私のページにお越し下さり、ありがとうございます。これは、私が実際に経験した実話です。事実だけを綴っています。
はじめましての方は、第1話から見ていただけるとうれしいです☆
前回からの続きです⇩
あの人は誰なんだろう…
あの日からずっと気にしているけど、
まだ一度も見かけない。
定時制高校では、
生徒の年齢層が幅広く、
基本的に教師と生徒の区別はつきません。
先生なのかな、生徒なのかな、
それとも、どっちでもないのかな……
ある日、
私は垣内先生に先日のお礼を言いに、
お菓子を持って、
垣内先生のいる職員室を訪ねました。
垣内先生の部屋はどこかな……
見つけた!
私はガラガラガラと戸を開けました。
職員室の中に垣内先生を見つけました。
「あっ」
垣内先生の隣のデスクに座っているのは、
確かにあの彼です。
私の胸が高鳴ります。
驚いて身動きができません。
そして、何故か同時にその彼も
「あっ」
と言って固まっていました。
「おー、なおこー、元気かー」
固まっている二人の間をぬって、
暢気に垣内先生が言います。
どうにか気を取り直して
私は垣内先生にお菓子を差し出すと、
「あほか、こんなもん受け取れるか!
高かったやろ!
いらん金使うなよー!」
と喜びながら、
「早速開けていいか?」
と垣内先生はお菓子の箱を開けて、
皆に渡します。
「まー、ゆっくりしていけよ。
この部屋のデスクの先生、
2人を紹介するわあ。
この先生が、
機械科の永江哲也先生、
"てっちゃん"や
それからこっちの先生が同じく
機械科の太田哲也先生、
こてっちゃん、"コテツ"や
同じ哲也やから年齢順で
"てっちゃん"と"こてっちゃん"
ということや」
そう垣内先生から説明を受け、
二人の先生と私は
頭をペコペコ下げあいました。
「ヨロシクお願いします。ナオコです」
私は初めて会う永江先生と、
あの時の彼に向かって挨拶しました。
先生だったんだ…
太田哲也って言うんだ…
すると太田先生から、
「あっ、ヨロシクね。こないだの…だよね」
と、照れくさそうに笑ってきます。
「先日は失礼しました。」
私もニッコリして応えました。
「なんや、ナオコ、
コテツと知り合いなんか?」
垣内先生が怪訝そうな顔をして聞いてきます。
「うん、こないだ階段で激突!密着してん!」
太田先生が悪びれずに冗談を言います。
なんやそれ、きもいな、ハハハハハ…
心臓の音に邪魔されて、
みんなの笑い声がはるか遠くに聞こえます。
一人思わず真っ赤になってしまう私。
「いたいけな女子高生を
からかったらあかんぞー」
と垣内先生も笑っています。
そうして、お菓子を先生方と頂き、
雑談を交わしました。
その日の夜、私は眠りにつけず、
一晩中ずっと今日のこのことを
思い出していました。
機械科の、太田哲也先生…
そう呟いて、
私は瞼を閉じました。
でも、まだこの時は、
これはただの小さな小さな
‘’憧れ‘’のようなもので、
私が内気だったこともあり、
この想いなど
胸に抱いているだけで終わるものと
信じて止まず、
この恋心から始まる凄絶な物語が綴られることなんて、
微塵も想像していませんでした。
先生もそうだったよね?
きっとそうだったよね
先生…
【次へ続きます】

