カウンターバランスへの迷い
島田ゴルフのコンスタントウェイトシャフトや今回のロッディオ”プロトタイプヘビーウェイトシャフト”などカウンターバランス設計のアイアンシャフトに出くわすことがある。
カウンターバランスとはバット側にシャフトの重心軸、すなわちバランスポイントがグリップ側にある為に通常の長さで組むとヘッドバランスが出にくい構造のシャフトを言う。
カスタムの世界では個々のオーダーや相談によって長さやバランスを決めて行くがカウンターバランス設計のシャフトを理解しているユーザー様は少ない。
例えば…
「このシャフトはカウンターバランス設計ですがレングスを少し長くしますか?それとも通常レングスで組みますか?」と聞いてもハッキリとした答えが返ってこないことが多い。
それは無理もない。
カウンターバランス設計のシャフトにはアッセンブルとして3つの選択肢がある。
【ケース1】通常よりも0.25インチもしくは0.5インチ長く製作する。
カウンターバランスのシャフトを通常のレングスで製作した場合、バランスは軽くなる。その為に長く製作してバランスを合わせる方法だ。
長所として通常よりも長く製作しても重く感じない為にヘッドスピードアップに寄与する反面ショートアイアンも長くなる為にアプローチのコントロールが難しくなる。加えて装着したヘッド質量に変化がないので長くした分だけインパクトで落ちる感じが出てしまう…。
【ケース2】通常と同じレングスで製作する。
通常レングスで組んだ場合、他のシャフトよりもバランスが出ないものをそのままの状態にしておく。
長所としては総重量を出しながらも振り感を軽くすることが可能だ。ただしカットしてしまっているのでレングスでバランスを出すことは不可能だ。鉛を貼るなどの処置で重たくするしか方法がない。
【ケース3】通常と同じレングスで製作してバランスを出す
三浦技研などヘッド重量を指定できるメーカーの場合通常レングスで組みながらもバランスも出す方法。
長所としてよりヘッド質量の重いヘッドを装着出来る為にインパクトパワーが増したり任意で好きな場所に鉛を張っても重くなり過ぎない効果が期待できるなどよりヘッド重量への自由度が高まる。
「レングスとバランスは長屋さんにお任せします」
ありがたくもこれが実は一番迷ってしまう…(笑)
クラフトマンの立場として考慮するとケース1が今後すべての可能性も探ることになるので採用しやすい。しかしそのユーザー様の多くを知っていればケース1のウィークポイントを通り越してケース2や3もプロとしての仕事として魅力を感じてしまうものだ…。
スイングを思い浮かべ「こんなインパクトだったな…」と思い出せばケース2も十分魅力を感じるアッセンブルだ…。
1回目は長くカットして色々と考えたのちにやはり短くカットし直すことも多々…。
カウンターバランス設計のお任せ仕様が一番迷いますね…。
【ロッディオCCフォージド #5~#P】
ロッディオプロトタイプヘビーウェイトTYPE-105
【ロッディオCCフォージド 50度/56度】
ロッディオプロトタイプヘビーウェイトTYPE-105
このCCフォージドもかなり迷いましたがケース1にて38.25インチスタート…。ちなみにバランスは1/4くくりのフロー設計になった…。
カウンターバランス設計のシャフトはバット側を硬くすることで重心をグリップ側に持ってくる。カーボンの巻きが多くなる分だけグリップ側が”硬く”なるのが通常のシャフトだ。しかしこのロッディオのプロトタイプは最新テクノロジーでバット側の剛性も同時に柔らかくすることに成功!
スチールシャフトでは到底出来ないカーボンシャフト独自の技術により独自のフィーリングを実現したカーボンシャフトにしかできない技術力がこのシャフトの真の魅力だ。
切り替えしの瞬間にグッと沈み込むダイナミックゴールドのような柔らかさと重心フロー、シャフト重量フローなどテクノロジーの粋を集めたシャフトがこのロッディオの限定シャフトなのだ。