私のページにお越し下さり、ありがとうございます。これは、私が実際に経験した実話です。事実だけを綴っています。

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高校2年生も、もう終わりになりました。




そして、今回の教職員の人事異動で、

太田先生は現在の都二工から

全日制の泉尾工業に

転勤することになりました。




この異動は太田先生たっての希望で、

実習助手だった先生は、

実習担当教諭になるべく

必要な条件を満たすため、

今年度から

大○産○大学の夜間に

通うことになったからです。






離任式の日、

今までのように太田先生は、

私を家まで送り届けてくれました。




「ああ、これから

 昼間は泉尾工業で教師をして、

 夕方からは大学生やで。

 忙しい生活が始まるわ。


 最後までナオコのこと、

 都二工で見届けたかってんけど、

 ごめんな。」



運転しながら悲しそうに先生は言います。




「ううん、大丈夫。

 学校が違っても、

 ちゃんと先生に見届けてもらえるもん。

 心配ないよ。」




私はそう答えながらも、

少し名残り惜しい気持ちで

先生の車から車窓の風景を眺めていました。









実際、太田先生のいない学校生活は、

今までのそれとは全く違うものとなりました。



生徒会室を覗いても、

太田先生の姿はもう見えなくて



廊下を歩いていても、

階段を上っていても、

先生が通りかかることはありません。



私の中で、

一つの時代が終わったような、

そんな気持ちでいました。



そんな、寂しさと戸惑いのなか

スタートした新学期でした。





担任も入れ替わり、

新しい担任として深森先生という女性の先生が担当してくださることになりました。




私はどこにでもいる女子高生のように、

新たな担任の深森先生を

からかったりしながら、

それなりに新学期のスタートを切りました。





一方で太田先生は、

新しい職場での勤務と、

新しい大学生活を始めるなかで、

私と共有できない時間が増えました。




けれども先生はその代わりに、

毎晩私の部屋に来て

食事をしたりウイスキーを飲んだりしながら

楽しい大学生活の話や、

新しい職場の話を聞かせてくれました。





その話に目を細めて相槌を打つ私は、

これから繰り広げられる未来を

何一つ怖れもせず、





ただ無邪気に

まっすぐ先生を見つめていました。






私はあまりにも無防備だったのです。




【次へ続きます】