜ぶから、やれ」っていう感じだったんですよ。


因果は巡るよ、どこまでも。

彼は母親の葬儀に来てくれて、「もう1回、紅白で歌え」と言ってきたんです。

「おめえのためじゃねえぞ。お母さんの供養のためだ。俺も世話になったからよ」って。

いい供養になったと思います、本当に。


(聞き手 酒井充 氏)




〈「…織部金次郎」なんか覚えてますよ。

特にマンガの方、印象に残ってます。

マンガ版龍馬も、、これ、NHKでアニメにもなり、舞台化もされてるんですね!知らなかった。

その原作のマンガ単行本は1500万部超えだそうです。


それと武田さん、紅白白組の司会もやってるんですね。

舞台…は全然知りませんでした。

写真の〝感じ〟で演じたんですかね、、なんか観て観たかったなあ。

お母さんの〝学校の先生の母親と呼ばれたい〟という念願をいくつも超えた親孝行をしてますね。


武田さんとお母さんの関係を見ると、もう1人、北野武さんのお母さんとの関係を思い出します。

息子、子供を想う母親の偉大さを感じます〉