秘密 | くずかご。

秘密

「秘密を話そう。それはそれは美しい、秘密だ。」
思えば彼は、そう言って世界を汚した。私は彼の秘密が知りたくて、彼の声の届く場所まで近寄った。彼はいつだって私に秘密を話したし、私はそれを聞く度に満足した。
彼は記憶力がよくて、私はいつもお気に入りの話しをくりかえして貰った。
それはたった五文字で終わるので、彼のその声を聞く為にあるような秘密だった。
彼はそれ繰り返し、私はいつしか眠ってしまうのだ。

大人になると、彼はもうその言葉を言わなくなった。私は悲しくなって、泣いた。

私はそして、それが嘘だということを、知った。